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091 シャルルと美香のレベル上げ③

優斗たちは強い魔物を求めて森の奥に進んでいく。でも直ぐに強い魔物に出会えるわけではない。途中で出会ったオークにオークジェネラルたちを倒しながら進んでいく。


魔物を倒すことによってシャルルと美香はますます気持ちに余裕が生まれてきた。普通の人では考えられないが魔物が住む森の中だと言うのに全く緊張感が無い。優斗は二人がこの調子で本当に大丈夫なのか心配になって来た。


この場所が二人にとって危ない場所だと言うことに対しての心配ではない。それは自動防御の腕輪があるので全く心配していない。でも緊張感はもっていて欲しいと優斗は思っていた。


そんな優斗の気持ちを知らない二人は地球のことについて話していた。とくに服の話しと食べ物の話が主な内容だった。美香はシャルルがジャージごときで「高級なものを貰えない」と言っていたことに疑問を感じていた。


美香からしたら『たかがジャージごときで何を言っているんだ』と言う気持ちだった。北欧系の美少女のように見えるシャルルがジャージを着ていることに美香は違和感を持っていた。ジャージをシャルルに贈った優斗のことを信じられないと思っていた。


ジャージは少女に贈るような服じゃないというのが美香の考えだ。ジャージを平気な顔をしてシャルルに贈る優斗の感覚を疑う。ジーパンに革ジャンでも良いじゃないかというのが美香は思っていた。しかも、そう思っている美香にもジャージを渡してきたのだ。


次からは女性に贈り物をするときは美香に相談するように優斗に伝えたくらいだ。優斗は何故美香がそのようなことを言っているのか理解できないような顔をしていた。その顔を見て美香は優斗に腹を立てていた。


「本当に、信じられないよ。女の子にジャージをあげるなんてさ」


「そうなの? この服に使われている生地は高級品だと思うわよ」


シャルルは美香と違って優斗からジャージを貰って喜んでいる。そのうえこのような高級品でダンジョンに来て良いのかとさえ思っているくらいだ。ダンジョンで魔物との戦闘で服が破けたり汚れたりすることを心配していた。


「シャルル姉、ジャージは寝巻みたいなものなんだよ。それに汚れても良いような服なんだよ。だからお兄ちゃんは汚れてもいいようにジャージを着てダンジョンに来ているんだよ。でもね、女性にジャージを贈るなんて男が考えることじゃないよ。もっと他にも良い服があるのにさー。もう、お兄ちゃんは服に無頓着なんだから」


シャルルは美香の言っていることを理解できなかった。優斗から得た地球の情報でいろいろな生地の服が地球に存在することは分かっていた。でも若者がどういう服を着ているかというような情報までは学んでいなかった。


優斗が服に無頓着なことがありそういう情報を優斗は持っていない。叡智も生地などの情報は持っているが女の子がどういう服を好んで着るかまでは把握していない。なので、シャルルの得た情報は完全なものではなかった。


「私はこの服で満足なんだけどな。美香はそうじゃないみたいね。それなら今度、地球に優斗が私を連れて行ってくれると言うから、その時に私の服を選んでくれる?」


「そうだね。地球に行ったときに一緒に服を買いに行こうよ。このまえお兄ちゃんに連れて行ってもらったところなんて良いと思うな。シャルル姉、地球に行ったらいろいろな服屋を案内するね」


美香は優斗に連れて行ってもらったラフォーレ原宿にシャルルを連れて行くことを思いついた。シャルルのような美少女ならどんな服でも似合うだろうと思っている。スキルコーディネートも持っているのでしっかりしたものを選ぶ自信があった。


「楽しみにしているわ。お金はダンジョンで稼いだらいいしね。優斗にお願いして日本のお金に換金してもらうようにするわ」


「地球に行くのが楽しみになって来たね。早くレベル上げをしてシャルル姉を地球に連れて行きたくなったよ」


美香はシャルルが日本に行けるのを楽しみにすることんした。そして日本に行ったら二人で原宿にでも行って服を買おうと思った。


シャルルも美香の地球での話を聞いて一緒に服を買いに行くのが楽しみになってきていた。そしていつか日本に行けることを喜んでいた。


「私も美香の話を聞いて地球に行きたくなってきたわ。その時はいろいろなところを案内してね」


「うん、任せて」


優斗は呑気に話をしている二人をどうにかならないものかと考えていたがどうにもできなかった。


「二人とも、もう直ぐ魔物の近くに着くぞ。少しは緊張感を持ってくれよ」


「ごめん、優斗。悪かったわ。ダンジョンにいることを忘れていたわ」


シャルルはこの世界の住人だけあってダンジョンの危険性を分かっている。ダンジョンの魔物ではないが両親が魔物に殺されているのだ。そう思うのは当然だ。だが美香は日本育ちでダンジョンの本当の恐ろしさを知らない。


