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117 シャルルの日本での初めての朝

リアースから帰って来た次の日の朝、優斗は日の出とともに目が覚めた。視界の隅に表示されている現地時間では午前4時34分だった。優斗は眠たい目をこすりベッドから起き上がる。


そして、洗面所に行き顔を洗いキッチンに向かう。優斗は食事を作ると和子と約束をしていたので亜空間倉庫(インベントリ)からソラから貰ったマジックバックを取り出す。


和子が毎朝日本食を作るので優斗も日本食を作ることにした。マジックバックの中からアジの開きを5人分取り出して焼いていく。次に卵を取り出してだし巻き卵を作る。


そして具だくさんの味噌汁にダイコンにきゅうりの浅漬けも作る。お米もダンジョン産の高級ブランド米を使いスイハンジャーで炊く。料理を作り終えてもみんなが起きてくるまでまだ時間があったので果物をマジックバックから取り出し。


ダンジョン産のヨーグルトとまぜてデザートを作った。視界の隅にある現地時間を示す時計は午前7時12分になっていた。優斗はど土曜日で両親とも仕事が休みの日なので午前9時ごろ起こそうと思った。


それまでの時間を有意義に過ごすために優斗はノートパソコンを部屋から持って来た。早速、証券取引所に上場している会社の株の値段が表示している画面を開く。


そしてスキル未来視で1カ月後、2カ月後というような感じで全ての銘柄の半年後までの値動きを把握する。東証プライムに上場している企業の全ての株の値動きを把握するのに2時間はかかった。


確認した結果、山下製薬の株価が今の213円から3カ月後に3,463円に急激に値上がりすることと、四菱自動車の株化が半年後に12,929円から19,746円にまで上がることと、三和商事の株価が5,487円から5カ月後に10,273円のまで値上がりすることが分かった。


優斗は、その結果を覚えておいて月曜日からこの三社の株式を出来る限り階上げていく構想を練り上げる。証券会社の口座はもう開いてあるので、ほどその口座に亜空間倉庫(インベントリ)のなかに眠っているお金から10億円ほどおかねを回そうと考えていた。


午前9時になったので優斗は家族とシャルルを起こしに行った。先ずは美香を起こしにいく。美香はドアをノックすると直ぐに起きて部屋から出てきた。


「おはよう、美香」


「おはよう、お兄ちゃん」


「シャルルさんを起こしに行くぞ」


「分かった」


優斗はシャルルが寝ている客間に美香と一緒に向かう。そして客間に着くとドアをノックする。シャルルはリアースでもこうやって優斗に毎日のように起こされていたのでドアのノックの音で直ぐに起きて出てきた。


「おはよう、シャルルさん」


「おはよう、シャルル姉」


「おはよう、優斗、美香」


「美香、シャルルさんについて行ってくれるか? 洗面所の場所とか教えておいて欲しい」


「分かったよ。お兄ちゃん。シャルル姉のことは、まかせてよ」


「頼んだぞ」


「シャルル姉、美香について来てよ」


「美香、案内宜しくね」


シャルルは美香の後を追って洗面所に向かった。そしてシャルルと美香が来るまでに優斗は時空魔法で8畳ほどのダイニングを20畳ぐらいに空間を拡張する。ダイニングを拡張してた後は四人がけのテーブルと椅子のセットを亜空間倉庫(インベントリ)にしまい、6人用のテーブルと新しい椅子を創造して配置した。


そのテーブルの上に出来上がった料理を並べていく。そうしている内に美香とシャルルがやって来た。


「美香、お父さんたち起こしてきてくれ」


「分かったよ」


「シャルルさんはここに座って待っていたらいいから」


「そうするわ。昨日は優斗の両親に挨拶もせずに泊めてもらったけど大丈夫なの?」


シャルルはまだあったことのない優斗の両親に気を使っていた。今までダンジョンの城に泊まった時以外にシャルルは他人の家に泊まるということをした経験がなかった。だからものすごく緊張していた。


「大丈夫だよ。両親とも人当たりは良いしシャルルさんをこの家に招くことは前もって話してあるから」


「それなら良いのだけれど、優斗と美香の両親に会うと思うと緊張するわね」


「そういうものなの? そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。安心して待っていたらいいから」


美香は両親を起こして直ぐにダイニングにやって来た。そしてしばらく待っていると修二と和子が洗面所からダイニングにやって来た。シャルルは二人が来るのを確認すると直ぐに席を立った。


