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082 美香にダンジョンの城を案内する。

城をでるとそこには綺麗に整えられた庭園が続いていた。そして城の門を出ると城の全貌が明らかになる。とても大きな城だと美香は思った。そして某テーマパークにあるシンデレラの城に似ていると思った。そして城の目の前に広がる湖の美しさにも感動した。


「凄く綺麗なところだね。城も凄いし湖も綺麗だよ。私ここが気に入ったよ。お兄ちゃん、ここで生活できるなら地球に戻らなくても良いんじゃない?」


「そんなわけにはいかないよ。ここには人がいないんだよ。それに父さんと母さんに会えなくなるのはつらくならないか?」


優斗はせっかく仲良く暮らせるようになった家族と離れ離れになるのは嫌だった。それに地球には出会って僅かな時間しか過ごしていないが祈里という気になる女性もいる。だからずっと異世界で生活しようとは思わなかった。


「それもそうだね。私たちだけで生活するわけにもいかないよね」


美香は優斗の言っている意味をちゃんと理解したようだ。


「美香、この実を食べてくれないか?」


優斗はエンブリオの実を食べると種族がハイヒューマンになって500年の寿命になることや配偶者や子供が進化した種族になることを説明した。


「俺たちはこれからこの異世界と地球との二重生活をすることになる。両方で年を取っていくので長寿種にならないと直ぐに年老いてしまうことになる。この実を食べてくれるか?」


そしてエンブリオの実を美香に差し出す。しかし美香は直ぐにエンブリオの実を受け取らなかった。美香は地球が好きだ。友達もいる。その友達たちと違う種族になるのに懸念を示した。


「ちょっと私には過ぎた食べ物だと思うけどお兄ちゃんは食べたんだよね」


「ああ、食べた。俺はハイヒューマンになっている。この世界で俺は三カ月過ごした。でも地球では一瞬の時間しか経過していない。この世界で歳を取って元の世界に戻ると浦島太郎のような状態になってしまうんだよ」


そういわれると異世界で過ごした時間年を取って地球に帰った時に自分だけ成長していたらおかしいと美香は思うようになった。


「それなら分かったよ。食べることにする。でも父さんと母さんは歳を取っていくでしょ。私たちだけ長寿になっても良いの?」


美香は自分たちだけが長生きして両親がそうならないことを懸念した。


「その心配はいらないよ。父さんたちには若返りの薬を飲んでもらうつもりでいるから」


「えっ!? そんなものまであるの?」


美香が驚くのも最もだ。種族を変えて長寿種になる木の実や若返りの薬があるなんて今まで考えたこともなかった。それを優斗は簡単に準備してしまう。自分の兄ながら規格外の存在だと思った。


そして、そんな優斗と一緒にいたらこの世界でどのような冒険に巻き込まれるのか楽しみにしていた。自分もレベル上げを行って強くなって魔物を倒すんだと意気込む。


「俺にはそういうスキルがあるんだ。でもエンブリオの実は植物だから俺には作り出せないんだ。だからそれは美香にあげるよ。父さんたちには若返りの薬で若返ってもらって長生きしてもらう予定だ。でも、そうなると将来は地球で生活することは出来ないかもしれない」


「そうね、地球だとどんなに長生きでも110歳くらいだよね。それ以上になっちゃうと異世界で暮らすことになるのかな?」


「俺はそうなることを望んでいるよ。地球で100歳くらいまで生きてもらってその後は異世界で生活してもらう予定だ」


「それなら安心して私もハイヒューマンになれるよ」


優斗はエンブリオの実をもう一度美香に差し出す。美香は、今度は素直にエンブリオの実を受け取ってそしてその実を食べた。とても美味しい味がした。エンブリオの実を食べ終わるのを見て優斗はステータスを確認するように美香に言う。


美香はステータスを確認した。美香の種族はしっかりとハイヒューマンになっていた。


「私、人間をやめちゃった。ハイヒューマンになっているよ」


「それは良かった。ようこそこちらの世界に……」


「あははは、お兄ちゃんはのりがいいなー」


「美香、エンブリオの実のことは誰にも言わないで欲しい。これから紹介するシャルルさんにも内緒だからな」


優斗は異世界の話をした時にシャルルの世話になっていることやこれからシャルルと共に美香もレベル上げをすることを説明してあった。それでもシャルルは他人だ。家族ではない。


