049 復讐の最終章
和子が作った晩御飯はとても美味しかった。和子に料理のレシピと料理Lv.10のスキルを渡したことは正解だと思った。晩御飯を食べた後も優斗は復讐の最後のメインディッシュを残しているので直ぐには眠らない。
ノートパソコンでネット小説の異世界ものを検索して商売をする話を探す。そして異世界でどういう商売をしようか考える。優斗はダンジョン産の果物や野菜や香辛料に調味料を売るお店を考え付いた。
でもお店で調味料や香辛料を売ってもお客さんが使い方を知らなければ売れないと考えた。そこで金持ち相手のレストランと庶民相手の食堂を経営して調味料や香辛料を使った料理を食べさせることにした。
そして調味料や香辛料の良さを世間に広める計画を立てる。先ずは隣の公爵領の領都に行ってお店を出すことに決めた。そこで金持ち相手のお店と庶民相手のお店を出すことにした。
資金はダンジョンで得たお金が腐るほどあるので心配はない。そのお金で店舗を購入してスキル創造で理想的なお店を作り出せば良いと考えた。
そしてスキル創造があることでもう一つのお店を出すことを考えた。冒険者相手に武器や防具や旅の道具一式にポーションなどをスキル創造で作って売り出すことを思いついた。冒険者専用ショップみたいなものを想像したのだ。
どの店の商品も仕入れはただなので売れるだけ全て優斗の儲けになる。従業員の主要メンバーはスキル創造でフレッシュゴーレムを作り出すかソラに頼んでミミックスライムを生みださせることにした。そして商売に必要なスキルとトラブルにあった時に備えて、戦うのに必要なスキルを持たせれば良いと考えた。
自分にだけお金が入ってくるのも悪いので異世界で人を雇うことも考える。そこで優斗はあまり人を信用できない。そんな優斗にネット小説が面白いことを教えてくれた。奴隷の活用法だ。
特に欠損奴隷や病気もちの奴隷は安く買える。それに買われなければ廃棄対象になる。その奴隷を神聖魔法で治してやり奴隷の信頼を得て裏切らない従業員を得るという話の内容の小説だった。
優斗は神聖魔法もポーションも作れる。どちらでも病気を治すことが出来るし欠損部位を元に戻すことも出来る。その小説を読んで優斗は異世界の奴隷事情が小説の通りなのかを叡智に確認する。
(叡智、異世界の奴隷事情の知識を教えてくれるか)
(分かりました。今すぐインストールします)
叡智から貰った情報では小説の内容とさほどかけ離れていない内容だった。欠損部位のある奴隷は人を虐めて楽しむ道楽のある貴族に安く売られて酷い目にあって殺されるという。
病気の奴隷は放っておかれて死ぬ運命にある。日本で生活している優斗からしたらとても許せない内容だった。優斗はそんな奴隷を助けようと決意する。先ずはバネット公爵領に行き奴隷を購入することを考えた。
そして大きな街を回り店を各都市に出店しながら王都を目指すことにした。最終的にはウクライーナ王国全土で欠損奴隷や病気の奴隷を買い上げて多くの街や都市でお店を経営することにした。
勿論、奴隷にも賃金をあげて自分自身を買い戻してもらう。そうして奴隷から解放すればいい。奴隷は契約でしばられているので優斗を裏切ることは出来ない。そして命を助けた優斗を裏切るような者は現れないだろうと考えた。
一応、奴隷から解放された者には店に残るのなら契約魔法で優斗を裏切れない約束を結ぶつもりでいる。二重三重に保険をかけていれば優斗を裏切る者は現れないという自信があった。
そういう計画を立てていると優斗が行動するのにいい時間帯になった。時計を見ると夜中の2時を回っている。優斗は変身で黒い装束に身をくるんで窓から外に出る。そして赤城から得た記憶をもとに彼の家に空を飛んで向かう。
一応誰に見られても良いように『認識阻害』の魔法もかけておく。『インビジブル』の魔法もかけて姿も見えなくする。優斗はとても慎重派だった。異世界ならともかく日本では監視カメラがある。魔法で人の目は誤魔化せても監視カメラまで誤魔化せるか優斗には分からなかったからだ。
