031 ダンジョンマスター②
優斗とソラは早速、森の中にある城に向かう。城は優斗が想像していたものよりも大きかった。某テーマパークにあるシンデレラ城のような作りで機能的と言うよりも美的センスにあふれている。どこからも攻められることはないので城壁らしきものは無い。
城の正面には綺麗な花が咲き乱れていて庭園になっている。噴水もあり池もある。庭園は綺麗に整えられていた。
城の両開きのドアを潜って中に入ると思っていたよりも中は広くなっていて二階まで吹き抜けになっていた。天井が高くてとても広々と感じる。壁際には高そうな壺があり壁には絵画などが飾られている。ソラのセンスに任せてあったが彼女の美的センスはかなり高いようだ。
しかし誰もいない広い城は寂しく感じられた。優斗がそう思っているとソラが話しかけてきた。
「優斗様、この広い城に従者がいないと言うのは寂しいものです。私が準備してもよろしいですか」
優斗はソラがそういう提案をしなければスキル創造でメイドのフレッシュゴーレムを創造するつもりだった。しかしソラがそう聞いてきたので彼女に任せることにした。
「ソラに任せるよ」
「かしこまりました。城を任せられるようなスキルもこちらでつけておきます。必要な従者を教えてもらえますか?」
「そうだね。城と言うとメイドは必要だね。それに執事みたいな人も欲しい。後は料理が出来る人も欲しいし、後は城の庭を管理する人も必要だよね」
「では。メイド数人と執事と料理人に庭師を準備いたします」
ソラはそう言い目を閉じる。すると目の前の空間が揺らぎメイドの格好をした17、8歳くらいの少女が5人に同じく30代くらいの執事服を着た男性が2人に5人の作業着を着た20台前後の男性が5人にコックの格好をした20代くらいの男性が3人出てきた。
「「「「「「「「初めまして旦那様。私たちが旦那様のお世話をさせていただきます」」」」」」」」
ソラに呼びだされた者たちは声を合わせて優斗にお辞儀をした。
「彼らはミミックスライムです。人の形を模倣していますが魔物のスライムです。スライムと言っても優斗様のお世話をする者たちですのでレベルは200もあり強いですよ。またメイドと執事と庭師に厩を任せるミミックスライムには教養Lv.10と礼儀作法Lv.10と剣術Lv.10と格闘術Lv.10に優斗様のお世話に必要な各種魔法をLv.10のスキルを与えています。コックを任せるミミックスライムにはそのほかに料理Lv.10のスキルを与えています」
ソラはそう言い誇らしそうな顔をして優斗を見る。そしてコックを任せるミミックスライムと優斗にマジックバックを渡した。
「有難う。そのマジックバックはなんなの?」
「このマジックバックどうしはつながっていています。コックに渡したマジックバックにものを仕舞うと優斗様のマジックバックでも取り出すことが出来ます。また逆に優斗様がマジックバックにものを仕舞うとコックが持っているマジックバックでも取り出せるようになります。これから案内する農園や果樹園や調味料などを扱うミミックスライム達にも同じマジックバックを持たせるのでこのダンジョンで取れたものはいつでも優斗様の持っているマジックバックから取り出せるようにできます。また優斗様が創造でこのマジックバックと同じものを作ればそのマジックバックでもこのダンジョンで作られたものが取り出せるようになります。勿論、マジックバックは無限収納で時間停止ですので野菜や果物が腐ることはありません。どうぞお使いください」
優斗はソラの考えていることを理解して嬉しく思った。このマジックバックを使えばいちいち優斗がダンジョンに赴いてダンジョン産の果物や野菜や調味料を取りに来なくても良くなる。実に使い勝手の良いマジックバックだった。
「ソラは頭が良いんだね。良いものを貰ったよ。これで好きな時にダンジョン産のものが手に入る様になるよ。有難う。とても嬉しいよ」
「役に立つことが出来て私も嬉しいです。他に私にしてほしいことがあれば遠慮なくお申し付けください。優斗様の期待に応えて見せます」
ソラの優斗に対する忠誠心は半端ないと優斗は感じた。それはソラにとって当然のことだった。優斗がダンジョンを踏破した時にダンジョンコアを破壊するという考えがあったらソラは死んでいた。優斗はダンジョンコアを破壊しないでダンジョンマスターになってくれた。
