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088 シャルルと美香の魔法の練習②

シャルルと美香は順調に魔法を覚えて行った。もう、優斗が教えることは何もなかった。全ての知識は魔法で二人には与えている。後足りないのは実践のみだ。


「二人とも魔法の扱い方を覚えてきたようだね。威力の調整も出来ている。これからは魔物の頭を狙って魔法を撃って見て。ヘッドショットっていうんだ」


「ヘッドショットっていう言葉は初めて聞くけど言っていることは分かるよ」


「シャルルさん。その言葉は地球で使われている言葉なんだ。さっき地球の知識を覚えてもらったから理解出来るんだよ。まあ、言語理解でも理解できると思うけど言葉の意味は分かってもどういうことを示しているのか地球の知識が無いと理解できないでしょ」


美香の言う通り言語理解では言葉は通じてもその言葉が何を意味しているのかまで細かい内容は理解出来ない。そのために優斗はシャルルに地球の兵器と科学の知識を与えたのだ。


「そうね。頭を撃つっていう風に言語理解では理解できるけど頭を撃ち抜いて一撃で敵を倒すと言うことまでは地球の知識が無いと理解できなかったわ」


「美香は理解できているよな」


「勿論よ。映画なんかで使われているのを聞いたことがあるもの。でもどうして頭を撃ち抜く必要があるの? 体を撃ち抜いても魔物は死ぬでしょ」


美香はそれが疑問だった。魔物を殺すなら手段を択ばずに殺せば良いと思っていた。だけど優斗はヘッドショットする様に言ってくる。


「美香、それは良い質問だ。体を撃ち抜くとその部分の素材が使えなくなるんだよ。頭を撃ち抜いて倒したほうが高く魔物の素材が売れるんだ」


「そういうことなんだね。分かったよ。ヘッドショットの練習をするね」


「私も理解できたよわ。早速、的を作ってく欲しいわ」


美香とシャルルはやる気満々だ。初めて魔法を使って興奮しているのだ。優斗は二人の気持ちがよくわかる。優斗も初めて魔法を使った時は興奮したものだった。


「それじゃあ、大丈夫だね。今度はいろいろな魔物のゴーレムを作るから頭を魔法で撃ち抜いてくれ」


優斗はそう言いオーク型や狼型に熊型のゴーレムをいくつも作り出した。そのゴーレムの頭に向かって二人は魔法を放つ。そしてゴーレムの頭を魔法で撃ち抜いていく。


二人とも土魔法の初級魔法や中級魔法の『ロックバレット』『ロックアロー』『ロックランス』に水魔法の初級と中級魔法の『アイスニードル』『アイスアロー』『アイスランス』、風魔法の初級と中級魔法の『ウインドボール』『ウインドカッター』『ウインドハンマー』『ダウンバースト』などを練習していた。


そしてヘッドショットが上手く使えるようになると優斗は次の魔法の練習に取り掛かった。同じように魔物のゴーレムをいくつも作り出した。


「今度は。スキル高速思考とスキル多重思考それにスキル未来視を使った魔法の練習をしようと思う。魔法を一発じゃなくて機関銃のように何発も連続で素早く撃つ練習と一発ではなく数十発の魔法を一度に撃つ練習をするよ。見本を見せるから、よく見ていて」


優斗はそう言うとゴーレムに向かって凄い速さで連続して魔法を撃ちだした。その魔法は全てのゴーレムの頭を撃ち抜いていた。スキル照準がうまく機能していた。もう一度ゴーレムを作り直して今度は魔法を同時に20発打ち出した。


打ち出した魔法は一度に多くのゴーレムの頭を撃ち抜いた。次に魔法を多方向に一度に何発も放って見せた。


「今、見せた魔法をやってみて欲しい。スキル高速思考とスキル多重思考にスキル照準とスキル未来視を使えばうまくいくはずだから。点ではなく面で捉えて広範囲に魔法を撃つ練習だよ。素早い動きをする魔物に有効だ。まあ、試してみてよ」


シャルルは目の前で見せてくれた優斗の魔法に感動していた。そして同じことを優斗はシャルルにやれと言う。自分もそのような魔法が使えると言う事だ。シャルルは地球の知識からその魔法がどういう原理で出来ているのか理解した。


「凄い魔法ね。機関銃と言う武器の知識が無かったら理解できなかったわ」


「そうでしょう。この世界の言葉でなんて説明していいか分からなかったから、シャルルさんに地球の知識を教えたんだ」


シャルルは優斗の言っていることが理解できた。たしかに地球の知識が無いと分からなかったことが多くあった。


「そうね、地球の知識は必要だったわね。直ぐに練習してみるわ」


「私も練習するよ」


優斗は今までの4倍の80体のゴーレムを作り出して湖岸に並べた。一度に多くのゴーレムを倒すのでそれくらい準備しないと直ぐにゴーレムが倒されてしまうと思ったからだ。


優斗がゴーレムを作り出すと直ぐにゴーレムは動き出した。先ほどとは違いゴーレムの動くスピードが速い。二人は戸惑うが直ぐに優斗がさっき見せた魔法を思い出した。そしてその魔法を実際に使ってみる。