そして30分もしないうちに赤城の家に到着した。赤城の家は金持ちらしく家の周りは高い塀で覆われていた。入口もシャッターが降りていて直ぐに中に入れない様になっている。優斗は空から赤城の家に侵入する。
家には監視カメラがあるので優斗は念入りに顔を隠す。一応『インビジブル』で透明になっているはずだが何があっても良いように取っている行動だ。そして屋敷全体に『スリープ』の魔法をかける。
その魔法で赤城の家の者や飼われている犬や猫まで深い眠りについた。優斗は玄関に行き『アンロック』の魔法でドアのかぎを開けて中に侵入する。全て優斗の計画通りだ。
優斗は赤城健次郎のいる部屋を探す。赤城健次郎は赤城光輝の父親で国会議員だ。光輝の悪事を国会議員の力で隠している人物だ。優斗はその証拠となる映像を健次郎から得るつもりだった。
マップで人のいる部屋を一階から順番よくドアを開けて眠っている人を鑑定していく。一階には使用人しかいなかった。そして二階に上がる。二階の部屋は光輝の家族の部屋があった。
光輝は三人兄弟のようだ。兄の部屋を見つけた。光輝の兄には恨みが無いので素通りする。隣の部屋は誰もいなかった。多分光輝の部屋だろう。当の光輝は重傷を負って病院に入院していた。光輝の部屋の正面の部屋には光輝の妹が眠っていた。その部屋もスルーする。
そして一番奥の大きな部屋に健次郎がいた。ダブルベッドに一人で寝ていた。妻は光輝の世話で病院に行っていていなかった。優斗は健次郎を叩き起こす。一応音声が漏れないように風の結界を張っておく。
優斗に起こされて健次郎は目を覚ました。そして目の前に黒ずくめで顔を隠している不審者がいることに驚いて大声を上げる。
「お前はだれだ!!」
優斗は何もしゃべらない。ただ健次郎に闇魔法をかけて洗脳していく。そしてこれまで健次郎がかかわった不正を素直に話させる。自白の魔法をかける。
健次郎は汚職やベンチャー企業に経済産業省が行っている資金支援を不正に行わせて裏金を貰ったりしていることまで自白した。そして光輝が学校でしでかしたり町でしでかした悪事をもみ消すためにヤクザを雇ったりお金で解決して事件にならない様に働きかけていたことまで全てはいた。
優斗は健次郎が自白すると嘘を言えば全身に痛みが走る呪いをかける。そうして健次郎は嘘が言えなくなった。一応いままでの恨みを晴らすために顔を一発だけ殴っておいた。
そして全ての用事を終わらせて赤城の家を出た。そして駅前まで空を飛んでいきビルの陰で赤の他人に変身する。変身した後は駅前にあるインターネットカフェに入る。そこで健次郎が自白した内容をメモリースティックに映像として保存した。
健次郎から得た映像と光輝たちから得た映像をパソコンを使ってVtubeに投稿した。そして同じ内容の映像を各メディアにメールで送りつける。それを教育委員会と優斗の学校にも送り付けた。
◇◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
金曜日の朝優斗は朝ごはんを食べた後にニュースを見る。そのニュースでは赤城健次郎議員の不正を自白する映像が流れていた。そしてベンチャー企業や不正にかかわった人たちから接待を受けたりお金を受け取る映像も公開された。
そしてその息子である光輝の悪事がメディアで白日の下にさらされた。その後赤城健次郎は議員を辞職して警察に逮捕された。
光輝と田代、横山は学校を退学になり。早乙女と一色、三波は一カ月の停学処分になった。そして赤城たちの虐めをしりながら対応をしなかったとして優斗のクラスの担任が懲戒免職になった。
学校の校長と教頭は地方に飛ばされて、ただの先生をすることになった。全てはメディアで報じられた。学校と教育委員会から優斗に謝りたいと連絡があったが優斗はそれを一切無視して修二の働いている会社の顧問弁護士に相談して全てのことを弁護士に一任した。
こうして優斗の復讐は幕を閉じた。優斗は煩わしいのは嫌なので後は弁護士に任せて異世界と地球であそぶことを考えていた。




