表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/124

057 ブラックゼレル②

美香に襲い掛かった男たちは美香に取りつくことが出来ないで困惑していた。美香に近付こうとしても見えない壁に阻まれて近づけない。美香は目の前に男たちが集まったことに対して恐怖を覚えた。


「キャー!!」


そして、美香は怖さのあまり悲鳴を上げる。しかし、いつまでたっても美香自身に男たちが触れてこないことを知って不思議に思った。その間に優斗の方を確認すると優斗の周りには男たちが倒れて呻いていた。そして優斗は美香の方にゆっくりと歩いてくる。


「お兄ちゃん……」


男たちは美香に飛び掛かろうと一生懸命になっているため、こちらに近づいてくる優斗に気が付かない。そして一人の男が優斗に殴られて吹きとばされたことで周りで起きていることに気付いた。


その時にはもう遅かった。美香の周りにいるのは蓮司を含めた三人だけになっていた。優斗は美香の周りにいる男たち以外を残して他の者はすでに倒した後だった。


「お前、いつの間に……」


それ以上言葉は続かなかった。蓮司は優斗に蹴られて宙に浮き地面に倒れ落ちて動けなくなった。それだけお腹を襲った優斗の蹴りは尋常じゃない物だった。残った二人も成す術もなく優斗に蹂躙された。


地面に転がっている男たちにも優斗は容赦しない。今までにこの男たちは数多くの者たちをいたぶって来たと優斗は確信していた。それに何人かの女を(なぐさ)み者にしたという言葉はチャラ男から貰っている。


ブラックゼレルのチャラ男は自分の口でこれまでに似たようなことを繰り返してきたと白状したことを優斗は忘れはしない。その被害者たちの思いも優斗は晴らしてやろうと考えていた。


そして一人一人に近付き殴る蹴るの暴行を加える。ブラックゼレルのメンバーの顔は晴れ上がり肋骨は折れて前歯も何本もなくなっていく。それでも優斗の暴力は止まらない。全てのメンバーに制裁を加えた後にさらに暴力を加える。


一人ずつ両足の骨を折っていく。スキル精神耐性Lv.10を持っている優斗は男たちに残虐な行為をしても気にしない。そして、ポケットをあさって金目の物を全て奪う。更に、闇魔法で記憶を奪った。


その後に女性に触れると強烈な痛みを伴う呪いと体力が半分になる呪いが三年間続くように全員にほどこしていく。そして聞かれたことに正直に話さないと激痛に襲われる呪いもかける。


それだけではない。女性を見て欲情するとあそこがもげるほどの激痛がする呪いも三年間続くようにかけておく。これでブラックゼレルのメンバーは女性に欲情することも苦痛になる。


チャラ男たちは優斗のかけた呪いで女に触れられなくなったばかりか男としての尊厳まで奪われた。そして力が弱くなり喧嘩をすることも出来なくなった。


「これで、こいつらの餌食になる女性が減るだろう」


優斗は全ての作業を終えて美香の下に来た。美香は優斗の立ち回りを見て驚いて放心状態になっていた。それほど優斗が男たちに振るった暴力が凄いものだったのだ。


「美香、大丈夫か?」


「私は大丈夫。でもあの人たちにあんなことして大丈夫なの? 警察とかのことだけど……」


優斗は顔を真っ蒼にしている美香に優しくほほ笑みかける。そして神聖魔法で美香を落ち着かせる。


「そのことについては問題ない。この現場は誰にも見られていない。それにあいつらの記憶から俺たちのことは消えているからな。心配することはないよ」


優斗はこの現場を誰にも見られない様に不可視の結界を張っているのでなにも心配していなかった。でも美香はそのことを知らない。優斗がヤンキー相手に凄い立ち回りをしたことに驚いていた。


「それってどういうこと?」


優斗の魔法で落ち着きを取り戻した美香は優斗の言っていることに疑問を持った。それにさっきまで原宿にいたのに今はさいたま市の荒川の河川敷に来ているという優斗の言葉を不思議に思った。いくら考えても答えが出なかった。


「実はな、俺、魔法が使えるんだ」


優斗が何を言っているのか美香は自分の耳を疑った。魔法なんて御伽噺の産物だ。にわかには信じがたい。でもさっきまでラフォーレ原宿の前にいた自分が今は河川敷にいることは事実なので優斗の言う事を美香は信じることにした。


「えっ!? 魔法?」


「ああ、そうだ。魔法だ」


そう言って優斗は手のひらの上に火の玉を作り出して美香に見せた。突然、火を出したのを見て美香は驚く。そしてじっくり見てそれが本当の火の玉だと確信した。


「……も、もしかして、原宿からこの河川敷に来たのは転移の魔法なの?」


「美香の言うとおりだよ。転移の魔法を使った。正確には時空魔法だけどな」


「なに? お兄ちゃん、魔法使いなの?」


「魔法使いという訳ではないけど魔法は使える。美香も使えるように出来るぞ」


優斗のその言葉に美香は目を輝かせる。さっきまでヤンキーに襲われていたことなど美香はすでに忘れていた。神聖魔法の効果は完ぺきだった。優斗は余裕そうに話している美香を見て安心する。


「私も魔法を使えるようになれるの?」


「ああ、なれるぞ。でも今は無理だ。今日家に帰ったらお父さんとお母さんも交えて話をしよう」


「分かった。必ず話してね」


美香は今すぐ知りたいことが山ほどあったが優斗にも何か事情があるのだろうと思い家族が揃った時に知りたいことを聞くことにした。


「さあ、家に帰ろう」


優斗は地面に置いてある荷物を亜空間倉庫(インベントリ)に仕舞った。美香はそれを見て驚く。


「アイテムボックス」


「美香はそう言うことに詳しいんだな。ちょっと違うけど似たようなものだよ」


美香は異世界ものの漫画でそういうことを知っていた。そしてそういう能力があればいいな程度には思ったことがあった。


「私も欲しい。私も使えるようになる?」


「それも可能だ。俺が使える魔法は美香も使えるようになる。家に帰ってから説明するから。それまで待っていてくれ」


美香は魔法やアイテムボックスが使えるようになると聞いて嬉しくなった。


「しょうがないなー。それまで我慢する」


「じゃあ、転移で家の玄関に飛ぶぞ」


「了解」


「転移」


次の瞬間美香は体が浮かぶ感覚がした。そして次の瞬間に家の中にいた。


「凄い。本当に転移できるんだ」


「まあな」


美香はとにかく転移魔法に感心した。優斗は亜空間倉庫(インベントリ)から美香の荷物を出して彼女に渡す。


「美香、一度俺は部屋に行くよ。晩御飯の後に家族で話をしよう」


「私も部屋に行くね。じゃあ後で説明して」


「分かったよ。また後で……」


優斗は美香と別れて部屋に戻った。そして両親と美香にどのように異世界のことや自分のことを話そうか考えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