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067 祈里とゲームセンターへ①

優斗は喫茶店湊を出て祈里と並んで大宮駅に向かう。そこへ向かおうとすると祈里が優斗の腕に自分の腕を絡めてくる。もう祈里は優斗を離すつもりはなかった。優斗は恥かしくてたまらなかったが女性に腕を組まれていやな思いはしないので放っておくことにした。


これから行こうとしているゲームセンターは大宮駅近くにあった。目的の場所まで徒歩で20分くらいかかる。その時間優斗は祈里とどういう話をしようか考えた。


「祈里さんは趣味とかある?」


考えた末に結局べたな質問になってしまった。優斗は一番先に思い浮かんだのは血液型を聞くことだった。流石にそれは恥ずかしいと思いやめることにした。次に浮かんだのが趣味を聞くことだった。それ以外にどういう話をしていいか考えが浮かばなかった。


女性とはシャルル以外とはまともに話したことが無いのだ。優斗はいろいろ悩んだ末に出した結果が趣味を聞くことだった。


「趣味というものはないですがよく本を読んでいます。仕事がら移動が多いので……」


祈里は退魔師としての仕事柄、車や電車での移動が多い。そのため時間をつぶすためによく本を読んでいた。推理物の小説がお気に入りだ。


「そうなんだ。俺も本をよく読むよ。もちろんラノベだけどね」


「私はラノベを読みませんがこれからは読むようにします。優斗さんと同じ本について話をしてみたいですから。なにかお勧めのラノベはありますか?」


祈里は優斗からの質問をいい問いかけだと思った。祈里は優斗と会ったばかりで彼のことを何も知らない。だから優斗のことを少しでも知りたかった。優斗の趣味であるラノベの本を読んでお互いに読んだ本の話題で話をするようになれると思った。


優斗は自分が読んだことのあるラノベで女性でも面白いと思うような内容のラノベを思い浮かべる。


「祈里さんは恋愛ものネット小説を読むことがあるって言っていたよね」


「はい、ネット小説では恋愛ものをよく読みますよ」


優斗は恋愛ものの小説と言うジャンルは詳しくない。ラノベやネット小説でも恋愛ものは女性が読むものが多く優斗は読んだことが無い。それで恋愛ものに近いラノベの小説を思い浮かべた。


「それなら、『おまえ〇オタクにしてやるから、俺をリア充〇してくれ!』とかお勧めだよ。恋愛ものだしハーレムものじゃないから女性でも楽しめると思う。本は俺が持っているから貸そうか?」


「優斗さんのお勧めなら読んで見たいです。今度、あった時に貸して下さい」


これで祈里は優斗と会う口実がまた出来たと思った。そうしてこれからどういう風にして優斗との距離を縮めて行こうかと思い悩む。学校は違うので会うことは出来ない。優斗は高校に通っていないので転校するわけにもいかない。


同じ退魔師になれば週に一度くらいは会えるように調整できるとは思っている。それまでは半月以上も待たないといけない。その間に優斗の誕生日があるのでその時までに会う口実を作ろうと考えた。


「うん、良いよ。今度持ってくるよ。祈里さんが読んでいる本で面白いのがあったら俺にも教えてよ」


祈里はラノベを読んだことが無いので優斗に何を勧めて良いか悩んだ。そして最近見た映画で小説が原作のものを思い浮かべた。


「そうですね。優斗さんはラノベが好きなんですよね。私は本を読んでいないんですが『君の膵臓を〇べたい』という映画を友達と見に行って感動しました。その映画は原作がラノベみたいなのでその本をお勧めします」