スキル高速思考とスキル多重思考を使うように心がける。そして機関銃のように『ストーンバレット』をゴーレムに討ちまくる。するとゴーレムの数がみるみるうちに減っていくのが分かった。優斗は二人がスキル高速思考と多重思考の使い方をマスターしたことを知った。


二人とも10回ほど練習して魔法のコツをつかんだようだ。最後に優斗は上位魔法を二人に実践させた。


「美香はインフェルノを放ってみてくれ」


「シャルルさんは美香の魔法の後にアブソルート・ゼロを放ってみて」


「「分かったわ」」


美香は優斗に言われるままに上級魔法の『インフェルノ』を放った。するとあたり一面が火の海に変わった。そしてシャルルはその火の海を消すように『アブソリュート・ゼロ』を放つ。


シャルルの放った魔法で火は消えたがあたり一面氷の世界に変わった。優斗は荒れ果てた湖岸を時空魔法で時を戻して元の状態に戻す。それを見てシャルルと美香は凄いと思った。


二人とも時空魔法は使えるが時を巻き戻す魔法には膨大な魔力が必要だと知っているからだ。シャルルと美香の今の魔力量だと到底さっきの優斗のように広範囲にわたる時の巻き戻しは出来なかった。


いや今以上に魔力量が増えても成し遂げることが出来る魔法じゃなかった。それを優斗は簡単にやり遂げてしまった。優斗はニーベルリングで無限の魔力を持っているから使うことが出来る魔法なのだ。


「二人とも。これで理解できたと思うけど上級魔法は広範囲魔法がおもな魔法だ。使いどころが限られている。俺は上位魔法は滅多に使わないようにしている」


「本当に凄い魔法だね。私、驚いちゃった。これは簡単に使っちゃいけない魔法だね」


「私もそう思うよ。これは簡単に使ってはいけないものだわ」


「二人とも理解が早くて助かるよ。一応、上位魔法を使うと魔物の狩りは楽なんだよ。でも楽過ぎてつまらないんだ。ゲームでもそうだけど一撃で敵が全滅したら面白くないだろ? それに中級魔法まで使えれば魔力を調整してほとんどの魔物を殺せるよ」


優斗の言うことを美香は理解できた。一撃でゲームがクリアー出来たらゲームは楽しめない。シャルルも地球の知識でゲームを理解できた。


「そうだよね。一撃で終わったら面白くないよね」


「私はゲームの知識があるが実際にやったことが無いから優斗の言っていることがピンとこないな」


「魔物の狩りはゲームみたいに楽しみながら一匹一匹倒したほうが楽しいんだ。一撃で終わらせるとルーチンワークになってしまってつまらなくなるんだよ。だから魔物を倒すのを楽しむためにも初級魔法か中級魔法の方が使い勝手が良いんだよ。まあ、俺は魔法より剣か弓術の方が好みだけどね」


優斗は魔法で簡単に魔物を狩るよりも剣で接近戦を挑むのが好きだった。ダンジョン攻略の時もほとんど魔法は使っていない。魔法を使うのはその魔物を剣で倒せないときだけだった。


「私も弓を使ってみたい」


「じゃあ、私は剣だわ」


美香は弓に興味があるようだ。シャルルは剣を選んだ。


「でも今はだめだ。今からシャルルさんと美香には格上の魔物の相手をしてもらうからな。接近戦や弓では仕留めきれない。魔法は腕輪に込められている10万魔力があるし魔法のスキルレベルが10あるから冒険者で言うとBランク相当の実力を二人は持っている。だから最初は体力がつくまでは魔法で魔物を狩るぞ。それと上級魔法であの威力だから最上級魔法は俺の許可なく使わないこと。これは決まりだからね」


「分かったよ。お兄ちゃんの言っていることを守るから早く狩りに行こうよ」


「私も早く魔物を狩ってみたい」


シャルルも美香も魔物を狩る気まんまんになっていた。二人とも精神耐性Lv.10を持っているので魔物を狩ることに躊躇いは無かった。シャルルは両親を殺した魔物を憎んでいるのでなおさら魔物を狩ることを楽しみにしていた。


優斗は二人の魔法の上達っぷりを喜んでいた。これですぐにでも魔物の討伐に行ける。でもその前に腹ごしらえだと思った。


「二人とも、狩りに行く前に食事が先だ。城に戻るぞ」


「「はい」」


こうして三人は城に食事に戻っていった。


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