054 美香とお昼
優斗たちは2階にあるカフェ・フードの店が多くあるエリアにやってきた。2階には数件のカフェテリアがあった。優斗と美香は相談して優斗はチー〇ンのベジタブルタンタンメンを注文して美香は同じ店のチャーシューバーガーを注文した。
飲み物は美香の勧めでノナ〇パールの宇治産抹茶タピオカドリンクを二人分注文した。ベジタブルタンタンメンは思ったほど辛くなく優斗は美味しく感じた。宇治産抹茶タピオカドリンク初めて優斗は飲んだがとても美味しかった。
「美香は前に来た時も同じものを食べたのか?」
「うん、前に来た時も同じものを食べたよ。タピオカミルクティーは前に流行っていたけど宇治産抹茶タピオカドリンクも美味しいでしょ?」
美香は以前にも来て同じものを食べた様だ。優斗は勿論、この店の食べ物のことは知らない。タピオカドリンクなんて初めて見た。でもラノベでよく出てくる飲み物だとは知っていた。
そしてこの飲み物一杯でラーメン一杯を食べた分と同じカロリーがあることも知っている。全てラノベやネット小説で得た知識だ。それだけ優斗はラノベやネット小説を普段から読み込んでいることが分かる。
「ごめん。俺はタピオカの入った飲み物を飲んだのが今日初めてだから違いが分からない。今度はタピオカミルクティーも飲んでみたいな」
優斗はタピオカドリンクを飲んでシャルルにも飲ませてあげたいと思った。そして近いうちにシャルルを日本に招待するのも面白いかもしれないと考えていた。
「じゃあ、また一緒に飲みに行こうね」
「そうだな。また行こう」
「それにこのベジタブルタンタンメンも美味しいな。また食べたくなるような味だよ」
「気に入ってくれてよかったよ。次来た時は美香が食べているチャーシューバーガーにも挑戦すると良いよ」
「その時は食べてみようかな。今日はラーメンだけでお腹いっぱいだから無理そうだからな」
優斗はお金を腐るほど持っている。美味しいものを食べるのにお金をいくらでも使える。
「お兄ちゃん、お腹いっぱいじゃなかったら食べる気でいたんだね」
「そのつもりだったよ。美香が食べているものは初めて見る食べ物だからね」
優斗は友達がいないので外食をしたことは数えられるほどしかない。今流行りの食べ物なんて何も知らない。なので、優斗はなんでも知ることに貪欲になっていた。いままで出来なかったことをいろいろ挑戦したいと考えていた。
今日、来たことのない原宿来たのも優斗にとっては新たな挑戦だった。そしてブランド物の服を買ったこともいい経験になった。優斗はこれからいろいろなことを経験することになるだろうと思う。
「ごちそうさま、美味しかったね」
「そうだな、美香が他に美味しいお店を知っているなら教えて欲しいな」
美香は優斗にそう言われてまたデートが楽しめると思った。そして今まで行ったことのある美味しいお店を思い起こす。でも直ぐには思い出せなかった。
「こんど美味しいお店を見つけておくからまた一緒に食べに行こうね」
「いいぞ、その時が楽しみだ」
食事を済ませると優斗はトイレに行きたくなってきた。
「美香、すまないがトイレに行ってくる」
「私はここで待っているね」
「直ぐに戻ってくるから待っていてくれ」
「うん」
優斗はトイレに向かった。そして用を足し美香の下に戻ろうとフードコートに来てみると美香が3人のチャライ男たちに絡まれていた。
「ねぇ、ねぇ。君、一人で来たの? 俺たちと遊ばない?」
チャラ男は強気で美香を誘っている。美香は面白くなさそうな顔をする。
「連れがいますので遠慮します」
明らかに美香は不機嫌だ。そんなことをチャライ男は気にする様子はない。嫌がる女性に関係なく誘うタイプの男たちだった。
