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051 ロト7当選②と祈里からの誘い

修二は優斗の言葉に顔をほころばせる。大金が手に入るのだ。それも仕方がない事だった。


「そのお金があれば家のローンは全額払うことが出来るな」


修二は一番苦しめられている家のローンを先ずどうにかしたいと思った。ローンさえなければもう少し余裕のある生活が出来るのだ。


「私も働きに出ないで家のことに集中できるわ」


「私も億万長者になれるの? お兄ちゃん」


和子は子供たちとの時間をもう少し増やせると喜んで、美香は単純にお金持ちになることを喜んだ。


「そうだよ。家族みんな億万長者だ。お父さん。相談なんだけど。家は売りに出そうよ。もっと大きな家に住みたいんだ。2億ぐらい俺が出すからさ。もっと広い部屋が欲しいんだ。そうしようよ」


修二は少し悲しそうな顔をする。自分が汗水流して買った家が優斗は気に入らないのかと思ったからだ。


「優斗はこの家が嫌いかい?」


優斗は修二の気持ちに気づいてしまったというような顔つきになる。決して優斗は今の家が満足いかないのでそういう提案をしたのではない。優斗なりに考えがあってのことだ。


「そういうことじゃないよ。お金は俺が稼ぐからお手伝いさんとか雇って家のことを任せたりしたいんだ。そしたらお母さんも楽が出来るでしょ。それに俺は学校をやめたから家でデイトレーダーになって株でお金を稼ぎたいんだ。その手続きも進めているよ」


「分かった。中古でいいのか?」


なんとか修二は優斗の言う事に納得したようだ。それにお手伝いさんのいる屋敷に住んでみたいと修二は思った。男ならそういう夢を目指すものだ。


「うん、中古で良いよ。その方が安くて広い家を買うことが出来ると思うから。それと来週の月曜か火曜日に宝くじの換金に行きたいからお父さんかお母さんが時間を作ってくれないかな? 未成年だけだと換金できないんだよ」


修二と和子はお互いに顔を見合わせる。そして修二が頷く。


「俺が火曜日から1週間有休をとって会社を休もう。そして宝くじの換金と大きな家の物件を探してみるよ」


「ありがとう、お父さん」


「私も大きな家で広い部屋が欲しいと思っていたの」


美香が嬉しそうにそう言った。優斗も今よりも広い部屋が欲しいと思っていた。それは修二も和子も同じ考えだった。


「優斗、お手伝いさんを雇うお金なんて大丈夫なの?」


「俺のお金で2億の家を買っても5千万も余るんだよ。大丈夫だよ」


「優斗のお金で足りなければ俺とお前のお金を使えばいいさ」


修二はここにきて優斗の意見に乗り気でいる。


「そ、そうね。お手伝いさんがいれば仕事を辞めなくてもいいものね。会社に迷惑はかけられないからその方が嬉しいわ」


和子はアパレル系の会社で部長をしている。会社では重要な案件を任される立場にあるらしく簡単に仕事を辞めることが出来なかった。でも借金が無くなったら子供と過ごせるように家にいようかと思ってもいた。


しかしお手伝いさんが家のことをやってくれるならその時間を子供との時間に回せるので優斗の考えに賛成した。その後、優斗の家族はお金の使いかたについて話し合った。一番みんなが嬉しそうに話したのは旅行に行くことだった。


家のローンがあったし優斗との関係もあったので家族で旅行なんて今まで行ったことが無かった。今度の冬休みにハワイに行こうという話まで飛び出した。家族はみんな乗り気だった。優斗は嬉しそうな家族を見て幸せな気持ちになった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



晩御飯を食べてお風呂に入り優斗はベッドに寝転んでスマホでネット小説の続きを読んでいた。その時にスマホにLINEが来た。優斗にとっては人生初のLINEがきた。送り主は祈里だった。


『今から電話しても大丈夫ですか?』


優斗は初めてのLINEに驚いた。今までLINEなんて使ったことが無い。スマホの使いかたも分からない。


(叡智、スマホの使いかたを教えてくれ)


(分かりました。スマホの使いかたをインストールします)


叡智からスマホに関する知識を得て優斗は祈里に返事をした。


『電話しても大丈夫』


優斗はドキドキしながらそう返事を返した。すると直ぐにスマホに着信があった。優斗のスマホの着信履歴に誰の名前も載っていなかった。1年以上スマホを持っているのにネット小説を読んだりググったりする以外に使ったことが無かったのだ。


スマホに表示されている祈里の名前を見て緊張した面持ちでダイヤルボタンをタップする。


「もしもし、優斗です」


『ふふふ』


祈里は優斗のスマホに電話しているので優斗が自分の名前を言ったことがおかしかったのでつい笑ってしまった。


『突然笑ってごめんなさい。祈里です。日曜のことで電話しました。予定は大丈夫ですか?』


「大丈夫だよ。祈里さんに会う以外に予定はないから何時からでも会える。会うのは何時が良い?」


『では、余裕をもって朝の10時にしましょう。場所はどうしますか? こちらが呼びだすので優斗さんの家の近くでも良いですよ』


優斗は他人と外に出すために約束したことなんてない。どこに行ったら良いのか分からない。でも女性に会う場所を決めてもらうのは悪い気がした。そこでとりあえず会う場所だけ決めることにした。


「俺の家の最寄り駅で良いかな?」


『かまいません』


「じゃあ、JR大宮駅でいいかな」


優斗が住んでいるのは埼玉県のさいたま市だ。大宮駅から歩いて15分くらいのところに家がある。


『私の家は足立区にあるので近いですね。大宮駅のルミネ2の中央改札口で良いですか?』


「祈里さん、大宮駅に詳しいんだね」


『埼玉は私たちの家の管轄なので何度か大宮駅に行ったことがあります』


「じゃあ、待ち合わせ場所はそこで良いよ。10時に待っているから」


『分かりました。それでは失礼します。おやすみなさい』


「おやすみ」


優斗は無事に話が出来たことに安心した。内心女の子との初電話にドキドキしていた。まして相手は美少女でお嬢様のような扱いをされていた祈里だ。ものすごく優斗は緊張していた。


電話が終わってベッドでくつろいでいると。ドアがノックされた。


「お兄ちゃん、美香だけど入ってもいい?」


「いいぞ」


可愛らしい寝間着を着た美香が入って来た。


「明日の約束、覚えているよね」


「ああ、覚えているよ」


「出かけるのは9時でもいい?」


「いいよ」


「じゃあ、朝ごはんを食べてから出かけるってことで……」


「わかった。準備しておくよ」


「おやすみなさい」


「おやすみ」


美香は嬉しそうに優斗の部屋を出て行った。優斗は美香が部屋を出て行くのを待ってから明日、美香をどこに連れて行こうかと言うことに悩んだ。それと日曜日に祈里とどこに行こうかとも悩むことになった。


優斗は急いでスマホで買い物出来そうな場所と祈里と話せそうな場所を探すためにググルことにした。

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