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109 シャルルと美香のダンジョン攻略パーティー①

優斗たちは何時ものように食堂に転移してきた。食堂ではソラとメイドに執事たちが待ち構えていた。


「「「「「「ダンジョン攻略、おめでとうございます」」」」」


「ありがとう。どうにかダンジョンを攻略で来たわ」


「みんなありがとう。シャルル姉とお兄ちゃんがいたから安心して攻略できたよ」


「今日はダンジョン攻略を記念してささやかながらパーティーひらきたいと思っております。優斗様の許可は得ていますので先にお風呂に入って後にいつもの時間に広い食堂の方にいらしてください」


セルゲイの説明でシャルルと美香は嬉しそうな顔をする。城で行われるパーティがどのようなものになるかシャルルと美香には関心があった。


「どんなパーティーをしてくれるか楽しみだわ」


「美香も楽しみにしているよ」


「さあ、早く風呂に入りに行こう。それから8時にいつもの食堂じゃなく広い方の食堂に集合だからな」


「分かったわ」


「了解」


シャルルと美香はメイドのナツとアキに連れられて自分の部屋に戻っていった。優斗もハルを連れて自分の部屋に戻っていく。それからセルゲイたちはダンジョン攻略のお祝いのパーティーの支度で忙しく動き出した。



◇◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



美香はシャルルの部屋を訪れていた。そこでシャルルに化粧のアドバイスをしている。


「シャルル姉、今日は目元をもっとパッチリとした感じにしようよ」


「私はナチュラルな感じに仕上げたいと思ったんだけどな」


「今日はダンジョンを攻略したパーティーをするんだよ。いつもよりキッチリ決めて行かないといけないと思うよ」


美香は何時もより派手目な化粧をしている。服も部屋着じゃなくてお出かけ用の服を着ている。気合が入っているようだ。美香はシャルルにも同じように気合を入れるように言ってくる。


しかし、シャルルはウクライーナ王国の村の出でパーティーなんて参加したことが無い。地球の知識でパーティーがどのようなことなのかは知っているが。おめかしをした経験が無いので美香のように派手に化粧をすることに抵抗だあった。


美香はそんなシャルルの抵抗をどうにかやめるように言い化粧を施していく。いつもより化粧が濃いが見栄えはそれなりに良く仕上がっている。美香はシャルルの姿を見て納得した表情をする。


「これで完璧だよ。お兄ちゃんも驚くと思うよ」


「それならいいんだけど……」


シャルルの準備が整った。シャルルは前回化粧をして優斗の前に出た日の様に優斗がシャルルに見とれることを願って大食堂に向かう。美香はシャルルを見て優斗がどういう反応をするか楽しみで大食堂に向かった。



◇◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



優斗は大食堂に先についていた。セルゲイから今日はコース料理ではなくビュッフェスタイルの食事にしたいと言う提案があった。優斗はセルゲイの提案に許可を出した。そのため食堂の壁際には三人では食べきれないほどの料理が並んでいる。


優斗が席に着いてしばらく待っているとシャルルと美香がやってきた。美香はいつもの様な部屋着ではなく余所行きの服を着ている。モデルのような美香が着るとどのような服も似合って見える。


シャルルは優斗があげた服を着ている。化粧がいつもより派手に感じられるが見た目が綺麗なシャルルにはそれくらいの化粧の方が見栄えが良いと優斗は感じた。そして、そんな綺麗なシャルルを見てドキドキとした感覚を味わう。


「しゃ、シャルルさん。今日はとても綺麗だね。一段とシャルルさんの美しさが際立っているよ」


「ありがとう、優斗。でも、あまり見られると恥ずかしいわ」


「そう言わないでよ。シャルル姉。今のシャルル姉をみたら目が離せなくなるんだよ」


美香の言葉にシャルルは恥ずかしそうにモジモジとする。優斗は自分がシャルルに見とれていることに気づいて恥ずかしい思いをした。


優斗はシャルルのあまりにも美しい姿に見惚れてしばらく見つめてしまうほどだった。あまりにもシャルルが化粧で印象が変わって見えたから、つい優斗はシャルルに目が行ってしまうのだ。


「美香も今日は気合が入っているね。良く似合っていて綺麗だよ」


「ありがとう、お兄ちゃん。美香はパーティーって聞いて張り切っちゃったよ」


シャルルも美香もいつもとは違い壁に並んでいる数々の料理を見て驚く。二人が驚くくらいの様々な料理が並んでいた。


「今日はビュッフェ形式だから自分が食べたい料理を取ってきて食べるんだよ」


シャルルは地球の知識からビュッフェスタイルの食事のことは知っている。そして三人では食べられないくらいの料理が壁際に並んでいるのを見てシャルルは暗い顔をする。


「この食堂にある食べ物は食べ放題なんだね」


シャルルは優斗が来る前は村で一番の貧乏人だった。食べ物は村長のダンテスに分けてもらいやっと食べて行ける程度の毎日を過ごしてきた。そして着る物も村の誰かのお下がりをアンナが直してくれたものを大事に着ていた。


優斗に出会ってからは毎日美味しい料理が食べられるし綺麗な服まで貰えた。とても感謝している。トカ村では不作の時以外は食べ物に困るようなことはなかったが隣のバネット公爵領の人々はいつでも食べる物が無くて困っているという話を聞いている。


そんな人たちがいるのに三人で食べることが出来ない量の食べ物がある大食堂を見ているとなんだか罪悪感が湧いてくる。シャルルは何とも言えない気持ちになっていた。


前にも同じような気持ちになったことがあったが今回は有り余る量の料理を見て前以上に悲しい気持ちになった。優斗と美香はそんなシャルルの気持ちを知らない。日本では普通に食べ放題のお店があるからだ。シャルルが急に落ち込んだのを見て優斗は首を傾げる。


「シャルルさん、どうしたの? 具合でも悪いの?」


「シャルル姉、大丈夫?」


シャルルは優斗と美香に声をかけられてはっとする。


(今日はダンジョンを攻略したパーティーなんだったわ。こんな顔をしていいてはいけない……)


シャルルはそう思い今感じている感情を頭を振って振り払う。そして考えていたことを忘れるようにして笑顔で優斗と美香に話し掛けるようにする。


「もう、大丈夫よ。さあ、沢山食べましょう」


「シャルル姉が大丈夫ならそれでいいか、沢山食べようよ」


「好きなものを選んで皿にのせてテーブルで食べるようにしよう」


料理の側には取り皿が用意されている。その皿に料理をのせていく。シャルルは嫌な気分を振り払いパーティーを楽しむことにした。そして、大好きなケーキを中心に食べ物を取っていく。


美香は肉に飽きているからか春巻きや鮑に握り寿司などを取っていく。優斗は料理にこだわらずにまんべんなく少量ずつ更にのせて自分の席に着く。

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