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116 日本に行く前に②

セルゲイはみんなが食べ終わるのを見計らっているかのように絶妙なタイミングでやってくる。本当に執事の鏡の様な人だ。


「最期はデザート(デセール)でございます。今回はシャルルさんの為にケーキの三種盛り合わせでございます」


ミゲルもシャルルがケーキ好きなのを知っている。シュートケーキにモンブランにフルーツタルトが出てきた。普通のフランス料理でこんなにケーキを出す店はないだろう。シャルルは皿にのったケーキに目を奪われている。


美香もケーキには目が無い。特に料理Lv.10のミゲルが作るケーキは日本では食べられない逸品だ。美味しそうにケーキを頬張る。そして幸せそうな顔をする。人は美味しいものを食べたときに本当に嬉しそうな顔になる。


優斗もミゲルが作るデザートは好きだった。優斗は家族に無視されていたので誕生日以外でケーキを食べたことが無かった。友達もいないので喫茶店やファミレスといったところにも行ったことが無い。


リアースに来て毎日のようにケーキやデザートを食べることが出来て幸せだと思っていた。これからは家族とも仲良くなったのでレストランとかにも行けると嬉しく思っている。お金も時間も優斗達にはたっぷりとある。


優斗はこれからいろいろ計画を立てて遊びまくろうと考えていた。そして誕生日のことを思い出した時にふと祈里のことを思い出した。醜い姿で始めてあったのにも関わらず優斗とお付き合いしたいと言った祈里は優斗にとって特別な存在になりつつあった。


そして誕生日に遊びに行く約束のことを思い出して顔が赤くなるのを感じた。お友達からと自分から言っておいてなんだけど祈里は気になる女性になっていた。


三人は時間をかけてデザートを楽しんむ。シャルルは今日が最後とばかりに赤ワインを呑んでいる。美香も今日だけだからと言いお酒を呑んでいる。優斗もお付き合いでジュースの様な酒を呑んでいた。


「日本にいったらシャルルさんは何がしたい?」


「私は知識だけで日本を知っているからいろいろなところに行きたいわ。動物園とかテーマパークとかも行きたいし。服を買いに行くのを楽しみにしているわ」


シャルルはとにかく日本にいったらいろいろなことに挑戦しようと思っていた。優斗に会わずにトカ村に居続けていれば薬草採取の毎日だっただろうと思った。せっかくそう言う環境から脱却できたんだから楽しまないと損だと思った。


一応、優斗からは使うことが出来ないほどのお金を得ている。そのお金を全て使い倒すくらいの勢いで遊びまくる考えをしていた。


「シャルル姉がそうしたいなら美香が案内するよ。明日は日本は土曜日だから学校は休みだし、買い物に行こうよ」


「そうだな。俺も付き合うよ。シャルルさんの服とか日本で必要な物とか買いに行こうか?」


「美香はもう一度ラフォーレ原宿に行ってみたい。一度行ったことがあるからシャルル姉を案内できるし、沢山のお店があるから服を選ぶのが楽しいと思うよ」


「美香のお勧めのところに連れて行ってくれたらいいわ。日本には長いこといることになるんでしょ。いろいろなところを案内してよ」


優斗と美香はシャルルをどこに連れて行こうか考える。


「マウスランドに行くことは決まりだな。あとは動物園と水族館にも行ってみようか。リアースの生き物は魔物ばかりで可愛げが無いからな」


リアースにも動物はいる。しかし圧倒的に魔物の種類の方が多い。動物は魔物のいない草原や森の限られたところにしかいない。リアースでは魔物をペットとして売っているくらいだ。


「私は動物園や水族館にも行ってみたいわね。あと、マウスランドも楽しみにしているわ。京都とか奈良みたいな風情のある場所にも行ってみたいわ」


シャルルは日本に行くならそこに行くのでも楽しくなるだろうと思っていた。浅草や京都に東京タワーなどに行くのも楽しみにしている。


「それなら、美香が夏休みになったら行ってみるか?」


「美香も賛成。京都に行ってみたい。お寺とか回って恋が成就するようにお参りしたい」


「美香は好きな人がいるのか?」


美香の発言に優斗が慌てる。優斗は今まで酷い虐めにあってきたり人に見下されたりしてきたので女性に良い印象を持っていなかった。そのため恋なんていうものをしたことが無かった。美香に先を越されてしまったかと思った。


「お兄ちゃん、何を慌てているの?」


「あ、慌ててなんかいないぞ」


「あやしいなー。でも美香は好きな人はいないよ。よく告白されるけどなかなかいい男は現れないんだよね。シャルル姉はどうなの?」


シャルルは村で醜いと馬鹿にされていたので恋なんてしたことが無い。だが美香にそう問われてふと優斗の顔が頭に浮かぶ。『優斗は10歳も年下だよ。義弟だぞ』と自分い言い聞かせる。


「私は恋なんてしたことはないわね。でもこれから素敵な人に出会えると良いなと思っているわ」


「美香はシャルル姉を応援するね」


三人は時間が過ぎるのも忘れて話に夢中になる。そして時間は夜の11時を回っていた。


「そろそろお開きにしよう。これから日本に行くけど準備は大丈夫か?」


「美香は問題ないよ」


「私も問題ないわ」


「それじゃあ、日本に行くぞ。セルゲイ、ハル。世話になったな。ありがとう」


「優斗様のお世話をするのが我々の務めです。礼など必要ありません」


「私もお礼など必要ありません」


「俺たちは日本にいく。あとは頼むぞ」


「「はい」」


シャルルと美香もナツとアキに別れを告げている。優斗は異世界へのドアをニーベルリングから外に出す。禍々しいドアが食堂に現れた。シャルルは初めて見るドアの禍々しさに恐れを抱く。


「このドア、本当に大丈夫なの?」


「シャルル姉、美香も初めて見たときは驚いたけどただのドアと変わらないよ」


「ならいいわ」


優斗がドアを開けて三人は優斗の部家に移動した。


「シャルルさん。日本の家は土足禁止だから靴を脱いで」


「分かったわ」


シャルルは靴を脱いで亜空間倉庫(インベントリ)に仕舞う。


「シャルルさんは客間を使ってもらうよ。案内するから付いて来て」


優斗と美香はシャルルを客間に案内しながらトイレの位置も教えておく。そして客間に着いた。客間は和室になっている。シャルルに和室は合わないと思い優斗は創造で内装を変えて洋風にした。そして高級なダブルベッドと布団を作り出した。


次に時空魔法で客間の広さを20畳ほどに広くした。もう元の客間の雰囲気は微塵もない。


「シャルルさん。明日、両親に紹介するから今日はここで眠ってね」


「ありがとう、優斗」


「シャルルさん、おやすみなさい」


「シャルル姉、おやすみなさい」


「優斗、美香。おやすみなさい」


優斗と美香は自分たちの部屋に戻る。美香は優斗の手を引いて美香の部屋に招いた。


「お兄ちゃん、美香のベッドも大きいのにしてよ」


「分かったよ」


美香は今まで使っていたベッドを亜空間倉庫(インベントリ)に仕舞う。その後に優斗が高級感のあるダブルベッドと布団を作り出した。部屋の拡張は美香が時空魔法で行った。



「ありがとう。お兄ちゃん」


「いいよ、これくらい。美香、おやすみ」


「お兄ちゃん、おやすみなさい」


優斗は美香の部屋を出て自分の部屋に戻り自分の部屋のベッドも高級品のダブルベッドにして部屋が狭くなったので時空魔法で20畳くらいまで広げた。そしてベッドにもぐりこんでいつものようにタブレット端末でラノベの続きを読んで過ごした。


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