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041 美香と登校

優斗は何時もより気持ちよく目を覚ます。以前なら学校で虐められていたのでそのことを考えて起きるのが嫌だったがもうそのことを考えることもないからだ。今では強くなっているので赤城なんて怖くなくなっている。


ベッドから起き上がって洗面所に向かう。そして顔を洗い自分の顔を見る。そしてほくそ笑む。自分に自信が持てるようになった。


「やっぱり、整った顔をしているな。以前なら自分の顔を見て落ち込んでいたのに……」


優斗は整っているというよりは美しいというような顔を見て今までのことが夢ではなかったと思って安心した。顔を洗い歯を磨くと部屋に戻って制服に着替える。制服がダボダボだったのでサイズ自動調整の魔法を付与した。すると制服は体に合ったサイズになった。


鑑を見ると今まで似合わなかった夏服の制服がどこかのモデルが着たような印象に見えた。そのことを嬉しく感じ優斗は喜んだ。そしてダイニングに向かう。ダイニングでは和子が作った朝食が準備されていた。


「おはよう」


「おはよう、優斗」


「おはよう」


「おはよう、お兄ちゃん」


『おはよう』と言い家族みんなが挨拶を返してくれることに優斗は感動した。今までだったら挨拶一つなかった。優斗は嬉しく思いながら母親の方に近付いた。


「母さん、少しの間じっとしていて」


そう言い和子の頭に手を置いて料理の知識を流し込んでスキル料理Lv.10を彼女に与えた。そして手を放す。


「優斗、なにをしているの」


「ちょっとしたおまじないだよ」


幼い頃を除き母親に触れたことが無かったので優斗は少し緊張していた。だがうまくスキルと地球の料理のレシピを和子に渡すことが出来た。


「それでも母親の頭に子供が手をおくことは失礼なことよ」


以前にこんなことをやったら思いっきり叱責されていただろうと優斗は想像する。しかし、邪神のいたずらによる運の値はニーベルリングでプラス5,000になっているので優斗に不幸は訪れない。


「ごめん、気にしないで」


「まあいいわ。食事が出来ているから食べなさい」


「頂くよ」


優斗は美香の隣にある自分の席に座って食事を始める。


「お兄ちゃん、昨日、ふと思ったんだけど最近あまり私と遊んでくれていないよね」


美香はそう言い優斗の腕に手を絡めてくる。優斗の肘のあたりに美香の豊かな胸が押し付けられる。今まで美香が優斗に対してそのような行動をとったことが無いので優斗はドキドキした。


「突然どうしたんだよ」


「だって、お兄ちゃんにかまってもらいたいんだもの。さっきも言ったけど最近、私のこと相手していないよね。だから今度の休みに私をどこかに連れて行ってよ」


最近どころか優斗は美香とどこかに遊びに行ったことなどない。闇魔法で植え付けた記憶のせいで美香は過去に優斗と遊びに行ったというおぼろげな記憶があるのだろう。しかしそのことはあいまいな記憶として残っていると優斗は思った。


そして、美香に遊びに誘われたことを嬉しく思った。お金なら腐るほどある。そのお金を使い美香と楽しむのも良いと考えた。


「美香は何処に行きたいんだ?」


「買い物に行きたい。ショッピングセンターとかデパートでも良いよ」


優斗はショッピングで美香に似合う服をプレゼントするのもいいなと思う。そして美香が喜ぶ顔を想像して笑顔になる。


「分かったよ。今度の休みに出かけよう」


「ありがとう。お兄ちゃん」


「お前たちはいつ見ても仲がいいな。恋人みたいだ」


父親の修二の言葉に美香は顔を赤らめる。


「私たちは兄弟だよ。恋人じゃないし……。お父さんのバカ」


美香は恥ずかしがり修二を睨みつける。しかしその顔はどう見てもニヤニヤしていた。優斗はニヤニヤしながら修二を睨みつける美香を見て器用な奴だなと思った。食事を食べ終えて席を立つと美香も慌てて食事を食べ始める。


「お兄ちゃん、途中まで一緒に行こうよ」


「良いぞ。早く支度をしろよ」


「うん」


美香が食事を終えると優斗は部屋に戻り鞄を取って玄関に向かう。優斗が玄関で待っていると美香が鞄を持ってやって来た。


「「行ってきます」」


二人で挨拶をして家を出る。優斗の家は彼が小学校2年生のころに修二が借金をして買った二階建ての家だ。家には両親の部屋に美香と優斗の部屋と居間に客室がある。一般的な四人家族が住む家になっている。その家を出て優斗と美香は学校に向かう。


美香は家を出ると優斗の腕に自分の腕を絡ませてきた。誰が見ても恋人のような感じに見えることだろう。


「美香、ひっつき過ぎじゃないか?」


「これぐらい普通だよ。仲が良いところをみんなに見せ付けているんだから」


道で通りすがる人たちがくっついて歩いている二人を二度見する。美香は以前からこのあたりでは有名な美少女なので近所のだいたいの人は彼女のことを知っている。しかし優斗のことも醜い顔をした男として有名だった。


今日は通りすがる人たちは優斗のことをどこかのモデルだろうかと言うような感じで見ていた。優斗の容姿の良さに驚いている者もいる。


「なに? あのカッコイイひと。今まで見たことがないんだけど……」


「本当ね、隣の子は見たことがあるけどね」


女子高生二人が優斗たちのことを見て驚いている。優斗にその声が聞こえている。優斗はますます自分の容姿に自信を持った。


「あの男、いいなー。あんな美少女と朝っぱらからくっつきやがって」


女子高生とは逆に男たちは美少女で有名な美香と一緒に歩いている優斗に嫉妬の感情をあらわにする。みんなの注目を集めながら優斗と美香はコンビニがある交差点まで二人で歩いた。


「お兄ちゃん、ここでお別れだね。今度の休みのデートのこと忘れないでよ」


「分かっているよ。土曜日にでも遊びに行こう」


「それで良いよ。じゃあ、行ってきます」


「車に気を付けるんだぞ」


「それくらい分かっているって。子供じゃないんだからね」


二人は交差点で話分かれて美香は近くの中学校に向かい優斗は高校に向う為に近くの駅に向かう。駅に着くまでも女子高生たちと会うたびに女子高生たちは優斗のことを話していた。


駅についても電車を待っている間女子高生たちが優斗を見ている。なかには優斗のことをスマホで写真を撮っている女子高生もいた。そして写真を見て騒いでいる。

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