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097 シャルルと美香のレベル上げ⑤

シャルルはダンジョンに来て初めての朝を迎えていた。城のベットも寝心地が良く自分で起きることは出来なかった。


コンコンコン。


ドアがノックされる。その音を聞いてシャルルは目を覚ます。ここ三カ月ほど、シャルルが家にいるときは優斗が毎朝食事の準備を終えた後に彼女を起こしに来ていた。その習慣がありシャルルはドアのノックで目が覚めたのだ。


シャルルがドアを開けるとメイド服を着た少女が二人立っていた。


「「おはようございます。シャルル様」」


ドアの前に立っていたのはシャルル付のメイドのアキと美香付のメイドのナツだった。


「おはよう」


「シャルル様、ドアを開けて私たちを迎えることをしなくても良いのですよ。次回からは部屋の中から「入って」と声をかけるだけでいいですから」


シャルルはメイドの対応をどうしたらいいか分からないのでアキの言う通りにすることにした。


「分かったわ。次からはそうするわ」


「お願いいたします。私たちはメイドなので何なりとお申し付けください」


「取り敢えず、中に入って」


「「はい」」


ナツはまだベッドで寝ている美香を起こしに行く。


「シャルル様は先に顔を洗いに行ってください」


「後はお願いね」


「お任せください」


シャルルはアキに即されて洗面所に向かう。美香はナツに起こされて眠たい目をこする。美香はそしてようやく目を覚ます。


「「おはようございます。美香様」」


「おはよう。シャルル姉は?」


「シャルル様は先に洗面所に向かいましたよ」


「そうなの? 私も自分の部屋に行って準備してくるよ」


「行ってらっしゃいませ」


アキにそう言われて美香はメイドのナツを伴って自分の部屋に向かった。


シャルルは洗面所の鏡で自分の顔を見て顔がほころぶ。優斗に体を作り替える前だったときはRoomの洗面所で鏡に映る自分の顔を見て落ち込んだものだ。村には鏡なんてものがなかったのでシャルルは自分の顔をはっきりと見たことはなかった。


優斗に会いRoomに案内されて初めて洗面所の鏡で自分の顔を確認した時は落ち込んで途方に暮れるものだった。しかし優斗に体を作り替えてもらって美しい少女の姿になってからは鏡で自分の姿を見ることが楽しくて仕方がなかった。


自分の顔を見てふと優斗のことを考える。そして昨日の美香の言葉が頭をよぎる。すると顔が熱って赤くなる。そして、頭を振るって昨日のことを忘れようとする。でも、なかなか頭から優斗の顔が消えてくれない。


「優斗は義弟なのよ」


そう言いながら自分自身そう言い聞かせる。そして両手で自分の頬をパチンと叩いて気合いを入れる。鏡を見て頷くと顔を洗いアキが待つ部屋に向かう。部屋ではアキがベットメイキングしていた。


「美香はどうしたの?」


「美香様は自分の支度をするためにナツと一緒に部屋に戻りました」


「そう、ならいいわ」


シャルルは優斗に貰ったジャージに着替える。シャルルが着替え終わってアキを伴って食堂に向かう。


シャルルが食堂に着くとジャージに着替えた美香と優斗が待っていた。


「おはよう」


「おはよう。シャルルさん」


「おはようシャルル姉」


シャルルは優斗を見て目をそらす。優斗はそのことに気づいて「どうしたのかな」と不思議に思った。シャルルは自分の席に腰を下ろす。そのタイミングで今日は執事のジャックが朝食を運んできた。


朝食は野菜サンドとベーコンに野菜サラダとコーンスープと飲み物がついていた。それらを優斗たちの前に並べていく。


「「「頂きます」」」


三人はそろって食事をする。


「お兄ちゃん、今日もレベル上げをするんだよね。今日も魔法で魔物を狩るの?」


「いいや、今日からは武器を使う。シャルルさんのレベルは28だし、美香のレベルも25になったからな。剣を振り回す体力はついたはずだ。魔法ばかりだと飽きるだろ?」


優斗の言うようにシャルルと美香は魔法で簡単に魔物が狩れることに慣れて来ていたところだった。魔法を撃つのは楽しいと二人とも思っていたが簡単に魔物が死んでいくのを見てつまらないとも思っていた。


魔物との戦いはもっと気を引き締めて命がけで戦うような荒々しいものを二人とも想像していた。昨日の魔物狩りはその想像していたものと遥かにかけ離れているものだった。


「私もそう思っていたわ。魔法で簡単に魔物を倒すことが出来るけど一日中同じことの繰り返しで飽きてきたわ」


「美香もそう思っていたから聞いてみたんだよね。美香は弓を使いたいな」


「私は持っている剣で十分ね」


「じゃあ、美香には創造で作った弓と矢をあとで上げるよ」


「ありがとう、お兄ちゃん」


三人は食事が終わると直ぐに狩りに行くことになった。


「今日は、シャルルさんが転移する番だよね。昨日の最後の魔所に転移してほしい」


「分かったわ、転移」


シャルルがそう唱えると三人は次の瞬間に森の中にいた。優斗は直ぐにマップを展開する。近くに魔物の反応はない。シャルルと美香もマップを開く。優斗は創造で弓を一張と矢を300本作って美香に渡す。


美香は優斗が作った弓と矢を受け取って矢は亜空間倉庫(インベントリ)に仕舞った。


「準備は出来たみたいだね。森の中心に向かいながら魔物を探そう」


「400m先に魔物の反応があるわ。そこを目指しましょう」


「わかった。そこに行こうよ」


シャルルが剣を持って前衛を担当して美香が弓を持ってその後ろをついていく。優斗は二人から少し離れた距離でスキル隠密を使い姿をくらませて後を追う。


魔物に200m近づくとその魔物が動き出した。その動きから魔物がウィンドウルフだと三人は推測する。そして10秒ほどして木々の間からこちらに向かってくる4匹のウィンドウルフが確認できた。


まず美香が動いた。美香は多重思考に高速思考、未来視と照準のスキルをフル活用する。そして、息を止めて弓に矢をつがえる。弓を弾き矢を放つ。矢は何もいない方向に飛んでいくように見えるが木の陰からウィンドウルフが飛び出してきてその頭に矢が突き刺さる。


美香はもうスキルを使いこなせるようになっていた。そして3匹のウィンドウルフが前衛のシャルルに到達するシャルルは剣を構えて先頭を走るウィンドウルフに振り下ろす。剣はウィンドウルフの頭を真っ二つにした。


後続のウィンドウルフの攻撃をシャルルは未来視で予測して避けていく。そのウィンドウルフに美香の矢が放たれる。その矢はまたウィンドウルフの頭に突き刺さった。


シャルルは振り返り向かってくるウィンドウルフを待ち構えて剣を振るう。その剣は見事にウィンドウルフの頭を切り裂く。二人はもうウィンドウルフごときでは相手にならないほど強くなっていた。優斗は二人の動きを見て感心した。


「二人とも、ご苦労さん。もう、ウィンドウルフでは相手にならないね」


「そうね。スピードについていけるようになったわ」


「美香も昨日の後半くらいから未来視のスキルを使いこなせるようになったから、ウィンドウルフのスピードに脅威を感じないよ」


「それなら、ウィンドウルフのテリトリーを早めに抜けて次の魔物を探そう」


三人は一時間かけてウィンドウルフのテリトリーを抜けた。その間の戦闘はウィンドウルフに触れられることなく全てのウィンドウルフを倒すことが出来た。


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