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019 異世界一週間め①

優斗がやってきた異世界では一日は地球と同じく1日は24時間で1カ月は30日で1年は12カ月ある。1年は360日ということになる。一週間という概念もある。火、水、土、風、氷、雷。聖の曜日があり一週間は地球と同じく七日ということになっている。聖の曜日は安息日と呼ばれて一般的に地球で言う日曜日のように休みの日になっている。


優斗が異世界にきて一週間がすぎた。一週間も一緒に生活していると二人の間でいつの間にか決まりごとのようなものができていた。朝食とお昼の弁当は優斗が作り夕食は優斗に地球のいろいろな国の料理のレシピを魔法で教えてもらったシャルルが作るようになっていた。夕食後の片づけは優斗が魔法で行うようにしている。


そして、朝一緒に森に向かって帰りも一緒に帰ってくるようになった。村に帰ってすぐに村長の家に行きその日の成果をアンナさんに渡して野菜や小麦粉に交換してもらう。そして優斗が狩った魔物の肉もアンナさんに分けるようになった。


この一週間で大きく変わったのはシャルルがゴブリンと戦うようになったことだ。優斗が神剣術Lv.10をシャルルが知らないうちに彼女に譲渡して創造で作った鋼鉄の剣を彼女に貸し与えた。


身体強化と自動防御が付与された指輪を持っているシャルルにはゴブリン程度直ぐに倒せるようになった。シャルルは薬草を採取しながらゴブリンを狩って魔石と薬の材料になる肝臓と膵臓を手に入れて、それらもアンナさんに渡して食べ物を得るようになった。


今日も優斗は森でレベル上げを行なった。現在の優斗のレベルは95で、倒しているのはブラックオーガやキングミノタウロスにロージングティラノといったレベル120前後の魔物だ。それらの魔物を狩って優斗の思い通りレベルは上がってきている。このレベルが上がるペースはこの世界の中でも類を見ないペースだ。


やはり身体強化の付与された腕輪と身体強化Lv.10のスキルでステータス値が4倍になっていることと、獲得経験値増加Lv.10のスキルを持っていることが大きく影響しているようだ。しかも倒す魔物は常に優斗のレベルを上回っている。魔物討伐で得られる経験値は大きい。したがってこの世界で前例のないペースで優斗のレベルは上がり続けている。


シャルルのレベルも一週間でレベルが7上がりレベル10になっている。薬草採取よりゴブリンの内臓や魔石をアンナさんに渡したほうが実入りは良いようになった。しかし薬草は村でも使われているため今でも薬草採取は続けている。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



優斗は狩りを終えてシャルルを迎えに来た。今ではシャルルは以前よりゴブリンの多く出るポイントに薬草採取の場を移していた。優斗はシャルルを転移で送った場所に転移で来てマップでシャルルを探す。すぐにシャルルのしるしがマップ上で確認できたので彼女の下に向かう。


シャルルは昨日よりも森の奥に進んでいた。森の奥に進むほど薬草が多く取れるようだ。一生懸命に薬草を探しているシャルルに近寄ると彼女の声を掛ける。


「シャルルさん。迎えに来ましたよ」


優斗の声を聞きシャルルが振り返る。シャルルは優斗の声を聞いて嬉しそうに走り寄ってくる。


「今日はどうだったの? レベル上げできた?」


1週間でシャルルは大分砕けた喋り方に変わっていた。村で村長夫婦くらいしか気の許せる相手しかいないシャルルだが優斗に少しずつ心を開いていた。


近頃は優斗がものすごい勢いでレベルを上げていることにシャルルは驚いている。でもそのおかげでいろいろな魔物の肉が食べられるようになって喜んでいる。シャルルだけじゃなく普段からシャルルに良くしてもらっている人はその恩恵にあずかっているのでシャルルの隣近所の優斗の評判は良い。


そのかわり、シャルルのことを悪く言っていた人達が自分たちにも肉をよこせとシャルルに詰め寄ることがあるそうだ。暴力を振るわれそうになったときもあったらしいが自動防御が働いて怪我は無かった。


「今日は7もレベルが上がったんですよ。良いペースでレベル上げができていると思います」


普通は一日で7つもレベルは上がらない。優斗はそのことを知らない。シャルルはいつもレベルが直ぐに上がる優斗のことを不思議に思っていた。


優斗はシャルルが年上なので敬語を使っている。だが、初めて出会った頃より優斗の顔はほころんでいる。優斗もシャルルにだんだんと気を許している。シャルルは今では敬語を使わないで自然に話し掛けるようになっている。


「優斗、何度も言っているけど1日で7つもレベルを上げられる人なんていないわよ。私でも1週間もかかったんだからね」


シャルルも格上のゴブリンを狩っているので普通の人よりも早くレベルが上がっている。それでも1週間で7しか上がっていない。シャルルからしたら優斗のレベルの上がり方は異常だった。このようなレベルの上がり方をするのは物語に出てくるような勇者ぐらいだとシャルルは思っていた。


(優斗が勇者? まさか……)


シャルルは思わずそう思った。そんなことをシャルルが考えているなんて優斗は思いもしない。ただ優斗はこの世界のことを叡智を通して知っているので自分が超人的なレベルの上がり方をしていることは知っていた。でもそのことをシャルルに隠すということに考えが至っていなかった。それくらいレベルが上がることが嬉しかったのだ。


「えへへ、頑張ったからですよ。今日はキングミノタウロスの肉が手に入ったんです。ミノタウルスよりも美味しいらしいから晩御飯で食べましょう。ステーキが良いと思います。村長さんたちにも分けてあげましょう」


シャルルはキングミノタウロスなんて魔物の名前を聞いたことがない。キングミノタウロスはそれくらい珍しい魔物だ。キングとつくくらいだからこの前食べたミノタウロスより美味しい肉だろうとシャルル思った。シャルルにしたらそれくらいの認識だ。


「村長さんたちもまた喜んでくれると思うよ。この前のミノタウロスやキングオークの時もかなりよろこんでいたものね。私も食べるのが楽しみ。今日はステーキできまりだね。付け合わせはフライドポテトに人参グラッセ、ほうれん草とスイートコーンの炒め物で良いよね」


シャルルは前に魔法で優斗から教えてもらった地球料理のレシピからステーキの付け合わせを選ぶ。シャルルに優斗は地球の料理のレシピを全て記憶させた。今では和食に洋食、中華に韓国料理やベトナム料理なども作れるようになっている。


「はい。その付け合わせで良いです。今日は赤ワインでも出しますか? シャルルさんは酒が好きですよね。前も日本酒を美味しそうに飲んでいましたもんね?」


シャルルはお酒の話を聞いて嬉しそうにする。優斗の出す飲み物やお酒はどれも美味しいと彼女は思っていた。まだ赤ワインは飲んだことがなかった。


「うん。お酒は好きだよ。赤ワインは初めてだね。楽しみにしているね」


シャルルは優斗が来てから毎晩優斗が出す酒を呑むようになった。お気に入りは冷えたビールだ。つまみに焼き鳥や枝豆にポテトチップスなどを等価交換で買ってあげるととても喜ぶ。


「楽しみにしていてください。そろそろ帰りましょう」


「うん」


優斗達はシャルルが村長に非常にお世話になっているので狩ってきた魔物の肉を毎日分けるようにしていた。シャルルの薬草の納品と合わせて肉も渡している。今日も優斗は転移でシャルルと一緒に村長宅の前に飛ぶ。

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