優斗の都合に合わせてシャルルの行動を縛るのは良くないと考えていた。シャルルが本当の家族なら強引にでもエンブリオの実を食べてもらっていただろう。優斗はシャルルの人生は彼女のものだからと考えている。


「わかった。誰にも言わないよ」


「ただ、シャルルさんは若返りの薬のことは知っているからその話はしてもかまわないからな。それにこの城に明日連れてきたときに俺たちが異世界から来たことも説明するつもりだから。エンブリオの実以外のことは話をしてもかまわないぞ」


優斗はシャルルをダンジョンの城につれてくるにあたり。話せることは話しておこうと決めていた。シャルルにはここに連れてくる前に説明するつもりでいる。


「お兄ちゃんの言いつけは守るよ。はやくシャルルさんに会ってみたいな。その前に聞いておきたいんだけど、シャルルさんとお兄ちゃんはどういう関係なの?」


美香の目が鋭くなった。優斗はどうして美香の目が鋭くなったのか知らない。でも正直にシャルルとの関係を話すことにした。


「シャルルさんは年上の女性だと教えただろ。お姉さんみたいな存在だよ。頼りになるんだぞ。性格も良い人だよ。きっと美香も気に入るよ」


「ふーん、そうなんだ。お兄ちゃんはその人のことをお姉ちゃんのように思っているんだ。そしたら私もお姉ちゃんと思うことにする。私もお姉ちゃんが欲しかったから」


「そう言ってくれると嬉しいよ。シャルルさんと美香が仲良く成ったら良いと思っていたんだ。これからしばらくは三人でこの異世界で過ごすことになる。仲良くやっていこう」


優斗はこの異世界でも旅に美香も同行させることを考えていた。美香からそう言う申し出があったからだ。美香も異世界に興味を示していた。


「分かったよ。シャルルさんと仲良くする。一緒に旅をする仲になるんだから当然だよ」


美香はこれから会うシャルルがどのような人なのか興味を持った。


「じゃや、美香の部屋に案内しよう」


優斗と美香は城の中に戻り2階にある美香の部屋に案内する。3階は優斗の伴侶や子供たちの専用の階層なので美香の部屋は2階に用意されていた。優斗は美香の御世話係のメイドのナツを連れて一緒に美香の部屋に着いた。


美香は自分に与えられた部屋を見て驚く。部屋は広くホテルのスイートルームを思わせるような作りになっている。そこにはドレッサールームやお風呂場にトイレも完備されていた。


「お兄ちゃん、凄いよ。私この部屋を気に入ったよ」


「それは良かった。それなら今度日本で買う屋敷も同じような部屋にしようか?」


「日本でもこんな部屋に私が住めるの?」


「俺のスキルを使えば簡単に出来るよ。父さんたちの部屋も同じような作りにしようと思っている」


美香は優斗の言っていることを理解して本当にそのような部屋が作れるんだと感心した。


「そんな屋敷に住めるなら嬉しいな」


「美香、今日はここで眠ってくれ。俺はシャルルさんの家に戻らなくてはいけないからな。それと美香の世話をしてくれるミミックスライムのナツさんだ。ナツさんの言うことを聞いていればこの城で迷うことは無いと思うから」


「分かった。ナツさん、よろしくね」


「宜しくお願いします。美香お嬢様」


「美香お嬢様だって、照れるよ」


「気にするな。ナツはメイドだからな。美香はこの城のお客様だからお嬢様として扱われるんだよ」


「分かった。慣れるようにする」


美香はお嬢様と言われて恥ずかしいと思ったが自分の兄である優斗がこの城の持ち主だ。自分はその妹なのでそういう扱いをされるのが当然かもしれないなと理解した。


「じゃあ、俺は行くぞ」


「うん」


優斗は美香にそう言ってRoomの自分の部屋に転移した。

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