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「決意」

ある所に、長くて黄色いボサボサの髪と美しい天使のような翼を持った小さな少女がいた。この日、彼女「ケイト・オリエント」は、その身の丈似合わない最大の決意を固める!

 

 「私は将来、魔王になる!!」


 キッカケは割と簡単で……

 ケイトは近頃、ありとあらゆる葉っぱを食べ比べていた。未知なる味を求めて探究する事にハマっていたのだ。ただ食べる事が好きだという事もあるのだが…

 その日も例にも漏れず、木陰の隅で葉っぱを食べていた。そんな彼女の背後から忍び寄る影が……


 「おいケイト!」


 「ん〜?」


 ケイトが振り向くとそこにはケイトより10cmは身長が高いであろう茶色い髪の少年が得意げに腕組みをし、立っていた。すると彼は親指を自分の胸に突きつけ、こう言った。


 「俺、魔王になるぜ!」


 うねる茶髪、ギラつく白い歯、威圧的な茶色の瞳、眼光。それはもう「ドン!」という効果音がつきそうな程だった。何を隠そう、彼こそがケイトの兄「トレイ・オリエント」である!


 「何それかっこいい!私も!!」


 ケイトは葉っぱを食べる手を止め、目をキラつかせた。「魔王」その響きに心を奪われた。

 そしてケイトの弟「サイス・オリエント」もまた、その響きに……


 「いや、俺はいいわ。」


 「そうかお前もなりたいよな。」


 「え?」


 というわけでオリエント家長男「トレイ・オリエント」を筆頭に、三女「ケイト・オリエント」、三男「サイス・オリエント」は、決意を固め、三人仲良く魔王を目指す事となった!


 「おーっ!!」


 「まぁ、やるからにはやるか……」


 見るからに意欲的なケイト、やるからにはやるサイス。みんなやる気十分!


 「よし、まずは特訓だ!

 魔王たるもの、強くなきゃ意味がねェ…」


 というわけで不気味な笑みを浮かべている長男、トレイによる特訓が始まった。


 「そーいえばお兄ちゃんって強そうだよなぁ〜。」


 「実際強いわ。」


 サイスはケイトの、特訓とは無縁だろうというその横顔を眺めた。

 サイスはトレイの強さを知っていた。そもそもトレイは生まれつき体が強いのだ。それに比べ、ケイトは生まれつき体が弱かった。そういうところもあり、サイスは正直ケイトの事が少し心配だった。


 (まぁ、なんとかなるか。)


 とりあえず特訓!長男トレイは地平線を指さしながら指示した。


 「まずは体力作り!走れ!」


 「それっぽいな。」


 「っぽいねぇ〜。」


 彼らはトレイの指さす方向に走り出した。

 そして、彼らは来る日も来る日も特訓を重ねた…

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