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069 祈里と食事

優斗はお腹がすいてきたのを感じた。もうお昼はとうに過ぎている。昼時間前にケーキを喫茶店で食べていたのでお昼時に食事はしなかった。


「そろそろ、何か食べに行こうか」


「そうですね。お腹がすいてきました」


「どこに行きたい? 祈里さんの食べたいところに連れて行くよ」


女性と一緒に食事に行ったことがない優斗。彼は女性どころか友達とも食事に行ったことが無い。そんな優斗は祈里とどこに食事に行っていいか分からなかった。でも、社交的な祈里なら友達と食事などしたことがあるだろうと思い。彼女に聞いてみることにした。


「ハンバーガーショップでも良いですよ。丁度、駅前にありましたよね」


「あったね。モ〇バーガーだよね。そこでいいかな?」


「そこで良いです」


二人はゲームセンターを出てハンバーガーショップに向かった。ゲームセンターからそんなに離れていない距離に目的のお店はあった。二人は腕を絡ませて恋人の様に揃ってお店に入る。


「祈里さんはハンバーガーショップって来たことがあるの?」


「それくらいありますよ」


「そうなんだ。ラノベの定番ではお嬢様がハンバーガーを食べたことが無いという設定がよくあるからお嬢様はハンバーガーを食べに行かないものだと思っていたよ」


「明治時代じゃないんですからね。昭和生まれのお嬢様でもハンバーガーくらい食べ行くと思いますよ。それに今時、皇族の方々でもハンバーガーくらい食べていると思います」


優斗は、お嬢様と言うものにいだいていた想像が正しくなかったと思った。優斗の知識の源の殆どはラノベとネット小説の物だった。祈里に会い新しい知識が増えていく。


異世界から帰ってきて今までの優斗が過ごしてきた日常がまったく違う日常へと変わっていくのを彼は感じていた。そのことを優斗は嬉しく思っていた。


カウンターで食べ物を注文して商品を受け取り奥の席の方に向かう。窓際の席を優斗は選んだ。そして奥側を祈里に進める。


優斗は今まで一人でしか来たことが無いハンバーガーショップに美少女と来ていることを夢のように思った。そしてまた祈里と一緒に出掛けることが出来たらいいなと考えた。


祈里も好きな優斗と二人でハンバーガーショップに来られたことを嬉しく思っていた。友達が祈里に彼氏と一緒に遊んだと自慢する度に彼女は星詠みで占われた運命の相手と一緒にデートすることを夢に思っていた。


今日、その夢がかなった。そして祈里はスマホに貼ったプリクラを見る。そのプリクラは優斗の顔に自分の顔がくっついているのが見える。


祈里は『大胆なことをしたなぁー』と思った。でも後悔はしていなかった。いい思い出が出来たと思った。そして優斗の方を見る。とても素敵な人だなと改めて思う。そして、優斗が運命の人で良かったと思った。


「優斗さん、また一緒に遊びに行ってくれますか?」


「もちろんだよ。映画を見に行くと約束もしているしね」


「そうですね。本を借りる約束もしましたからね。それに優斗さんの誕生日を一緒に祝う約束もしましたね」


「そうだった。忘れていたよ」


「忘れないで下さいよ。誕生日の日には映画を見に行きましょう。約束ですよ」


「分かったよ。約束だ」


二人が楽しく話をしていると祈里のスマホの着信音が聞こえた。祈里は優斗との楽しい時間をスマホに邪魔されて少し不機嫌になる。そして、気を取り直して祈里は直ぐにスマホにでた。


「加奈さん、何かあったんですか?」


『はい。お仕事の電話です』


「そうですか。話を聞かせて下さい」


仕事の連絡だと聞いて祈里はがっかりした。祈里はもう少し優斗と一緒に過ごしたかった。でも退魔師の仕事には緊急の案件が多い。気を取り直して加奈の言葉に耳を傾ける。


『さいたま市の荒川の河川敷でヤンキーのグループが怪我をして20人以上の人数が病院に搬送されたんですよ。全員腕や足の骨が折られていたんです。全員重症です』


「それが私に何か関係があるのですか?」


『はい、被害者たちが病院で手当てされるときに女性に触れられた瞬間床を転がり痛みを訴えたようなんです。それで警察では手に負えなくて退魔師協会に連絡があったんです。それで、うちの医者を向かわせたところヤンキーたちは呪いにかけられていることが分かったんです』


「それで埼玉管轄のうちに連絡が来たんですね」


『はい、呪いならば退魔師の管轄なので……』


「被害者たちの呪いを解くことは出来たのですか?」


『いいえ、呪いが強力のようで呪術専門の退魔師のかたでも解くことが出来ませんでした』


「それは厄介な案件ですね。分かりました。今、私は埼玉にいます。現場の荒川の河川敷に行ってみます」


『お願いします。場所の詳細は地図をアプリで送ります』


「宜しくお願いします」


祈里は話が終わると申し訳なさそうに優斗を見た。


「優斗さん。ごめんなさい。仕事が入りました」


「何があったんですか?」


「ヤンキーたちに呪いがかけられたようなんです。すぐに現場の荒川の河川敷に行かないといけなくなりました」


優斗は祈里の言葉に驚いた。その事件は優斗が起こしたことだからだ。優斗はその驚きが顔に出ないように取り繕う。


「それは大変な事件ですね。俺のことは気にしないで現場に向かってください」


「そうします。今日は楽しかったです」


「俺も楽しかったよ。今度は映画を見に行こうね」


「はい、では失礼します」


「あっ! 祈里さん、すこしまって!」


「はい、何ですか?」


優斗は祈里を呼び止めてスキル創造で両親に渡したのと同じ腕輪を作り出した。魔力(霊力)10万に身体強化と自動防御に毒耐性とアイテムボックスを付与した腕輪だ。


「祈里さん、少し頭を触るね」


祈里は頬を染める。


「良いですよ」


優斗は祈里の頭を触り腕輪の使い方と性能を祈里に覚えてもらう。そして、祈里に腕輪を渡す。


「これはお守りだから腕に常に嵌めていてね」


「頭の中に腕輪の使い方と性能の知識が入ってきました。霊力が増えて身体強化で力と瞬発力が倍になるんですね。霊力での身体強化も併用できる優れものですね。それに自動防御は嬉しいです。優斗さんは前に女郎蜘蛛の攻撃をこの自動防御で防いでいたのですね」


「祈里さんの言う通りあの時の女郎蜘蛛の攻撃を防いだのは自動防御の結界だよ」


「これで妖魔からの攻撃を気にしないで戦うことが出来ます。凄い腕輪ですね。有難うございます。大事にします」


祈里の言葉を聞いて優斗は頬が熱くなるのを感じた。その頬は赤くほてっていた。


「この腕輪が祈里さんを守ってくれるよ」


「優斗さんに守られているようで嬉しいです。それじゃあ行きますね」


「行ってらっしゃい。気を付けてね」


「はい、行ってきます」


祈里はそう言い店を出て行った。優斗もその後、直ぐに店を出て家に帰った。

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