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093 シャルルに服のプレゼント

優斗は二人と別れるとソラと待ち合わせをして調理室に向かった。美香のリクエストの魚料理をお願いするためだ。ソラに魚貝類や海藻類にキノコなどの山の幸を渡したが料理をするまでに材料をそろえる時間が無いと言うことでコックに直接、食材を手渡すことになった。


コックは懐石料理を作ると言う。そのメニューに合わせてコックは食材を優斗に求めてくる。優斗はコックの言うとおりの食材を渡して自分の部屋に戻ってお風呂に入り少し時間があったのでベッドに寝転がり時間をつぶした。


勿論、優斗は魔力で動くタブレット端末を創造していた。それに日本でいるときに異世界もののラノベを幾つも購入して保存してある。優斗は暇さえあれば異世界もののラノベかネット小説を読んで異世界でどう過ごすか考えていた。


優斗は集合の時間になり食堂に向かう。食堂にはシャルルと美香はもう来ていた。


「お兄ちゃんは城にいるときもジャージを着ているの? 少しは身だしなみに気をつけたらいいのに。ここはお城だよ。お城でジャージ姿ってどうなの?」


「あははは、美香は手厳しいな。家の中ならジャージでも気にならないだろ」


「ここは家じゃないよ。お城だよ。それとシャルルさんの服もどうにかしてよ。まともな服はジャージしか持っていないんだよ」


シャルルは優斗が渡したジャージを着ていたが美香は日本にいるときの様な部屋着を着ていた。シャルルは美香のその恰好を見て羨ましそうにしている。シャルルもやはり女性なので服には興味がある。


「お兄ちゃん、第一男として女性に服をプレゼントするときにジャージを選ぶことが先ず信じられないよ。シャルル姉みたいにイケている美少女にはそれにふさわしい服を送るべきだと思わないの?」


「急にそんなことを言われても困るんだが……」


優斗は今までに女性に服を送ったことなどない。母親の和子にさえ服を送ったことが無いのだ。それどころか女性とまともに話をしだしたのも神様に会ってからだ。それ以前は女性とまともに話したことすらない。


そんな優斗には美香が求めていることのハードルがとても高かった。しかし、確かに美少女であるシャルルにはもっと見栄えのある服を着て欲しいとは思った。


いくら優斗が着る物に無頓着と言ってもコーディネートのスキルを持っているので今ならどうにかシャルルに似合う服を選ぶことが出来る。ただ、シャルルには等価交換の画面が見えないのでシャルルが自分の好みの服を選ぶことは出来ない。


「それもそうだな。やっぱり女性は着飾らないといけないな」


美香とシャルルを見比べて優斗はそう思った。綺麗なシャルルが城の中でジャージ姿でいるのに違和感を覚えた。それに美香を見て羨ましそうにしているシャルルを見れば何か似合いそうな服をプレゼントしたくなった。


「シャルルさん、美香が着ている服が気になる?」


「シャルル姉は美香が着ている服が気になるの?」


「気になるわね。凄く可愛い服だもの。気にならないわけが無いわ。でも高そうな服だし、私に買えるかしら?」


シャルルは美香が着ている服を村で見たことが無い。村に来る商人でも美香が着ているようなおしゃれな服は持っていないだろう。シャルルは勘違いしているが美香が着ているのは部屋着であって外に出かけるときに着るようなおしゃれな服ではない。


それにシャルルは今まで美香が着ているような可愛い服を着たことが無い。自分が着て似合うか心配だった。自分が可愛い服を着たいと言ったのを恥ずかしく思った。


「今のシャルルさんなら余裕で買えるよ。今日、狩った魔物の代金でシャルルさんの取り分は2,248,000(セル)になっているよ。オークの肉は高く売れるしウインドウルフの毛皮も良い値段がしたよ。魔石もC級の魔物だから高く売れたしね。美香も同じ金額を稼いでいるぞ。1(セル)は1円と等価交換できるんだ。美香も今日一日で2,248,000円稼いだことになる。お金はレベル上げが終わってからまとめて二人に渡すよ。それまでは俺が持っておくことにする」


