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056 ブラックゼレル①

優斗はチャラ男たちを見て頭に来ていた。暴力で人を従わせようとするやつを優斗は許せない。長い間、力が無く暴力と言う虐めに耐えてきた優斗はチャラ男たちを見て過去の自分を思い出す。そして憤慨する。怒りが顔に現れる。


優斗の険しい顔を見てチャラ男は顔を赤くして怒りを顕わにする。チャラ男たちブラックゼレルというヤンキーのグループを目の前にすれば美香のように顔を青くして震えて泣きそうな顔をする普通の人がとる態度だ。


しかし、優斗は怖気づくどころか怒りを顕わにしている。そのことがチャラ男には許せなかった。そしてどうしても目の前の男を懲らしめようか考える。


「お前、なに怒ったような顔をしているんだよ。俺たちを前にしたらおびえるのが普通だろ。これだけの人数相手に余裕をかましてんじゃねーぞ」


チャラ男はそう言いニタニタ見下したようにニヤリとする。チャラ男こと渡瀬は今、目の前の男を痛めつける為にブラックゼレルのナンバー1やナンバー2にも声をかけてメンバーを集めていた。


それでこの人数が集まったのだ。それでも目の前の男がびくつかないのでイライラしていた。そして、優斗を睨みつける。それでも優斗はびくつかない。


それどころか優斗は怒りに満ちた顔でチャラ男を睨む。優斗のその態度を見てチャラ男は遂に怒りだした。


ラフォーレ原宿の前での騒ぎが周りの人たちに伝わったようだ。人々がスマホを手にし始める。


優斗はその光景を見て不可視の結界を張る。これで周りからは結界の中で何が行われているか見えないようになった。


「お前は絶対に許さねー。ギタギタにしてやる。女はお前の見ている前で可愛がってやる」


優斗は美香のことを言われて理性が飛んだ。そしてチャラ男を睨みつける。その顔は鬼の様に迫力があった。優斗を脅すつもりの渡瀬がビクつくくらいだった。


「お前、今までにそうやって女を(なぐさ)み者にしてきたのか?」


「俺たちにかかればそれくらい大したことはねーんだよ。お前たちも同じような目に遭わせてやる。覚悟しておくんだな」


「そうか、それを聞いて安心した。手加減は最低限で良いな」


優斗の印象ががらりと変わった。優斗から恐ろしい何かをチャラ男こと渡瀬は感じた。そして怖気づく。しかし、その態度を見せるわけにはいかない。チャラ男はこれでもブラックゼレルのナンバー3なのだ。


ここにはブラックゼレルの幹部メンバーが集まっている。弱いところは見せられない。


「お前は絶対に殺す。絶対に許さねーぞ」


その言葉で優斗は決意した。この世の中力が全てだ。弱い者は強い者にへつらって生きていくしかない。今日は美香にもその脅威が迫った。それに祈里と会って日本に妖魔と言う怪物がいることも知った。


(美香に強くなってもらおう)と優斗は思った。


優斗は自分の力が美香にばれても良いと思った。そして全てを話す決意をした。そして魔力を高める。次に認識疎外の魔術でブラックゼレルのメンバーと美香と優斗を周りの人々に認識できなくする。


するとラフォーレ原宿の周りにいる人たちは結界の中で騒ぎが起こっていることを忘れて平常通り行動をする。今までの騒ぎが何もなかったような状態だ。そして闇魔法で5分間ほど過去の記憶を周りの人から奪った。


「転移」


優斗がそう唱えると20人以上いるブラックゼレルのメンバーと美香に優斗がラフォーレ原宿の前から消えた。優斗たちが消えてもラフォーレ原宿の前にいる人たちは何も感じなかった。人々の意識は認識疎外の魔法で優斗たちからそらされていたのだ。


ブラックゼレルのメンバーは一瞬、自分が宙に浮いたような感覚に襲われた。そして次の瞬間には目の前にラフォーレ原宿は無くあたりを見渡すと川原にいた。美香も自分のいる場所が突然川原に変わったことに驚いた。


優斗は転移魔法でさいたま市にある荒川の河川敷に全員を転移させていた。そして念のために不可視の結界を張る。


「お兄ちゃん、ここは何処?」


「ここは、荒川の河川敷だよ」


美香は荒川の河川敷を知っている。でも突然そこに連れてこられたと言っても信じられなかった。


「えっ!? どうして突然こんなところに……?」


「あとで説明するよ。今は待っていて……」


チャラ男たちは自分たちに何がおこったのか分からずに戸惑いを見せる。チャラ男たちも突然コンクリートジャングルの原宿から河川敷に来たことに戸惑っていた。


「お、お前、何をした?」


優斗は原宿では監視カメラがあると思い、前に来たことがあるさいたま市の荒川の河川敷に転移したのだ。ここなら何が起こっても監視カメラに映ることはないと優斗は思っての行動だった。


「なにも? ただお前たちを片付けるのに人目が気になったからここに連れてきただけだ。ここなら心置きなくお前たちを始末できる」


優斗のその言葉にチャラ男たちは驚くが優斗はどう見ても強そうには見えない。優斗のことを整った顔をしたただのお坊ちゃんくらいにしかチャラ男は考えていなかった。目の前にいる優斗を見て今は優斗に暴力を振るうことだけ考えれば良いと思った。


それにチャラ男の仲間はナンバーズの三人の他にブラックゼレルのメンバーが20人以上いる。そのことがチャラ男を強気にさせた。今は目の前の優斗を叩きのめせばいいとそれだけを考えた。


「お前ひとりで何が出来る。この人数ではなにもできないだろう。覚悟はいいな」


「いつでもかかってこい」


優斗の挑発にチャラ男はイラっとする。


「俺たちは男を襲うぞ。蓮司たちは女を押さえろ。そうすれば男は何もできないだろう」


チャラ男のその言葉を聞いて美香は怖くて立っていられなくなり優斗にもたれかかる。優斗は優しく美香の肩に腕を置き美香を自分から離れさせる。


「美香、心配しなくてもいい。ここで座って待っていてくれ」


優斗は手に抱えた荷物を地面に置くと土魔法で椅子を作り美香を座らせた。次に美香を結界魔法で包み込んだ。そして、にじり寄ってくるチャラ男を睨みつける。チャラ男は優斗のその余裕が気に食わない。我先にと優斗に迫る。


しかしチャラ男が優斗に近付いた瞬間に優斗が消えた。その後に頭に凄い衝撃を受けた。優斗は素早くチャラ男の横に回り裏拳で頭を殴っていたのだ。チャラ男はその反動で吹き飛ぶ。優斗は殺さないように最低限の手加減はしている。しかし頭の骨が折れようが気にしなかった。


次々と襲い来る男たちをすり抜けて優斗は蹴りを放つ。足で腹を蹴ったり拳で顔を殴ったりして男たちを倒していく。その一撃の重さに男たちは直ぐに行動不能になっていく。男たちは優斗の攻撃を一回受けるだけで地面に横たわる。


「おい、やばいぞ。みんなやられていく。男の動きが見えない」


「あいつ、ただものじゃないぞ」


そう言った男は次の瞬間に腹に強い衝撃を受けて横たわった。そして腹を抑えて起き上がらない。その光景を見た隣の男は逃げようとする。しかし優斗は逃がさない。背中に飛び蹴りを放った。男は前のめりに転がって動かなくなった。


そして、優斗に襲い掛かる男たちはいなくなった。

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