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087 シャルルと美香の魔法の練習①

優斗はシャルルと美香を連れて城の目の前にある湖に向かって歩いている。これから優斗は湖畔でシャルルと美香に魔法を練習させるつもりでいる。


「美香は朝ごはんを食べたのか?」


「うん、食べたよ。ハムエッグとパンが出てきた。メイドのナツさんが私につきっ切りだったから緊張したよ。メイドが一日中付き添うことなんて直ぐには慣れないよ」


優斗はメイドが付き従うことをまだ経験していないので美香の苦労が分からなかった。


美香は他人にいちいちついて来られるのを鬱陶しいと思っていた。でもここは異世界で城の中だからメイドが自分に付き従うのが当たり前なのだと美香は自分に言い聞かせていた。


「あははは、俺はまだこの城で生活したことが無いから、これからそう言う経験をするんだろうな。まあ、そのうちに慣れるさ……」


「そうだと良いけど」


湖に着くと美香は夜に湖を見て綺麗だと思っていたが朝に見る湖には湖面に森が写っていてさらに綺麗に見えた。


「この湖は綺麗だね。美香はこの景色が気に入ったよ」


「そうだな。俺もあまり観察したことが無いから今気づいたよ」


「私もそう思うわ。本当に綺麗な湖ね」


シャルルも湖を綺麗だと思っているようだ。彼女は今日初めて湖を見たのでことのほか感動していた。そして三人は湖の湖岸にある砂浜に着いた。


「ダンジョンて本当に凄いよ。自分専用の城に目の前にはプライベートレイクがあるんだから」


「本当よね。私もダンジョンのことは詳しくないけど、これが全て優斗の物なんでしょ」


美香とシャルルは優斗がダンジョンマスターだと改めて認識した。そして優斗が規格外な人間になっていると思った。


「まあね。だからこのダンジョンは俺の思うがままに出来るんだよ。いつかもっと楽しい階層を作ってみせるよ」


「その時を楽しみにしているよ」


「私も楽しみにしているわ」


そこで優斗は気合を入れなおして二人に目を向ける。


「ここで、魔法の練習をするぞ」


突然そう言われて二人は戸惑うが今日からレベル上げをおこなうと聞いていたのでいつかは魔法の訓練を行うとは思っていた。


「私は魔法を使うのが初めてだけどうまくいくかな?」


「美香もそれが心配だよ」


二人の心配は最もだ。しかし優斗は自分も初めてだったけど直ぐに魔法が使えたので二人も大丈夫だろうと心配はしていなかった。


「大丈夫だよ。二人には魔法の知識があるだろ。それに二人の魔法のレベルはどれも10になっている。レベル10はもっとも高いレベルなんだよ。賢者でもなれなかったくらい凄いんだぞ。案外簡単に魔法を使えるから心配ないよ。シャルルさんには地球の常識や知識を与えるからこっちにきてほしい」


「地球って優斗のいる世界のことだよね。その知識が必要なの?」


「うん、これからの訓練や実践では地球で使われている言葉で教えたりすることがあるのでその知識が必要なんだ。とくに科学や地球で使われている兵器についての知識を教える必要があるんだよ」


「分かった。その知識を教えて欲しい」


シャルルが優斗の前まで行くと彼はシャルルの頭に手をおく。そして闇魔法の相手を洗脳する魔法を利用して地球の常識や知識を与えていく。そしてシャルルは優斗から地球の科学や兵器の情報を得た。


「これが地球なんだね。優斗が住んでいる世界には危険な兵器というものがあるんだね」


「そうなんだ。魔法が無い代わりに科学というものが発達しているんだ」


「ほんとうに科学ってすごいね。馬が引く馬車の代わりに車っていうものがあるんだね。それに武器は凄いものだと思うよ」


シャルルは優斗に与えられた地球の武器の知識でミサイルの存在や戦車や核兵器について恐怖を覚えた。特に核兵器は魔法より凄いものだと感じた。


「これでシャルルさんに魔法のことについて教えることが出来るよ」


「よろしくね。優斗」


「はい、これから俺が的になるゴーレムを土魔法で作るから二人とも初級魔法か中級魔法で攻撃してみてくれ」


「「分かったわ(よ)」」


優斗は30メートル離れた位置にゴーレムを20体ほど作り出した。優斗が作ったゴーレムは無差別に美香とシャルルに向かってくる。ゴーレムに攻撃されても自動防御の腕輪があるので心配はいらない。