ソラからしたら優斗は命の恩人のようなものである。それにダンジョンコアの現身であるソラにとってダンジョンマスターである優斗は何物にも代えがたい仕えるべき存在であるのだ。
「そう気張らなくても良いよ。ソラは十分に俺の役に立ってくれているよ。これからもその調子で頼むよ。それとコックの3人には料理の知識を教えたいと思うからこっちに来て」
そう言いコックのミミックスライムを呼んで優斗は地球の料理の知識と優斗がこれから創造で準備しようと思っている料理器具や魔道具の知識を与えた。念のためにソラに地球の食べ物の知識とレシピを記憶させた。そして厨房で使う調理器具と魔道具を創造してソラに吸収させてそれらをソラでも作れるようにした。
ソラによるとこの城には60以上の部屋があるとのことだった。全てを回って確認するのは大変なので部屋以外をソラに案内してもらった。まず一番初めに2階にあるダンスホールに案内された。
この城には誰も連れてくることはないと思うのでダンスホールとか必要ないと思ったが。ソラが折角用意してくれた設備なので優斗は何も言わないでおいた。ダンスホールにはきらびやかで大きなシャンデリアが5つもあった。そのシャンデリアは魔道具らしく蠟燭ではなかった。
そして3階にある風呂に案内された。風呂は男女別に分かれていた。男風呂を覗くとそこには大人が20人も入れるような浴槽があった。すでにお湯は張られていた。お湯も魔道具で常にお湯がはられている状態になっていると言うことだった。
そしてなんとお湯には疲労回復や美肌効果が付与されているとのことだった。温泉よりも効果が期待できるとソラが言っていた。トイレのことが気になってソラに聞いてみるとトイレは各階に3か所ずつ用意されていてトイレも魔道具になっていると言っていた。そして、各部屋にもトイレと風呂の設備があるという事だった。まるで高級ホテル並みの城だ。
トイレは水洗トイレではなく汚物は転移魔法でダンジョンの深層部に飛ばされると言うことだった。そこに飛ばされた汚物はダンジョンが直ぐに吸収するので衛生面では問題ないという話だった。
3階には従業人の部屋と食堂と厨房があった。優斗は厨房に着くと直ぐにスキル創造を使い。地球のレストランにあるような厨房へと作り替えた。そして地球で使われているような調理器具にオーブンや冷蔵庫にスイハンジャーの魔道具なども整えた。
「これでコックたちも地球の料理が作れるね」
「優斗様、お任せください。美味しい料理をご用意いたします」
一人のミミックスライムのコックがそう答えた。残り二人のコックも頷いている。
そして最後に4階に訪れた。4階は私的に利用されるような場所で部屋は20部屋程あった。ソラが言うには19部屋は優斗のお嫁さんや子供の部屋になると言うことだった。そして一番広い部屋が優斗の部屋になっていた。
優斗の部屋には天蓋付きで5人が並んで寝られるようなベッドが直ぐに目についた。そして部屋には3つのドアがあり一つは風呂場になっていて5人が一度に入れるような大きさの湯船がありすでにお湯が張られていた。
石鹸が無かったので優斗はソラに石鹸とシャンプーにリンスとコンディショナー、タオルにバスタオルなどを吸収させてダンジョンに登録させた。これでソラも石鹸などを生産できる。早速、ソラは石鹸など作り出し風呂場に設置した。タオルなどは洗面所に作って配置した。
そして次にトイレを確認した。トイレにはおしりふき用の古い布が置かれていた。優斗はソラにトイレットペーパーを覚えさせた。そしてトイレットペーパーを設置する器具も覚えさせた。するとソラは早速トイレットペーパーを作り出してトイレに設置した。
「各階や他の部屋のトイレにもトイレットペーパーを設置しました。後ほどマジックバックにも石鹸などと一緒にトイレットペーパーも補充しておきます。野菜や果物に調味料や石鹸をこれだけ多く毎日生産するといくらDPを多く持っていると言っても減る一方なので優斗様には悪いですがダンジョンコア本体に魔力を補充して頂けるとありがたいです」
「分かっているよ。俺の魔力は無限だから欲しいだけ魔力を与えることが出来るから心配しないでね。これからも欲しいものがあればお願いするかもしれないけど宜しくね」
「はい。お任せください」
ソラは優斗が満足するなら何でもするほど優斗に従順だ。




