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005 初めての魔法

優斗は結界の中にいる間に魔法の練習をすることにした。魔法の知識は叡智のおかげで全て把握している。初めて使う魔法だがもう使える自信はある。不思議な感覚だ。


(叡智、村を目指す前にここで魔法の練習をしていこうと思うんだけど……)


(私もマスターの意見に賛成です。ぶっつけ本番で魔法をいざ使おうとすると失敗するかもしれないですしね。その前にマスター、靴を履いてください)


部屋を出る前に準備していたリュックの中から靴を取り出し履く。準備が整った。直ぐに優斗は叡智からインストールされて知った魔法を使うことにした。先ずは風魔法からだ。魔法を使うには詠唱とどのような魔法を行使するのかというイメージとその魔法を発動するための魔力が必要だ。


優斗の場合【無詠唱】のスキルがあるので詠唱を唱える必要はない。しかし、気分的に魔法名を唱えることにした。イメージに関しては問題がない。叡智が必要な魔法のイメージを優斗に渡してある。そして魔力は無限にあるので問題はない。優斗が魔法を使うのに必要な条件は全て揃っている。


魔法を行使するときに目標に向けて手をかざす必要はないが優斗はまだ慣れていないので右手を魔法の的にしている木に向かって伸ばす。そして直径2mはある太い木を切り倒すくらいの強い魔法をイメージをする。


「『ウィンドカッター』」


優斗が魔法名を唱える。すると3mの幅の薄い風の刃が木に向かって飛んでいき木を通り過ぎた。次の瞬間木が切り倒された。優斗が初めて使った魔法で直径2mの木がいとも簡単に切り倒されたのだ。優斗は自分の魔法に驚いた。


(叡智、魔法ってすごいな。こんなに簡単に太い木を切り裂けるものなのか?)


(それは違います。マスターは魔力が豊富ですし。私がマスターに魔法に関する知識を与えたからということもあります。またマスターの風魔法のレベルが10ということも関係しています。レベル10のスキルを持っているのは人外級の達人だけですから)


(そ、そうなんだ。初めての魔法でもうまくいったのには理由があったんだね)


(はい、マスターのステータスレベルは子供並みの値しかありません。しかし、魔法に関しては無限魔力とレベル10の魔法スキルを有しているのでこの世界で一番の魔法の使い手です。魔物に近接戦闘を挑まない限り負けることはないでしょう)


叡智が言うまでもなく優斗は魔物に近接戦闘を挑むほど勇気を持ってはいない。どんなに弱い魔物でも魔法で対処するつもりだ。優斗は次に水魔法を使うことにした。また木に向かって手を伸ばす。そして魔法名を唱える。


「『ウォーターボール』」


木を貫くイメージで魔法を放つ。『ウォーターボール』は水の魔法なので液体にもかかわらず、イメージ通り直径2mはある木を貫いてさらにその後ろにある木にめり込んだ。


(凄い。まさか水魔法で木を貫けるとは思わなかったよ)


(イメージ通りの魔法が発動するように一発の魔法に必要な魔力が使われているからです。普通の新人魔法使いが木を貫くような水魔法を使えることはありませんよ。さっきも言いましたがマスターの魔法レベルが10なのと私がマスターに与えたイメージと木を貫けるだけに必要な魔力をマスターが持っているからです。決して魔法を使える誰もがマスターと同じ魔法を使えるわけではないので考え違いをしないでください)


叡智が言った通り。優斗の魔法の出力は普通の魔法使いが使うような魔法ではない。優斗だから使える魔法だ。優斗は知る由もないが魔法使いと言うくくりなら優斗はこの世界の誰よりも優れた魔法使いだった。


(自分の魔法が特別なものだと認識したよ。でも魔法を人に向かって使うときは注意しないといけないね)


(そうですね。木であの威力です。人なんて簡単に真っ二つですし水魔法だとぐちゃぐちゃになりますね。しかし、この世界では人と戦うこともあります。その時は覚悟を決めてください。もし人を殺すのに躊躇いがあるのなら精神耐性スキルを取得してください)


(念のために作っておくか)