「なになに? 連れも女の子なの? なら一緒に遊びに行けばいいよ」
「連れは男です。それにあなたたちについていくつもりはありません」
美香の態度で嫌がっているのは明白なのにチャラ男は全く諦める様子が無い。美香は本当に嫌そうな顔をしていても男たち三人は全く気にする様子が無い。
「じゃあ、男はほっといて遊びに行けばいいじゃない。俺たちが男と話をつけてやるよ」
男たちは連れの男を放っておいて遊びに行こうとまで言う。なかなかしつこい相手だと美香は思った。そして早く優斗が戻ってくることを願う。
「遠慮します。あなたたちといても楽しくなりそうもありませんので」
「お前、可愛いと思って図に乗るなよ。俺たちと一緒に来ればいいんだよ」
チャラ男は美香の態度が気に入らないのか苛烈な言葉になり美香の腕を掴もうとする。優斗は様子を見ながら美香たちに近付いていたがチャラ男が美香の腕を掴もうとしたのを見て縮地で美香とチャラ男の間に割り込む。そして美香の腕を捕まえようとしたチャラ男の腕を叩いて弾いた。
「お前、いつの間に来たんだ? 邪魔だからどこかに行けよ」
チャラ男は一瞬優斗の整った顔に驚くが。どう見ても優斗の方が年下に見えるので不愉快そうな態度で優斗を睨みつけて脅しをかけてきた。
「お前の汚い手で美香に触るんじゃない。お前こそどこかに行けよ」
優斗の言葉にチャラ男のこめかみに青筋が浮かび顔を真っ赤にする。他の2人も優斗を睨みつけてきた。
「お前、誰にものを言っているのか分かっているのか?」
「今日会ったばかりのお前のことを俺が知るわけがないだろ」
「俺たちはなこのあたりを牛耳っているブラックゼレルの一員なんだぞ。俺たちに逆らうと後悔するぞ」
そう言い男は勝ち誇ったような顔をする。
「なんだ、お前は虎の威を借りる狐のような存在か?」
「そんな訳ないだろ。お前は知らないかもしれないがな。俺はブラックゼレルのナンバースリーの渡瀬なんだぜ」
「そんなことは俺にはどうでもいいんだよ。お前は俺にとってただのチャラ男だ。美香にちょっかいを出すな。どこかに消えろ。それとも俺がどこかに連れて行ってやろうか?」
「お前、どうしても俺たちに歯向かうつもりか。時雄、和也、男を押さえろ。俺は女を連れて行く」
「「おう」」
「蓮司、やっとその気になったか?」
「待ちわびたぜ。こんなベッピン見たことが無いからな。逃がすなよ」
三人の言動はどう聞いても犯罪者だ。時雄と呼ばれた男が優斗の前の来て優斗の腹に拳を振るう。優斗はその拳を右手で受け止める。
「話を聞かなくなったら暴力を振るうのか?」
優斗は暴力で人を屈服させようとする者が一番嫌いだった。赤城たちを思い出すからだ。そして優斗は暴力に屈服しないように異世界で強く成ったのだ。暴力に訴えてくる三人のことを優斗が許せるわけがない。
それに彼らは美香に危害を加えようとしている。優斗は暴力には暴力で返す主義義になっていた。
しかし、フードコートにはお昼時で多くの人がいる。優斗は闇魔法の認識疎外の魔法をフードコートにいる人たちにほどこす。そして誰からも見えないように不可視の結界で美香とチャラ男たち三人を囲んだ。
それが済むと優斗は時雄の顔を殴り飛ばす。それを見た和也が優斗に襲い掛かる。優斗は和也の腹に蹴りを叩き込む。和也はその反動で吹き飛び結界に当たって地面に転がる。チャラ男は怖気づいて後退る。
しかし優斗はチャラ男を逃がすつもりはない。チャラ男の顔面に拳を叩き込んだ。そして地面にチャラ男が倒れる。それでも優斗は止まらない。三人の腹に蹴りを入れた。
そして美香と優斗自身に認識疎外の魔法をかけて美香の腕を掴み不可視の結界を解除してフードコートを出て行った。




