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タイトル未定2024/09/16 11:58
ラブソングを聞いていた。
推理小説を読んでいた。
恋愛アニメを見た。
それらは全て遠くの世界での出来事だと思ってた。
何となく過ぎていったとは言い難い中学時代にも別れを告げて新たな新天地として高校へ進学する。
普通だ。
そこそこの学校へ入り、そこそこ頑張って、将来という未確定なものに惑わされるように日々を生きる。
「消しゴム」
「え」
授業と授業の間のほんの少しの休憩時間、窓の外を意味もなく見て、桜の散る様を自分と重ねる。
今がピークで、これからヒラヒラと地に落ちていくだけ。
勇気も行動力も度胸もなにも持ち合わせてなくて、それでも孤独は少しだ嫌だなって感じ。
そんなふうに黄昏ていたから、声をかけられても戸惑った声しか出なかった。
慌ててお礼を言うと、「ぼーってしてんね」なんて笑いかけられて。
前の席の彼女は、誰だっけ。そんな事どうでも良くなった。
不味い、チョロすぎる。これは馬鹿だ。大馬鹿だ。
色んな物語を読んできたから分かる。
これは一目惚れかもしれない……。