053 優斗の服選び
優斗は美香に服装をダサいと言われてへこむ。そして今日の買い物でカッコいい服を手に入れると意気込む。美香は優斗の服を選んでカッコいいお兄ちゃんにすることを心に決めていた。
「よし、じゃあ行こうか」
「で、今日は何処に行くの?」
「原宿に行こうと思っている。ラフォーレ原宿って知っているか?」
優斗は昨日スマホで調べたことは内緒にして美香に自慢するように話をする。
「知っているよ。今、人気のところだよね。私も友達と一回だけ行ったことがあるよ。可愛い洋服とかカッコいい洋服とかいろいろ揃っているんだよ」
美香は以前にラフォーレ原宿に行ったことがあるようだ。優斗は行ったことが無いので動揺する。美香の方がラフォーレ原宿に詳しいかもしれないと思った。
「そこに行こうと思う」
「早く行こうよ」
美香は優斗の腕に自分の腕を絡ませる。まるで二人は恋人のように見える。そして二人は家を出て大宮駅に向かった。
駅に向かう間も電車に乗ってからも二人は注目の的だった。美香は中学生だが大人びて美人だし優斗はスキル創造で自分を作り替えてからは誰が見ても綺麗で整った顔をしている。芸能人よりも二人は目立つような存在だった。
女子高生のような少女が二人にばれないようにスマホで写真を撮っていたりもした。大宮駅から原宿まではJR埼京線通勤快速で39分かかった。10時35分に原宿駅に着いた。原宿についてもすれ違う人たちは優斗と美香を見て驚いたような顔をする。
原宿駅からラフォーレ原宿まで歩いていくことにした。ラフォーレ原宿のオープン時間はAM11時なのでゆっくり原宿の街並みを見ながら歩く。もちろん優斗は原宿なんて来たことが無い。と言うか今まで修学旅行で奈良と京都に行った時以外で優斗は埼玉県から出たことが無かった。全ての買い物はさいたま市のデパートかショッピングセンターで済ませていた。
「お兄ちゃん、なにキョロキョロしているの? まるでおのぼりさんみたいだよ」
優斗はまさにお上りさんだった。これほどの人出を今までに体験したことが無かったからだ。原宿はまるで祭りにでも来ているような賑わいを見せていた。
「ごめん。今まで埼玉から出たことが無かったから人の多さにびっくりしているんだよ」
「えっ!? そうだっけ? 今まで埼玉から出たことが無いの? でも前にお兄ちゃんと来たような記憶があるような……」
美香は昔のことを思い出そうとするが靄のようなあいまいな記憶なのではっきり思い出せない。優斗は闇魔法で美香を洗脳しているのでその影響が出ているのだろうと思った。
「ごめん、子供の頃に来た覚えはあるような気がする。さすがに昔のことだから覚えていないよ」
「そ、そうだよね。私もお兄ちゃんといつ来たか思い出せないや」
なんとか美香を誤魔化せたと優斗は安堵する。そして折角原宿まできたのだから楽しもうと心に決める。
「思い出せないなら仕方がない。ラフォーレ原宿のオープンまで少し時間があるからあそこにあるクレープでも食べながら行こうか?」
「そうだね。美味しそうな匂いがするから食べたいと思っていたんだよ。食べに行こうよ」
「分かった。行こう」
美香は相変わらず優斗の腕に腕を絡ませている。どこから見ても二人は恋人同士にしか見えない。でも美香は優斗の腕に抱き着くことが嬉しくてたまらなかった。
「美香は何を食べる?」
「う~ん。カラフルチョコバナナにする」
「俺はホットオレンジショコラカスタードにしてみようかな。バナナとか定番だからちょっとオレンジに挑戦してみるよ」
優斗はパーラーの店員にクレープを注文して受け取ると美香にカラフルチョコバナナを手渡す。
「あっ、それも美味しそう」
「なら一口食べるか?」
優斗のその言葉に美香は顔を赤らめて恥ずかしがる。
「じゃあ、一口頂きます」
そう言い優斗のクレープを食べる。
「おいしい」
優斗もクレープを食べる。優斗が日本でクレープを食べるのはこれが初めてのことだった。異世界でシャルルの食べさせるために等価交換で得たクレープを食べたのが初めてだった。
「おいしいな。また食べに来たいくらいだ」
「また来ようよ」
「そうだな」
二人はクレープを食べながらラフォーレ原宿に向かう。ラフォーレ原宿に入ると1階にはメンズやレディースの服を売る店舗がいっぱい入っていた。美香はその中から優斗に似合いそうな服を売っているお店を選んで入っていく。
優斗は今までこんなおしゃれなお店に入ったことが無いので気後れしながら美香についていく。そして美香は優斗の服を選び始める。
「お兄ちゃん、これなんてどう?」
美香はVネックのおしゃれなシャツを持ってきた。その後ろに若い女性の店員がついてくる。その店員は優斗を見て驚いた顔をする。その店員は美少女の美香の服を選んであげようとついてきていたのだが、
優斗は店員から見ても別格な存在だった。その優斗に服をコーディネートしてあげたいと思った。
「良いんじゃないか?」
「なら着てみてよ」
「分かった。試着してみる」
「お客様。試着室はあちらに御座います。もしよろしければ私がコーディネートした服を着てみていただけませんか? お客様の様な素敵な男性に服を選んであげるのが夢だったんです」
店員は真剣な表情で優斗に迫ってくる。あまりにも危機迫る勢いで押してくる店員に優斗と美香は押し切られてしまい店員にコーディネートを任せることにした。
「良いですよ。俺の服を選んでください」
「私がお兄ちゃんの服を選ぼうと思っていたけどしかたがないか。専門の人に選んでもらった方が良いと思うし……」
「有難うございます。お勧めの服を持ってきます。ご予算はいかほどでしょうか?」
「予算は気にしないでください。いろいろ見せていただけると嬉しいです」
優斗は今までおしゃれをしたことが無かったので今日買えるだけ買って帰ろうと思っていた。
(明日、祈里さんと会うときの服も買いたいし……)
それから店員が勧める服から美香に選んでもらい5組のコーディネートされた服と靴を二足買った。合計金額は10万円を超えていた。しかし異世界で得たお金が亜空間倉庫にあるのでそのお金で支払った。
美香は優斗に買ったばかりの服を着るように言ってきた。
「お兄ちゃん、今の服はダサいから買った服に着替えて」
「分かったよ。店員さん着替えたいので試着室を借りてもいいですか?」
「清算は終わっているので問題はありません」
優斗は試着室で買ったばかりの服に着替えて出てきた。
「お兄ちゃん、似合っているよ」
「お客様、にあっています。カッコいいですよ」
「ありがとう。それじゃあ、失礼します。美香、お腹がすいたから何か食べに行こう」
優斗たちは2階にあるカフェ・フードの店が多くあるエリアに向かった。