「クリエイト『精神耐性』」


優斗は叡智が進言した通り精神耐性スキルを獲得した。人を殺すためだけに獲得したわけじゃない。優斗は魔物を殺すことにも躊躇わないように念のため精神耐性スキルを獲得することにした。そのついでに状態異常耐性スキルも獲得した。毒も効かないやつにした。


その後、各種魔法属性の中級魔法まで練習した。魔法は思いのほかうまく発動することができた。イメージによっては初級魔法で中級魔法並みの威力を出すことができた。魔物と戦うことができる状態になったので優斗は村を目指そうと思った。


(魔法の練習もできたし、そろそろ村を目指そうか?)


(マスター、村に向かう前にスキル創造で身体強化と自動防御とサイズ自動調整を付与した腕輪など作成した方がよろしいかと思います。先ずは創造でオリハルコンの腕輪を作り付与魔法を獲得して指輪に身体強化と自動防御と自動サイズ調整を付与しましょう)


優斗は叡智の言われるままに創造で【付与魔法】を獲得した。次に創造でオリハルコンの腕輪を作成して身体強化と自動防御と自動サイズ調整を付与した。それを右腕に嵌める。優斗の右腕には二つの腕輪が嵌ることになった。


(叡智、これでいいか?)


腕輪に付与した身体強化はステータス値を常に二倍にする効果がある。それ以上の効果をスキル創造では作ることができなかった。自動防御は不意打ちの攻撃にも結界を張り防御してくれる機能がある。神級魔法も防御できるほどの能力を持つ。


スキル創造は神の権能の創造の劣化版なので神器を作るようなことはできない。しかし地上に存在しているあらゆる生き物の攻撃を無効化するほどの自動防御を有している。このような腕輪をこの世界の人が作ることはできないほどの物を優斗はいとも簡単に作ったことに違いはない。


(はい、結構です。この能力があればどのような攻撃でもマスターが傷を負うことはないでしょう。後は近接戦闘もできるようにレベルを上げるだけですね)


(うん、俺は地球で弱い人間だった。この世界でレベルを上げてどんな暴力にも屈しない力が欲しい。そしてこの世界でも誰にも屈することのない力が欲しい。だから誰にも負けないくらい強くなる。叡智、俺はこの世界で最強になるまでレベルを上げていくつもりだ。ナビゲートをよろしく)


優斗は神様からニーベルリングを貰って腕に嵌めたときに優斗に与えられた力と異世界の知識を知った。その時にすでにこの世界で最強を目指すことを決めていた。今まで理不尽な暴力に耐えてきた。これからはレベルアップして力をつけて誰からも抑圧されることが無いように強くなろうと考えていた。


(はい、マスターが強くなれるようにサポートしていきます。早速、魔物を倒しながら村を目指しましょう。その前にダブダブの服をどうにかした方が良いのでは?)


(そうだね。サイズ自動調整を付与してから行こう)


優斗は直ぐにジャージにTシャツとトランクスパンツにサイズ自動調節を付与した。ジャージやトランクスパンツなどは小さくなって体にフィットしたサイズになった。こうして村に向かう準備が整った。優斗はリュックからミネラルウォーターの入ったペットボトルを取り出し一口飲んで喉を潤す。


(早速、行こう。マップには村の方角に魔物の反応があるね。その魔物を狩りに行こう。スキル隠密を発動した方が良いかな?)


(今のステータスレベルでスキル隠密を発動しても意味はありません。スキル隠密はレベル10ですがステータスレベルがマスターは1ですからステータスレベルがマスターより高い魔物に効果はないですよ。効果があるのはマスターよりステータスレベルが低くてスキル看破や気配察知などのレベルが9以下の魔物や人だけに有効です。先ずはステータスレベルを上げましょう。


(分かった。じゃあ行こうか?)


(行きましょう)


太陽の方角と逆方向に歩き始める。太い木が生えていて太陽が地面まで届かないためか下草はあまり生えていない。しかし所々に草が生えている。この草は魔力の多く溜まるところに生える薬草の類だろう。足元はむき出しの地面だ。だが木の根っこがあり平らな地面ではないかなり歩きにくい。

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