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123 シャルル初めてのお好み焼き

カラオケボックスを出て美香たちは店の前であつまる。


「ねえ、美香。カラオケボックスではろくに話も出来なかったから、これから何処か行かない?」


樹の提案に美香は同意する。まえにシャルルがお好み焼を食べたいと言っていたことを思い出した。


「それなら千歳にいかない? シャルル姉はアメリカから来たでしょ。前にお好み焼きが食べたいって行っていたんだよね」


「そうだったわね。確かに私はお好み焼きが食べてみたいわ」


「それなら決まりだね。これから千歳に行こうか」


「私もそれで良いよ」


「じゃあ、私も行くよ」


美香の提案に樹が同意し、香織と昴がそれに続く。5人はシャルルにお好み焼きを食べてもらうためにお好み焼き屋の千歳に向かった。千歳は大宮駅近くにあり女子高生に人気があるお店だ。


千歳に着くと6人が座れる座敷の席に5人は陣取る。そして美香たちはお好み焼きと飲み物をみんなが注文した。すると直ぐにシャルルへの質問攻めが始まった。


「シャルルはアメリカに恋人はいなかったの?」


昴は早速一番気になっていたことをシャルルに質問してきた。いまここにいるシャルル以外の者に恋人もちは一人もいない。昴は女子から見ても奇麗なので恋人の一人くらいはいると思っていた。


「恋人はいなかったわ。それに好きな人もいないわよ」


「こんなに綺麗なのに信じられない。でも告白とかは受けたことがあるでしょ」


樹もシャルルの恋愛事情に興味があるようだ。


「告白も受けたことが無いわね。私はそういうことに関心が無かったっていうこともあったし、孤児だったこともあって恋人を作るような余裕が無かったのよ」


「そうなんだ、でもこんなに綺麗なのに男の子から告白も受けたことが無いなんて信じられないな」


樹と昴だけじゃなく香織もこういう話題に興味があるようだった。女の子が5人も集まれば恋バナの一つくらいは話題に上る。


「そんなことより、樹たちはどうなの? みんな可愛い顔をしているんだからモテるでしょ。告白を受けたことはないの?」


樹たちは学年でもカースト上位にいる。全員が可愛い顔をしている。男の子なら彼女たちを放ってはおかないだろう。


「一応、告白は受けたことはあるよ。だけど、一度も話したことが無い人だったから付き合う事にはならなかったよ」


「私も昴と同じで告白は何度か受けたことがあるけど全く知らない人に告白されても困るだけなんだよね。だからみんな振ってしまったんだよ」


「香織と樹は告白を受けたことがあるみたいだけど私は告白を受けたことが無いよ。私はモテないから」


そういう昴。しかしシャルルから見て昴も可愛く見える。昴は確かに可愛い。でも学校では真面目な生徒と思われていてだれも昴に告白するような男子はいなかった。


「みんなのことは分かったわ。それなら美香はどうなの? これだけ綺麗なんだから男子と付き合う機会なんていくらでもあったでしょ」


シャルルのいうことは最もだとここにいる全員が思っていることだった。美香が中学に入学した時は美少女が学校に入学してきたと男子生徒たちの噂になったぐらいだ。その時のことを樹と昴に香織は思い出していた。


美香は思いもしないところで自分に話が振られて戸惑いを見せる。


「美香は今のところ男の子に何か興味はないよ。それよりもこうやってみんなと遊んでいる方が楽しいよ」


美香は本当に男子に興味が無かった。今のところはどの男の子とも友達として接している。特定の男性に好意を寄せることはなかった。別に男性が苦手と言う事ではない。美香のおめがねに叶うような男性がいなかっただけだ。


「そういわれると嬉しくなるよ。美香はモテるからえり好みしているのかと思っていたよ。立花君なんて美香にはお似合いだと思っていたんだけどな」


「昴は私と立花君がそういう風に見えているの?」


立花という男子生徒は美香たちの同級生で頭がよくスポーツも出来てそのうえイケメンで女生徒に人気がある。そして誰が見ても分かる様に美香にアプローチしていた。


だから、美香がその気なら今すぐにでもみんなの憧れの的である立花君と付き合うことが出来ると昴は思っていた。そのことは樹も香織も同様に思っていた。


「立花君カッコいいとはおもうけど、そのていどにしか思っていないよ。私は当分は誰かと付き合うなんて考えられないよ」


「立花君ていうのはそんなにカッコいいの?」


シャルルはみんながカッコいいという立花に興味をしめした。そしてそういう男性に美香が興味を示さないのか関心があった。美香はシャルルから見ても非の打ち所がない美少女だ。


そういう美香に彼氏がいないことを疑問に思っていた。シャルルの住んでいたリアースでは15歳は大人として扱われていてトカ村では結婚する者がほとんどだった。


18歳を過ぎれば行き遅れと言われるような所で暮らしていたシャルルからすると15歳で美少女の美香に彼氏がいないことが不思議に思えたのだ。一応、優斗から覚えさせられた地球の知識で今の日本の結婚適齢期が24、5歳だと言う事は理解している。


「それはもううちの学校の女生徒にとって憧れの存在なんだよ。大多数の女子生徒が彼と付き合いたいと思っていると思うな。シャルルも立花君にあえば分かると思うよ」


樹の答えに昴と香織は頷いて同意を示す。美香だけは我関せずというような顔をしていた。


「昴たちがそう思っていても私がそうは思っていないんだからしょうがないじゃない。それに立花君には悪いけどあからさまにアプローチをしているところが気に入らないのよね。もっと気持ちを抑えて自分の気持ちが相手に分からない様に接して欲しいと美香は思っているんだよ。あんなにはっきりと態度で示されたらどういう風に対処していいか困るんだよね」

「まあ、美香が言っていることにも一理あると思うな。昴が言うように立花君は素敵な男性だけど美香を困らせている時点でダメだと思うな。そう思うでしょ樹」


「香織の言うとおりだと思うよ。好きな人に気を配れない様な人はだめだと思うな。美香が困っているのなら立花君の恋は実らないね」


香織と樹は報われない恋をしている立花に同情した。あれほど女子生徒に人気があるのになーと可哀想に思えた。


「そうなんだ、恋って難しいわね。そういう風に態度で示してくれる方が良いという女性もいると思うんだけどな。まあ、美香にその気が無いならその彼には諦めてもらうしかないわね」


「シャルルの言うとおりだよ。立花君と美香は円が無かったってことだね。そういうことだから学校で立花君と美香のへんな噂が立たない様にしてよね」


「分かったよ。美香がそう言うなら変な噂が立たない様に気を付けておくようにするよ」


香織は直ぐに美香の言う事に従った。美香は学校でもいろいろな男子生徒と噂が立つ。少し話をしただけでそういう話の的にされることがある。だから立花のことも学校では噂になっていた。


5人が恋バナをしている間にお好み焼きが料理していない状態で届いた。この店ではお好み焼きをテーブルに備え付けられている鉄板を使って自分で料理するのシステムなのだ。


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