修二と和子は見知らぬ美しい外人の様な少女がいることに直ぐに気付いた。そしてこの子が優斗が異世界で世話になっていた人だと見当をつける。


「優斗、お嬢さんに私たちを紹介してくれるか」


「分かったよ。こちらはシャルルさんだよ。俺が異世界にいるときにいろいろとお世話になった人だ。シャルルさん、こっちが俺の父親で名前は修二」


「修二と言います。シャルルさん、異世界からよく来てくれました。歓迎しますよ」


「歓迎してくださり、ありがとうございます。シャルルと言います。これから御厄介になります。宜しくお願いします」


シャルルは優斗の魔法で得た知識からお辞儀をすることを知っていたので主事に向かってお辞儀をした。


「こちらこそ宜しく」


修二もシャルルにならってお辞儀をする。


「シャルルさん、こっちが母親の和子」


「シャルルさん、うちの息子がお世話になりました。日本にいる間はこの家がシャルルさんの家だと思って過ごして欲しいわ」


「ありがとうございます。しばらく御厄介になります」


シャルルは和子にもお辞儀をする。和子もお辞儀をして返す。


「ええ、なにも遠慮することはないからね。なんでも相談してほしいわ」


「分かりました。困ったときは相談します」


「これで挨拶は済んだね。さあ、食事にしよう」


優斗がそう言うと修二たちはいつもと違うダイニングを見て困惑している。とりあえず何時も座っている方角の椅子に修二と和子は腰を下ろした。


「ダイニングがすごく広くなっているけど、これは優斗の仕業かな?」


修二はダイニングの異変には優斗が関わっていると思っていた。


「ごめん、6人用のテーブルを置くのに前の状態じゃあ狭かったから魔法でダイニングを広くしたんだよ。広々として良い感じになっているでしょ」


「まあ、前よりも大きなテーブルがあるのにゆとりがあるな。この魔法はこのままなのか?」


前のダイニングは四人掛けのテーブルを置くだけで狭く感じていたのに今は6人掛けのテーブルを置いてあるのにもかかわらずまだゆとりがある。修二は優斗の魔法がとても便利なものに思えた。


「俺が魔法を解くまでこのままだよ。さすがに新しい屋敷に引っ越しするときは元の状態に戻すけどね」


「お父さん、美香の部屋と客間も20畳くらいに魔法で広くしたんだよ。そしてお兄ちゃんのスキルで高級な大きなベッドも作って貰ったんだよ」


美香の言葉に和子が直ぐに反応する。和子は今の部屋でも十分だと思ってはいる。でも美香の言うように部屋が20畳くらいに広くなるなら自分たちの部屋も広くして欲しいと思った。


それに優斗がスキルで作ったというベッドも気になっていた。


「優斗、それは本当なの?」


「うん、本当だよ。俺の部屋も空間拡張して20畳くらいの部屋にしてあるよ」


「だったら、私たちの部屋も空間拡張して欲しいわ。それに高級ベッドもほしいのだけど」


「分かったよ。ご飯を食べた後に部屋に行って魔法をかけるよ。ベッドも特製の大きな奴を作ることにするよ」


「優斗、じゃあ、あとで頼むよ」


「食事の後に部屋は拡張することにするよ。それと、シャルルさんの日本での身分についての話なんだけど、九条家の養子ということにしたいんだ。大丈夫かな?」


「優斗、私はその話は初耳なんだけど」


シャルルはそう言い困惑の表情をする。優斗の申し出は有難いと思っていたが厚かましい話だとも思っていた。


「優斗、そんなことが出来るのか? シャルルさんは異世界人で国籍も持っていないだろ」


「そこらへんは今手を打ってあるから平気だと思うよ。父さんたちが承知してくれたらそれで話はうまくいくよ」


「そういうことなら俺は反対はしない」


「私も反対はしないわ。シャルルさんはそれで良いの?」


修二も和子もシャルルを養子にすることを賛成してくれた。後は、シャルルの気持ち次第だ。


シャルルは修二と和子に養子になることを認められたことだけで嬉しく思った。


「お二人さえよければ宜しくお願いします」


「シャルル姉が美香たちの家の養子になったら本当に義姉妹になれるんだね。美香は嬉しいよ」


「そうなったときは宜しくね、美香」


「うん、よろしく」


「さあ、ご飯が冷めてしまうよ。早くいただこう」


「「「「「「いただきます」」」」」」


こうして九条家の朝の食事は始まった。

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