027 レベル上げ③
優斗がシャルルに一緒に村を出ようと話をしてから二カ月近くたった。優斗のレベル上げはうまくいっていてレベルは197まで上がっていた。この世界で過去最高のレベルに達した人がレベル180なのでその記録はもう抜いている。
この世界で優斗のことを害する人はもう存在しない。そのことは優斗も分かっている。しかしダンジョンの中心に向かうにつれ優斗が出会う魔物のレベルは200を超えるようになってきた。優斗は自分を害する人がいなくても自分を害することが出来る魔物が存在することが許せなかった。だから今もレベル上げを行っている。
今日戦っているのはエレメンタルドラゴンという種類のドラゴンたちだ。それぞれの竜たちはウインドドラゴン、アースドラゴン、ウォータードラゴン、ファイヤードラゴン、ホワイトドラゴン、ブラックドラゴンと属性をつかさどるドラゴンたちが相手になっていた。
その属性をつかさどるドラゴンたちでさえ優斗はヒヒイロカネで出来た自作した剣を使い一振りでドラゴンの首を落としてしまう程強く成っていた。今の優斗にかなうとすればエイシェントドラゴンぐらいだろう。
優斗は危なげなくエレメンタルドラゴンたちを狩って行く。98匹目になる目の前のウインドドラゴンを狩って優斗のレベルはようやく200に達した。
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名前:九条優斗
種族:ヒューマン
性別: 男
年齢:16歳
レベル:200
HP: 598,298×4=2,393,192
MP: 無限
攻撃: 47,384×4= 189,536
体力: 44,420×4= 177,680
防御: 48,410×4= 193,640
知力: 46,450×4= 185,800
敏捷: 42,398×4= 169,592
運 : 5,000×4= 20,000
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優斗のステータス値は6桁にも及ぶようになっていた。優斗がステータスを確認して上機嫌でいるときに足元が輝き魔法陣が発生した。
「なんだこれは」
優斗の口からそう一言漏れた瞬間に優斗はその場から転移させられた。優斗が転移に気付いてあたりを見渡すとさっきまでいた森とは違って周りを木々に囲まれた半径500mはあろうかと言う草が生い茂る場所だった。
よく目を凝らすと草原の中心に魔物の反応がある。今まで感知した魔物より反応が明らかに大きい。優斗はその魔物の反応の方に近づく。そして魔物が目視で確認できるような場所まで近づいた。
魔物は人型でこめかみからねじれた二本の角が生えていた。容姿はどう見ても悪魔にしか見えない。身長も大きく5mはある。とにかく威圧がすごい。優斗は直ぐに鑑定をした。
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名前:タルベス
種族:最上位悪魔
性別: 男
年齢:2,980歳
レベル:248
HP: 898,298×2=1,796,596
MP: 99,230×2= 198,460
攻撃: 99,384×2= 198,768
体力: 99,420×2= 198,840
防御: 99,410×2= 198,820
知力: 8,450×2= 16,900
敏捷: 99,398×2= 198,796
運 : 1,538×2= 3,076
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最上位悪魔は優斗よりもレベルが50近く高く身体強化Lv.10のスキルを持っていて全てのステータス値が倍になっていた。どのステータス値も優斗を上回っている。優斗はこの森で初めて格上の存在に出会ったことになる。
(マスター、その悪魔は危険です。ステータス値が全てマスターを上回っています。素早い相手と戦うにはスキル未来視と縮地を獲得した方が良いと思います)
(分かった直ぐに取得する)
優斗は自分より上位の者との戦いは初めてなのだということもあり慎重になった。特に敏捷のステータス値の差を埋めるために創造でスキル未来視Lv.10と縮地Lv.10を獲得した。
そして最上位悪魔に声がかけられるくらい優斗は近づいていく。そして5メートルほど近づいた時に最上位悪魔が口を開いた。
「ズートオマエヲミテイタ。オマエハキケンダ。オマエガセイチョウスレバコノダンジョンガコウリャクサレテシマウ。ソノマエニオマエヲコロス」
「貴方が俺をここに転移したんですか?」
「ソウダ。オレガオマエヲヨビヨセタ。カクゴハイイナ」
優斗には自動防御があるのでどんなに強い魔物でも脅威にはならない。最上位悪魔だろうと平気だった。
「俺はそう簡単に倒されませんよ」
優斗が一歩踏み出すと最上位悪魔も武器を構えた。優斗は自動防御があるので軽装だが最上位悪魔は全身鎧に槍と完全武装だ。はたから見てこの戦いは優斗の無謀な挑戦のように思えた。どう見ても最上位悪魔の槍の一振りで優斗が吹きとばされるであろうことが予想される。
優斗はさらに一歩踏み出したところで最上位悪魔が槍による一撃を放つ。その一撃は過去最高のレベル180の者が見ることが出来ないほど素早い突きだった。その巨体から想像できないほどの速度で放たれた攻撃は武器の大きさも相まって大木が迫ってくるかのように見えた。
槍が草が生い茂る地面を抉る。そこには深いクレーターのようなものが出来た。しかしそこに優斗の姿はない。優斗は最上位悪魔の足元にいた。ステータス値で優っている最上位悪魔は優斗のことを侮っていて全力で攻めていないようだ。
優斗はスキル未来視によって最上位悪魔の攻撃を予測して縮地で移動して攻撃を避けたのだ。こちらの姿を見失った最上位悪魔の足を目掛けて剣を振るう。ヒヒイロカネで出来た剣には魔力を通しており付与された切れ味アップの恩恵もあり凄い切れ味を有している。
「はっ」
気合一閃。優斗は踏み込んだ勢いのままに剣を振り切る。鮮やかに気合ののった剣の一振りは軌跡を描き剣は最上位悪魔の右足を覆っていた甲冑を両断した。斬撃はそのまま右足を半ば近くまで断ち切る。
流れ出た鮮血が黄金の甲冑を赤く染める。最上位悪魔のHPが50分の1ほど下がった。最上位悪魔に対して一撃でこれだけのダメージを与えることが出来たのは優斗にとって喜ばしいことだった。
「グラララララーーーーー」
片足に襲った痛みに最上位悪魔は悲鳴を上げた。大きな悲鳴があたりに響く。しかし最上位悪魔も負けてはいない素早い動きで槍を引き戻し横に振るった。あまりの速さに優斗の対応が遅れる。心眼で未来予測が出来てもその攻撃に対応するより最上位悪魔の動きの方が素早かった。
優斗は直ぐに最上位悪魔の方を見る。