「あのゴーレムに魔法を放っていいよ」


シャルルは早速、魔法を放つ。


「ファイヤーボール」


美香もシャルルに続いて魔法を放った。


「ウォーターボール」


シャルルの放ったファイヤーボールはゴーレムにあたってゴーレムを吹き飛ばした。美香が放ったウォーターボールはゴーレムを貫いた。


「あっ!? 私のファイヤーボールでゴーレムが吹き飛んでしまったわ!」


「私のウォーターボールはゴーレムを貫いたよ。水の魔法なのに思った以上に貫通力があるんだね」


シャルルと美香は自分が放った魔法が思った以上の威力が出ていたので驚いた。優斗はゴーレムに攻撃をやめるように指示を出す。そしてゴーレムの動きが止まった。


「二人ともこれでわかっただろ。あのゴーレムはオークと同じくらいの強さに調整してあったんだ。普通のファイヤーボールではオークを吹き飛ばすことが出来ないしウォーターボールはオークの肉体を貫通しないんだよ。でも二人に与えた魔法の知識が凄いことと俺が与えた腕輪に10万の魔力がこめられている。それに二人が持っている魔法スキルの火魔法Lv.10と水魔法Lv.10の威力だとああいう結果になるんだ。二人とも魔法について自信がついたんじゃないか?」


「自信はついたけど……」


「そうね。威力が半端ないわね」


美香とシャルルは自分が放った魔法の威力に驚いていた。まさか初級魔法でゴーレムが吹き飛んだり水魔法の初級魔法でゴーレムの体に穴が開いたりするとは思っていなかったからだ。


「二人とも今日初めて魔法を使ったんだ。これから威力調節をしていく練習をすれば良いよ。魔法の威力は魔法に込める魔力の量で決まってくる。魔力を込める量をいろいろ調節して見ると良いよ。この際だから魔力操作のスキルを与えておこう」


優斗はそう言い魔力操作のスキルを二人に与えた。シャルルには念話と瞬間記憶に速読のスキルも与えておいた。


「これで、魔力調整も簡単に出来るようになったと思う。ただ、練習で火魔法を使うのは良いけど実践では禁止だから」


「お兄ちゃん、それはどうしてなの? 木が燃えたりして火事になるから?」


「森が火事になることを心配しているんじゃないぞ。火魔法で魔物を倒すと素材が黒焦げになるだろ。売った時に値段が下がるんだよ。だから練習では覚えている全ての魔法を使って魔法の練習をしてもらうけど、実践では火魔法と雷魔法は禁止なんだ」


シャルルと美香は優斗の説明を聞いて納得した。そして残りのゴーレムに向かって魔法を放とうとゴーレムを見る。しかし、優斗の命令でゴーレムは動いていない。


「分かったわ。練習の続きをするね」


「私も練習する。シャルル姉。どっちが早く魔法を思い通りに打てるようになるか勝負しようよ」


「負けないからね」


「望むところよ」


「お兄ちゃん、ゴーレムを動かしてよ」


「分かった。それじゃあ、訓練の続きをするぞ」


それから二人は魔法の威力を調整しながら魔法を放つ。魔力操作Lv,10のスキルのおかげでうまく魔力のコントロールを直ぐに2人はマスターすることが出来た。シャルルの方が先に魔力の調整をマスターした。美香はシャルルに負けて悔しがった。


優斗は壊れたゴーレムを崩すと次々にゴーレムを作成していく。そのゴーレムを的に二人は魔法の練習をしていく。


二人は魔法にだんだんと慣れて行った。そして各属性魔法の中級まであっと言う間にマスターした。

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