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010 シャルルの家①

シャルルの家に着くまでの間に村人たちがシャルルのことを悪く言っている言葉が聞こえてくる。シャルルはその言葉に耳を傾けている様子はない。それが日常的に行われている証拠だ。


優斗は村人たちを殴り飛ばしたい気持ちにかられるが、何を言われても動じないシャルルの前でそういう行いをするのは間違っていると思い我慢する。


シャルルと一緒に暫く村の中を歩いているとシャルルが一軒の家を指さした。


「ほら、見えてきました。あれが私の家です」


シャルルは少し離れている家を指さした。シャルルが指さした家は他の家に比べてこじんまりした家だった。他のどの家よりもみすぼらしく見えた。


「さあ入ってください」


「お邪魔します」


家の中に入るとテーブルと椅子が二つあり近くにかまどがある。かまどの側には水瓶がある。そこは台所のようだ。料理ができるようになっている。そして部屋が一つある。そこは寝室になっているのだろう。


シャルルは一人暮らしなのか。家族と一緒に住めるような広さはない。優斗はそう思ったがシャルルに聞くのをやめた。なにか理由があって一人暮らしをしていると感じたからだ。


シャルルは自分の家が他の家よりもみすぼらしいことを理解している。そのため優斗に申し訳なさそうな顔をする。


「狭苦しくみすぼらしい家ですが椅子に座って待っていてください」


「そんなことはないですよ。素敵な家です。気にしないでください」


「有難うございます。そう言っていただけると助かります」


シャルルは優斗の優しい言葉に安堵した。家まで案内してきたがみすぼらしい家を見て優斗ががっかりしないか心配だったのだ。


「今から食事を作ります」


「ならこれを使ってください」


優斗は亜空間倉庫(インベントリ)からオークの肉を取り出した。オークの肉は森で倒したオークを亜空間倉庫(インベントリ)の中で解体した肉の塊だ。亜空間倉庫(インベントリ)にはまだ沢山のオークの肉が入っている。


一つのオーク肉の塊でもかなりの量がある。シャルルは何もないところからオークの肉が出てきたのを見て目を丸くして驚いた。


「どこから出したんですか?」


「あー。驚かせてすみません。これは俺のスキルで亜空間倉庫(インベントリ)と言うんです。そこからオークの肉を取り出したんですよ」


シャルルはこの肉がオークの肉だと聞いて驚く。この村ではガンズがオークを狩ることができるが、ガンズの仕事は主に門番なのでオークの肉を狩ってくることはめったになかったからだ。


それだけオークの肉はこの村では貴重なものだった。そんな肉を差し出す優斗のことをシャルルは何者なんだろうと想像する。しかし優斗が何者であろうともシャルルを助けてくれたことに違いはないと思った。


それよりも亜空間倉庫(インベントリ)を人前で使うことが気になった。貴重な亜空間倉庫(インベントリ)というスキルを持っている者たちは誰にも告げずに隠すものだからだ。


「そんな貴重なスキルを持っているのを見られると貴族や悪辣な奴隷商に目を付けられますよ。使うときは気を付けたほうが良いと思います」


「分かりました。忠告有難うございます。以後気を付けますね」


シャルルは優斗が余裕な表情をしているので気を付けないのではないかと心配になった、念のためにもう一度念を押すことにした。


「本当に気を付けてくださいね」


「気をつけますよ」


「お肉は頂きます。でも私たちだけで食べるには量が多いので切り分けて近所で野菜と交換してきますね。椅子に座って少し待っていてください」


シャルルはそう言い台所に行くと包丁でオーク肉をカットしていくつかに分けてそれを持って家の外に出ていった。30分ほどして沢山の野菜を持って帰ってきた。


オークの肉は貴重なので近所の人たちは多くの野菜と交換してくれたようだ。シャルルは嬉しそうな良い顔をしている。近所の人たちも久しぶりのオークの肉を喜んでくれたようでシャルルは機嫌は良い。


「オークの肉はみんなに喜んでもらいました。こんなに野菜を貰えてよかったです」


シャルルは嬉しそうにそう語る。


「オークの肉ならまだありますよ。また分けますね」


「有難うございます。嬉しいです。近所の人たちも喜ぶと思います。お待たせしました。今から食事を作ります。もう少し待っていてください」


「はい。待っていますのでゆっくりでいいですよ」


シャルルは土間にある竈に向かう。優斗がいる位置からシャルルが料理している様子は見えている。優斗がいる部屋の側に竈があるような作りになっている。とても質素な家だ。


シャルルが食事を作っている間に優斗はゴッドスキルの等価交換を使ってみることにした。等価交換は持っている物と同じ価値分だけ他の物やお金と等価交換できるスキルだ。


優斗はシャルルの家を出て亜空間倉庫(インベントリ)からウィンドウルフの死体を取り出して等価交換のスキルを使用した。


ウィンドウには

1,お金に交換しますか?

2,ポイントに交換しますか?

3,商品に交換しますか?

という文字が書かれていた。


優斗はお金に交換しますを選んだ。


次に

1,セルシオン大陸通貨セルに換金しますか?

2,日本円に換金しますか?

という文字が出た。


優斗は日本円を選んだ。


次に等価交換で4万7千円になります。等価交換いたしますか?という文字が出て

1,はい

2,いいえ

と選択する文字が続いていた。


優斗が「はい」を選択すると。目の前の前に4万7千円が出てきた。叡智で使い方は知っていたが実際にお金が出てきて優斗は少し驚いた。そしてお金を亜空間倉庫(インベントリ)に仕舞う。


次にオーク1体を亜空間倉庫(インベントリ)中に仕舞った状態で同じような順序で今度はセルシオン大陸通貨セルに交換した。オークは7万4千(セル)になった。銀板7枚と銀貨4枚が亜空間倉庫(インベントリ)の中で増えた。


亜空間倉庫(インベントリ)の中でも等価交換のスキルは有効のようだ。嬉しい発見だった。


叡智で知った知識ではお金の価値は


鉄貨・・・・・・・・・1(セル)

銅貨・・・・・・・・10(セル)

銅板・・・・・・・100(セル)

銀貨・・・・・・1,000(セル)

銀板・・・・・10,000(セル)

金貨・・・・100,000(セル)

金板・・・1,000,000(セル)


となっていた。1(セル)が1円と思えばいいと叡智が教えてくれた。1(セル)を等価交換で1円と交換できると叡智が教えてくれた。


優斗はウィンドウルフの死体とオークの死体とゴブリンの死体を等価交換して284万(セル)と36,000ポイントに等価交換した。


優斗はスキル創造で食べ物も想像できる。しかし叡智からの助言でスキル創造で作った食べ物よりも等価交換で買った食べ物のほうが美味しいということを知った。


そしてポイントを使ってショートケーキやモンブランにフルーツタルトを各二つとオレンジジュースとマグカップ二つに等価交換した。


そしてシャルルが食事を準備できるまで待っていた。シャルルが料理している方から美味しそうな匂いがしてくる。優斗はお腹がすいていることをここにきて実感した。そしてリュックに入っていたパンを思い出した。


丁度二つあったのでパンもテーブルの上にリュックから取り出す。リュックが邪魔なので亜空間倉庫(インベントリ)に仕舞う。

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