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030 ダンジョンマスター①

ただ深淵の森ダンジョンを攻略する間に日本円で50億円この世界の共通通貨で150億(セル)もの大金を稼いでいるので冒険者として生計を立てるのはもう面白みがないと思っていた。


それにまだ等価交換していない属性竜の死体が96匹分もある。属性竜一体を等価交換すると7千万(セル)になる。オークションに出せば1億2千万(セル)にはなるだろう。


そんな時にダンジョンのマスターになって地球産の果物や野菜や香辛料をダンジョンで得られる機会に恵まれたのでその商材を使って商売を始めようと優斗は思った。それにスキル創造で魔道具やポーションや武器なども作ることが出来る。


いっさい仕入れ値はかからない。経費は人を雇う人件費くらいだ。商売を人任せにしたらあとはお金はいくらでも稼げる。優斗はこの世界で遊んでも金を得られる。悠々自適に生活できると思った。


今まで虐められたり家族に無視されたりして苦労してきた分幸せに暮らせる未来を優斗は楽しく想像した。そして早速、地球産の果物に野菜や香辛料や家畜を等価交換で得てダンジョンコアに登録させた。


果物はリンゴ、なし、もも、柿、温州ミカンにダンカン、オレンジ、グレープフルーツにスイカ、メロン、ブドウなど優斗が知っている範囲ですべてソラに吸収させてダンジョンに登録させた。


穀物類も小麦に大麦、米、トウモロコシに粟などを登録した。


野菜もレタス、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、長ネギ、ダイコン、にんにくなど日本で優斗が知っている野菜もソラに吸収させてダンジョンに登録させた。


香辛料も胡椒、唐辛子、シナモン、カルダモン、クミン、クローブ、山椒、フェネグリークなどもソラに吸収させて登録した。


家畜はジャージー種の牛に卵を産む鶏だけ登録した。どうしても肉類は魔物の肉の方が美味しかったからだ。地球産の鶏の肉は牛や豚の肉はこの世界では売れないと考えてのことだった。あと牛などの飼料も登録した。


牛の肉はホーレスカウという魔物の肉が美味しいしブタの肉よりフォレストボアの肉のほうが美味しい。鶏の肉よりトードーの肉の方が美味しい。肉は魔力を多く含む肉程この世界では美味しく感じられた。


ただ、家畜は魔物に襲われるのでそれほど盛んではないためこの世界では飼われていない。そのため優斗のいる村でもミルクや卵といった食材は出回ってはいなかった。それに優斗が叡智から得た知識で魔物から得ることが出来るミルクや卵は高級品で平民に手が出るような値段ではなかった。


それに果物も平民に手が出るような食べ物ではないし香辛料と言った調味料も平民が手に入れることが出来ないものだった。そのことに優斗は注目した。ダンジョンで生産して安く売り出せば多くの人たちに買ってもらえると考えた。


それとソラに等価交換で得た植物性プラスチックを吸収させた。香辛料や砂糖は植物性プラスチックで容器をソラに作ってもらいそれに詰めてもらうように指示を出した。


そして最後にケチャップ、マヨネーズ、ウースターソース、味噌、醤油、みりん、酢、サラダ油、コンソメ、中華風味の素、塩などをソラに吸収させて覚えさせた。


「ソラ、深淵の森ダンジョンに四階層の地下を作って欲しい。そして地下一階層には湖と森と城を作って欲しい。そこを俺たちの拠点にする。そして地下二階層に果樹園を作ってくれ。地下三階層には農園を地下四階層には牧場と養鶏場を作ってくれ。その知識は俺が与える」


そう言い優斗はソラの額に右手を当てて叡智から得た果樹園や農園、牧場や養鶏場の知識をソラに与えた。


「早速、それらの階層を作ります」


ソラがそう言うと目をつむった。そして直ぐに目を開いた。ソラは優斗が何を考えているのかさっぱり分からなかった。ソラはダンジョンコアの化身なので人間らしい考えを持っていない。ただ、優斗がダンジョンマスターになったことで優斗の記憶を共有することが出来た。


今では人の考え方が少しは分かる。それでも、優斗の行動は理解できなかった。食べ物が欲しければDPを利用して作り出せばいいというのがソラの発想だった、優斗の考えはソラの発想の斜め上を行っていた。


優斗はダンジョンに巨大なプランテーションを作る気でいたのだ。全てはラノベの知識だ。優斗の考え方はラノベの知識に偏っている。叡智もそんな優斗の考え方に賛同している。まあ、どのようにDPを使うかはダンジョンマスターである優斗が決めることなのでソラは黙って見守ることにした。


「優斗様に教えていただいたように地下四階の階層を新しく作りました。この後確認いたしますか?」


「直ぐに確認したい。案内してくれるかい?」


「はい。直ぐに案内いたします。それではダンジョン内移動を利用して転移します」


ソラがそう言うと直ぐに景色は変わり優斗の目の前には森の中に立派な城が立っていた。そして振り向くと湖が広がっていた。


「凄いね。直ぐにこんなものが作れるんだね」


城やその周りの風景は優斗が創造していたものと寸分たがわぬものだった。ソラが優斗の記憶を共有しているのでダンジョンの階層を作るときにその知識を利用したからだ。


「DPをかなり消費しましたが問題ありません。ダンジョンが出来三千年以上たちましたがこれと言ってDPを使ったことはありませんのでかなりDPがたまっています。もっと優斗様の要望にお応えすることが出来ます。どんな宝物でもお作りいたします」


優斗は宝物などはスキル創造で作れるのでソラの申し出をそれほど魅力的には思わなかった。しかし目の前に広がる森は木が生き物なので優斗には作れない。優斗に作れない生き物をソラが生み出してくれる。そのことが優斗には嬉しかった。


それよりも早く城の中を見たくて仕方がなかった。外から見える城はとても立派な城だったからだ。


ソラも優斗を早く城に案内したかった。優斗の理想通りの城に作り上げてはいるが優斗が実際に気に入るかは分からない。


「優斗様、この城を見てお好みにあいましたか?」


「ああ、理想的な城だよ。周りの景色も気に入っているよ。ありがとう、ソラ」


ソラは優斗に褒められて嬉しく思った。ダンジョンコアの現身であるソラは優斗に従順になっている。主から褒められて嫌な従者はいない。ソラは生まれて初めて主人の役に立つことがこれほど嬉しいことなのだと実感した。


「褒めていただき。有難うございます。優斗様の思考をよんで理想通りの城が出来てほっとしました」


優斗はソラがいつ自分の思考を読んだか気になった。心の中を全て見られているようで恥ずかしくなる。


「ソラ、いつ俺の思考をよんだんだ」


ソラは自分の発言がまずかったのかなと思ったが正直に話すことにした。


「優斗様がダンジョンコアに触れたときです。優斗様好みの従者になる様にダンジョンマスターになった時には私に思考が流れてくるようになっているのです。勝手に優斗様の思考を覗いたのでは御座いません」


「そうなんだ。なら、今は俺の思考は読めないんだな」


「はい、今は優斗様が何を考えているのか分かりません」


「それなら安心だ。これからもダンジョンの制御をソラに任せるよ」


ソラは首を傾げる。優斗がダンジョンマスターになったので彼がダンジョンの制御をすると思い込んでいた。


「優斗様がダンジョンを制御しないのですか?」


「俺はダンジョンでは生活しようとは思わないよ。時々はダンジョンにくるからそれで勘弁してほしい」


「分かりました。優斗様のお考えを尊重いたします」


ソラはあくまでも優斗に従順に振舞う。そして二人は城に向かった。

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