048 妖魔事件の後始末③とロト7購入
それから今日も事件のあらましを祈里が加奈と博人に話、優斗も今日の出来事を二人に話した。簡単な事情聴取をうけたかたちだ。それが終わって優斗は解放された。
「祈里さん、今日はもう帰るよ」
祈里は少し寂しそうな顔をした。祈里は運命の人と会ったのでもう少し優斗と話をしたかった。でもこれから実家に今日の報告をしに行かないといけないという理由もありしょうがなく優斗と別れることにした。
「なにかあれば連絡しても良いですか?」
「いつでも連絡して、連絡してくれるのを待っているから」
祈里は優斗がいつでも連絡していいと言うので嬉しかった。本当はもう少し一緒にいたいというのが本音だ。でも優斗は無理に引き留める訳にもいかない。残念に思いながらも我慢する。
「有難うございます。必ず連絡します」
「分かった。じゃあ、またね」
「はい、また会いましょう」
優斗は公園をあとにする。優斗が見えなくなるまで祈里は彼の後姿をずっと見ていた。そのことに加奈が気付いた。
加奈は優斗の後姿をずーっと見ている祈里のことが気になった。その目は恋する乙女の様な目をしていた。加奈は直ぐに気づいた。
「祈里お嬢様、彼のことが気になるのですか?」
「ふふふ、加奈さんには言っていなかったですね。優斗さんは私の運命の人なんですよ」
加奈はその言葉に驚く。陰陽師の家系にとって星詠みで運命の人と予知されるのは物凄く幸運なことだからだ。そしてあの少年が祈里の運命の人だという。女郎蜘蛛から祈里を救ったほどと強い優斗のことだから将来は退魔師として活躍するだろうと思った。
そして運命の人と出会えた祈里のことを羨ましく思う。加奈じたいは霊力が少ないので結婚のことで家では強制をされない。でも運命の人となら決められた相手でも良いとさえ思っていた。
「優斗君が祈里お嬢様の運命の人なんですか?」
「そうですよ」
「お嬢様は物凄く運が良いですね。私もそのような方とお逢いしたいと思っています」
加奈がそう言うのも当然のことだ。彼女は星詠みで運命の人を予言されていない。でも霊力が低いので恋愛結婚はできる。そのことが唯一の救いだった。陰陽師の家系に連なる者は霊力が高ければ高いほど自由な結婚は行えない。
霊力が高いもの同士で結婚させられる運命にある。それを決めるのが各家の当主たちだ。祈里も星詠みで優斗と会うことが予知されていなければ霊力の高い陰陽師の誰かと結婚させられていただろう。
「加奈さんは恋愛結婚が出来るからいいじゃありませんか。でも私は幸運でした優斗さんのような素敵な男性が運命の人だったんですから」
加奈は霊力が低いので結婚にたいする条件はない。一般人とでも結婚できるのだ。
「そうですね。もし私が若ければ妾にしてもらいたいくらいです」
加奈は幸せそうな顔をしている祈里をからかいたくなった。
「だめですよ。優斗さんは譲りません。でも、あれほどの霊力を持っている方です。妾の2、3人はしょうがないかもしれませんね」
陰陽師の家系は霊力を多く持つ子孫を増やすために霊力が高い者は2、3人の妾を囲うことがある。祈里はそのことを当然のように思っていた。実際、祈里の祖母には祈里の運命の相手には複数の女性の影があると言われていた。
祖母の星詠みは正確に当たる。祈里はそのことを分かっている。祈里は顔を俯かせる。加奈は祈里の顔を見て申し訳なさそうな顔をする。
「それは仕方がないですね。霊力の高い子供を作るのもお家のためですから」
加奈は祈里にそう言葉をかけるしかなかった。加奈の実家にも妾はいる。そうしないと退魔師が増えないからだ。退魔師は子供が出来にくいという体質がある。そのため霊力の高い男性は複数の妻を持つことが許されていた。
「残念ですが私も諦めています。それに優斗さんには複数の女性を娶ると言うことが星詠みでわかっていますから」
祈里の父にも二人の妾がいる。祈里は本妻の子供である。幸いにして本妻の子供である長男の霊力が高いため家は長男が継ぐことになっている。陰陽師の家の格式が高いと霊力の高い子供が家を継ぐことが当たり前なのだ。
「祈里お嬢様、けが人の輸送は終わりました。帰っても大丈夫ですよ。後は我々にお任せください」
「博人さん、ありがとう。後はお願いしますね」
博人達に後は任せて祈里は加奈と一緒に公園を出て実家に向かった。実家では今日の事件の他に優斗のことを祈里は報告するのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
優斗は公園を出た後に直ぐに駅に向かった。そして駅に着くと直ぐに宝くじ売り場に向かう。宝くじ売り場についた優斗はそこでロト7の当選番号が書かれている票を見つけた。その表には毎週行われるロト7の当選番号が書かれていた。
その表の次回の当選番号は勿論なにも書かれていない。しかし優斗はスキル未来視を使って明日行われる抽選の結果が書かれている未来を見た。そしてその数字記憶してマークシートを手に取る。
そしてマークシートに書かれている数字をみてさっき覚えた数字を鉛筆で塗りつぶす。それを窓口に持っていき叔母さんに渡した。200円で一口のロト7を購入してその場を離れる。
これでお金を得ることが出来れば異世界でえたお金を自由に日本で使うことが出来ると優斗は考えた。一応、異世界で得た万札を鑑定して偽物でないかどうかは鑑定している。等価交換で得た万札はどれも本物だった。
等価交換で万札は得られるのにスキル創造でお金は創造出来なかった。叡智に確認したところ等価交換で得られたお金は天界システムで日本銀行のお金と金を交換して本物のお金と等価交換して得たお金だと言うことだった。
そこらへんは天界が関与しているゴッドスキルなので叡智もどのようにして天界が日本円を得ているかは分からないと言うことだった。同じように異世界のお金もどこかの国のお金とミスリルが交換されていると言うことだった。なので、スキル等価交換で得られたお金は本物だと言うことだった。
優斗はロト7を買った後に電車で帰るのは面倒だったので駅のトイレに入り家の玄関に転移した。その後は暇だったので夕食まで異世界でどのように過ごすか考えた。そしてそのヒントを得るために異世界物のネット小説を読むことにした。