「その小説のことは知っているよ。結構話題になっていたよね。読んだことはないけど。アニメにもなっているはずだよ」


優斗はその小説がネット小説から本になっていたことを知っていた。それで気になっていた小説ではあった。でもハッピーエンドにはならないのでその小説は敬遠していた。


「そうなんですか? 映画で感動したので、こんどアニメも見てみます」


優斗は次に何を話そうか迷った。そこで学校のことを聞くことにした。


「俺は祈里さんのお勧めだからその本を読んで見るよ。ちなみに、祈里さんは仕事をしているから部活はしてないんだよね」


「部活には入っていないです。仕事が無い時でも修行がありますから。剣術と体術の修行と霊力を高くする修行は仕事があるとき以外は毎日行っています」


まだ、高校生の祈里が命をかけた仕事をしているのをしったときに優斗は彼女のことを尊敬していた。そしてより強くなるために毎日のように修行をしていると聞いて感心する。


「あまり無理はしないようにね」


「有難うございます。無理はしないようにしています。それに修行は好きな方なので苦にはなりません」


「そう言う祈里さんは凄いと思うよ。尊敬するよ」


「優斗さんにそう言ってもらえると嬉しいです。これからも仕事を頑張れそうです」


優斗は良い感じで話が出来ることに安心した。今日会うまではうまく会話が出来るか心配だったのだ。祈里はシャルル以外で初めて普通に話が出来る女性だ。


しかもシャルルは年上だったので異性としてあまり意識したことが無かった。でも、祈里は同年代でしかも美少女だ。どうしても意識してしまう。


そんな女性と話をしている自分が優斗は不思議に思えた。そして異世界に行って強くなったことで気も大きくなり心に余裕が生まれたからかもしれないと思った。そしてニーベルリングを与えてくれた神様に感謝した。


ゲームセンターに着くまで優斗が心配したように話が途切れることは無かった。祈里も優斗のことを知ろうといろいろと質問してきたからだ。話し合っているうちに駅近くにあるゲームセンターについた。


優斗はゲームセンターの中に入って見たことが無いゲーム機がいっぱいあるのに驚いた。優斗の知識ではラノベに出てくるようなプリクラやクレーンゲームくらいしか知らなかったからだ。生まれて初めてのゲームセンターは知らないゲーム機だらけだった。


(叡智、ゲームの知識を教えて……)


(直ぐにインストールします)


叡智は直ぐにゲームの知識を優斗に与えた。優斗は叡智から得た知識で祈里でも出来そうなゲームを思い浮かべた。そしてカーレースゲームが目に入った。


「祈里さん。カーレースのゲームをしようよ」


「私はゲームをしたことが無いのですが大丈夫でしょうか?」


「ハンドルを握って車を運転するゲームだから大丈夫だと思うよ」


「分かりました。やってみます」


二人はカーレースゲームのシートに座り他の人が席に座るのを待つ間に自分が運転する車を選んでいく。優斗は叡智が与えてくれた知識だけなので詳しいゲームの内容までは知らなかった。画面にいくつか選択肢が出てくるが全て一番初めに出てきた内容を選んでいく。


祈里の方もゲーム機から流れてくる説明を聞きながら優斗と同じように初めに出てくる選択肢を選んだ。そしてゲームが始まった。


優斗は叡智から得られた知識とレベルマックスの身体能力があればゲームなんて直ぐに出来るものだと思っていた。しかしハンドルを少し回すだけで車は大きく方向を変える。その感覚に優斗はついていけない。


祈里も同様にゲーム独特の感覚についていくのが難しいようだった。二人ともハンドルを回す度に壁にぶつかったり前方走っている車にぶつかったりする。それにギアチェンジをするタイミングにとまどう。


祈里も反射神経に自信があったのでゲームくらいこなせると思っていた。でも運動神経とゲームが上手くできるような能力はあまり関係ないようだった。ゲームは終わり四人で対戦するゲームで優斗は三位で祈里はビリの四位だった。


「ゲームって難しいね」


「私もそう思いました。運動神経には自信があったんですが……」


「俺もそうだよ。でも散々だった。もう少しうまくゲームが出来ると思っていたよ」


「私も散々な結果でした。次のゲームで頑張りましょう」


優斗は二人で遊べるゲームで良いものは無いか考える。

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