シャルルはオークの肉やウインドウルフの毛皮がいくらで取引されているか知らないので優斗が教えてくれた自分の取り分の金額を聞いて驚いた顔をする。


田舎のシャルルの全財産が3万(セル)くらいだった。シャルルの全財産の70倍の金額を今日一日で得たことに彼女は驚いた。


「今日一日でそんなに儲けることが出来たの?」


「私も驚いているわよ。一日でそんなに稼げるとは思っていなかったわ」


二人が驚くのも仕方がないことだ。普通の初級の冒険者が稼げるような金額じゃない。二人は優斗によって規格外の存在になっているから一日でこれだけの金額が稼げたのだ。


普通は魔物を倒すのもたいへんだけど、魔物を見つけるのも大変なのだ。その点、二人は魔法で簡単に魔物が倒せるし、マップで魔物は直ぐに見つけることが出来る。ダンジョンに入りさえすれば稼ぎ放題なのだ。


「だってシャルルさんと美香の二人でオークだけでも124頭も狩ったしウインドウルフは64頭も狩ったんだよ。それくらいの金額にはなるよ」


「……そ、そうなんだ、なんだか信じられない金額だわ」


「美香も驚きだよ」


「美香は2億5千万も持っているんだぞ、今更、200万くらいで驚くなよ」


「そ、それもそうだね」


普通の冒険者はパーティーで魔物を狩るそして亜空間倉庫(インベントリ)を持っていないので自分たちで運べる分しか魔物は狩らない。それに、転移の魔法も使えないので一日中狩りをすることもしない。


優斗たちは転移で好きな場所に移動できるし亜空間倉庫(インベントリ)も持っている。そのため狩りたいだけ魔物を狩れるし、狩った魔物全てを持ち帰ることが出来るので多くのお金を得ることが出来るのだ。


「シャルルさんは金持ちになったんだよ。そのお金で服を買ってみる?」


「そんなことが出来るの?」


「出来るよ。俺のスキル創造のことは話したでしょ。服を創造で作ることが出来るから安くするよ」


シャルルはジャージ貰うときも遠慮をしていたので優斗はシャルルに服を売ることにした。その方が、シャルルが気兼ねなく服を貰ってくれると思ったからだ。でも結局、優斗は最終的にシャルルから代金を取るようなことはしない様にしようと考えている。


ダンジョンで稼いだお金はレベル上げが終わった最終日にシャルルと美香の二人に優斗は渡すつもりでいる。その時に代金を引いたと言ってシャルルにお金を手渡せばいいと考えている。


「それなら。美香の着ているような服が欲しいわ。私も可愛い服が着てみたいわ」


「分かったよ。今すぐ服を創造するね」


「シャルルさんだけずるい。美香も服が欲しいよ」


「美香は俺がどういう服を作るか選べないだろ。日本で買い物して異世界で得たお金を使はないとお金は無くならないぞ。異世界で得たお金を使って自分で選んだ服を買った方が楽しいと思うぞ。それに、ダンジョンでシャルルさんと日本に行ったときに一緒に服を買いに行く約束をしていただろ」


美香はレベル上げの時にシャルルとそう言う約束をしたことを思い出した。それに服に無頓着な優斗が作り出す服に美香は興味が持てなかった。やっぱり服は自分でも確認したものが欲しいと美香は思った。


それは優斗にとっては心外なことだった。コーディネートのスキルを取ってからは一応コーディネートの感性はプロ並みだ。これからシャルルに作ってあげる服のセンスにも自信がある。


しかし、それでも優斗は高い服に金をかけると言うことにすこし不満があった。「デパートの安売りの服でも十分じゃないか」というのが優斗の本音だ。


優斗は自分の感性で服を創造するのではなく等価交換のメニューの中からシャルルに似合いそうでブランド物の服のデザインを選んで服を上下フルセットで10組作った。


靴下も10組創造した。服に合わせて靴も5足創造する。運動靴もついでに創造した。その服と靴のすべてに自動サイズ調整の魔法と自動修復の魔法を付与する。


それをシャルルに手渡す。シャルルはその服と靴を貰って興奮したようにテーブルの上に服を広げる。どの服もおしゃれで高そうな生地が使われている。それに今まで着ていた麻の服と比べるとどの服も雲泥の差がある。


そのような服をシャルルが気に入らないわけがない。美香はシャルルが貰った服を見て優斗のセンスに驚いた。


「お兄ちゃん、いつの間にこんに良い服を選ぶようにセンスが上達したの?」


美香は優斗と一緒に出掛けたときに彼が着ていた安物のダサいTシャツとジーパンの印象が強くて優斗が洋服を選ぶことが出来ないと思っていた。

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