「えーっ! 良いじゃない。自動防御の腕輪があるし心配ないでしょ」


「そういう問題じゃないんだよ。ダンジョンでは普通何人もの人の命が奪われているんだぞ。そういうことを少しは理解してほしいんだよ」


美香は優斗に言われて少しはダンジョンについて考えを改めることにした。確かに自動防御の腕輪が無ければダンジョンは危険な場所だと考えを改めた。


「ごめん、お兄ちゃん。これからは気を付けるよ」


「分かればいいんだよ。理解してくれて嬉しいよ」


美香が反省して二人はさっきのように大きな声では話をしなくなった。それでも二人は女の子だ。地球のファッションについて美香がシャルルにレクチャーしていた。シャルルは化粧もしていないのでこんど化粧の仕方を教えることを美香はシャルルと約束した。


そしてまたオークに近付いた。もうオークでは二人は慌てることもない。淡々とオークを魔法で狩っていく。そしてまた先に進む。そうして1時間ほど進んだところでオークよりも大きな魔物の反応を確認した。


「この反応はウィンドウルフだな。ウィンドウルフはレベル30代の魔物だけど俊敏力がオークよりもはるかに高い。それに気配察知のスキルも持っているから隠れることは出来ないと思っても良い。二人ともウィンドウルフのスピードには気を付けて」


「分かったわ。気を付けるわね」


「うん、スピードに注意するよ」


マップではウィンドウルフまでの距離は500mはある。三人はウィンドウルフの反応のする方に近付いていく。200mに近付いたところでウィンドウルフが動き出した。4匹のウィンドウルフが優斗たちを目指して走ってくる。そのスピードはかなり速い。


ウィンドウルフは森の木々をすり抜けるように素早くシャルル達に近付いてくる。10秒もしないうちにウィンドウルフが木々の間から見えた。でも木が邪魔でなかなか魔法を撃つことが出来ない。


ウィンドウルフはもう目の前に迫っていた。シャルルと美香は魔法を放つ。


「アースニードル」


「アイスアロー」


二人の魔法はウィンドウルフに向かって飛んでいく。しかし、ウィンドウルフは体を捻って魔法を避けた。二人は初めて魔法を避けられて驚く。その間にウィンドウルフが二人に近付いた。


そして二人に襲い掛かる。口を開けてウィンドウルフが二人に噛みつこうとしたが自動防御が働いてウィンドウルフの攻撃を防いだ。優斗もこの世界に来た時に経験したように二人はウィンドウルフに激突されて大きく吹きとばされることになった。


でも、自動防御のおかげで怪我はしていない。すぐに立ち上がって魔法を放つ構えを取る。ウィンドウルフは何がおこったのか理解できないで頭を振るった。そして二人に向かって走り始める。


「シャルルさん、美香。スピードのある魔物の頭を狙うのは無理だよ。点で攻撃しないで面で攻撃しろ。機関銃のように打ちまくれ。何発も同時に広い範囲に魔法を放て」


「分かったわ」


「了解」


シャルルと美香は優斗の言っている意味を理解した。今朝、湖岸でその練習はしていた。スキル瞬間記憶でそのことは完ぺきに頭に入っている。慌てることなくいくつもの『ストーンバレット』をウィンドウルフに向かって放つ。


ダダダダダダダダ!


『ストーンバレット』は機関銃のようにウィンドウルフを襲う。今回はウィンドウルフは『ストーンバレット』を避けることは適わなかった。二匹のウィンドウルフが地面に転がる。しかし残りの二匹がシャルルを襲った。


シャルルはまた吹きとばされた。その隙に美香がウィンドウルフに『ストーンバレット』をダダダダダと撃ち込んだ。一匹のウィンドウルフを始末できた。シャルルは直ぐに立ち上がり方向転換してくるウィンドウルフに『アイスニードル』をダダダダダダと撃ちまくった。


最期の一頭も仕留めることが出来た。二人は自動防御の腕輪に感謝した。優斗にこの腕輪を貰っていなければ今頃は死んでいただろう。そして死闘を得てステータスを確認した。


シャルルは一回の戦いで2もレベルが上がっていた。美香は3上がっていた。

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