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106 シャルルと美香のレベル上げ14

優斗はシャルルと美香のミノタウルスジェネラルとの戦いを見て興奮していた。格上の相手に一撃も食らわないで二人が勝つことが出来たからだ。


「優斗、どうだったかな。うまく倒すことが出来たと思うけど……」


「シャルルさん、見事なものだったよ。俺が格上の魔物と戦った時は何度か攻撃を受けたからね。シャルルさんとミノタウルスジェネラルとの戦いは凄い攻防だったと思うよ。見ごたえがあったよ」


優斗は素直にシャルルを褒めた。そしてスキル空間把握の重要性を改めて理解した。ついでにスキル直感と危険察知も必要ではないかと思いシャルルと美香がミノタウルスジェネラルと戦っている間にスキルを創造していた。


「シャルルさんの戦い方を見ていて新しいスキルを思いついたからそれを上げるね」


「貰えるなら頂くわ」


二つのスキルをシャルルに与える。そこに、美香がミノタウルスジェネラルを倒してやって来た。美香も優斗に褒めてもらいたいのだろうその顔は笑顔になっていた。そして優斗のところに来て頭を出してくる。


優斗は美香の頭を直ぐに撫でて彼女を褒めた。


「美香の戦い方はかっこよかったぞ。上手く神剣術を使いこなしているな」


「ありがとう、お兄ちゃん。もう神剣術の使い方は覚えたよ。格上の相手だったからなかなかうまくいかなかったけど。格下の相手だったらもう苦戦はしないと思うよ」


美香の顔からは自信がうかがえた。優斗も美香の言っていることは当然だと思っている。二人が格下の相手に負けることなんてありえないと思っている。そして美香にも新しく作ったスキルを与えた。


「今回のことで分かったと思うけどダンジョンの中ではいつ強い敵が現れるか分からない。これからは注意して進もう」


「私もこんなところでミノタウルスジェネラルに出会うなんて思ってもいなかったわ」


「美香もアサシンリザードより少し強いだけの魔物が出てくると思っていたよ。ミノタウルスジェネラルと戦っただけでレベルが5も上がったよ」


通常、ダンジョンでは特定の魔物がレベルごとに配置されているので急に強い魔物が現れると言う事はない。しかし、ハグレと呼ばれる魔物はダンジョン内を自由に行動している。そういうハグレに出会うと普通の冒険者たちは命を落とすことになる。


シャルルと美香は自動防御の腕輪をしているので優斗は二人の戦いを安心して見ていられた。二人も空間把握や未来視のスキルをうまく利用してミノタウルスジェネラルの攻撃をその身に受けることはなかった。


最期は転移まで使ってミノタウルスジェネラルに狩ってしまった。二人は様々なスキルを利用して強くなっていく。その二人を見て優斗は嬉しく思った。


「さあ、次の魔物を狩りに行くぞ」


「そいね、行きましょう」


「800m東に魔物発見。そこに行こうよ」


三人は魔物の反応している方向に進む。200mまで近づいて魔物を確認すると魔物はレベル67のオーガが10匹いた。オーガを見たシャルルの雰囲気が変わる。


優斗はシャルルの両親がオーガに殺されたと言う事を知っている。そんなシャルルがオーガを見て平常心でいられるわけが無いと思った。


優斗がそう思った時にシャルルが消えた。そしてオーガのいる方向にシャルルの反応がマップ上に映った。シャルルは転移を使ってオーガの群れの真ん中に飛んだのだ。


「美香、シャルルさんが独断先行してオーガの群れに突っ込んだ。俺たちも追いかけるぞ」


「分かったよ。でもどうしてシャルル姉は勝手にオーガに突っ込んでいったの?」


優斗はシャルルのことを美香に話していいか気にしたが話しておくことにした。それだけシャルルの行動が異常だったからだ。優斗たちに一言もなしに魔物に突っ込んでいくなんてありえなかった。


「シャルルさんの両親はオーガに殺されたんだよ。シャルルさんはその復讐をしようと思っているんじゃないかな?」


「そうなんだね。シャルル姉の気持ちは分かるよ。今回はシャルル姉に任せておいた方が良いんじゃないかな?」


美香はシャルルの気持ちを理解してオーガの始末をシャルルに任せた方が良いんじゃないかと提案してくる。優斗はそれでも良いと思っていたが、オーガを確認した途端に急変したシャルルを見て彼女が大丈夫かが心配だった。


「それでもいいけど、シャルルさんが心配だ。早く行こう」


「そうだね。美香も心配だよ。早く行ってみよう」


美香と優斗もオーガとシャルルがいるところに転移した。そこではシャルルがすでにオーガと戦っていた。シャルルはオーガを一思いに殺すのではなく手足を一本ずつ斬り飛ばしていく。シャルルの強さにオーガはついていけない。


それでも魔物の本能でシャルルに襲い掛かる。シャルルはオーガの振り下ろす棍棒を避けてその腕を剣で切り飛ばす。その後に足を斬り飛ばしていく。オーガが苦しむように留目は刺さない。


そんなシャルルの行動を美香と優斗は黙って見ていた。シャルルは二人に気づいていないようでオーガだけを見ている。そしてあっという間にオーガを全滅させた。オーガは四肢を失いながら地面に転がっていてまだ生きている。


「シャルルさん、気は済んだ?」


「……」


「シャルル姉」


美香はシャルルの名前を呼んで彼女に抱き着いた。そして背中をさする。


シャルルは美香に抱き着かれて正気に戻った。そして美香の頭を優しくなでる。


「シャルル姉、大丈夫?」


「ごめん、美香。もう大丈夫よ。心配かけたみたいね」


「ううんん、それなら良いの。シャルル姉の気持ちは分かるけど我を忘れるのはいけないと思うよ」


「本当にごめん。でもこれですっきりしたわ。次からは気を付けるようにするわ」


優斗はシャルルに笑顔が戻ったことにほっとした。でも、シャルルがあれほどまでにオーガのことを憎く思っていることに驚いた。ただ、自分も家族やシャルルさんに何かあれば手加減は出来ないだろうと考えた。日本では理性が働いてブラックゼレルのヤンキーたちを殺さなかった。


しかし、リアースは弱肉強食の世界だ。優斗はこの世界で何かあれば相手の命を奪う覚悟がある。もし美香とシャルルに危害を加えるような奴が現れたら優斗は容赦するつもりはなかった。


「シャルルさん、このエリアはオーガが多くいると思うけど大丈夫かな?」


「優斗、もう大丈夫よ。オーガを八つ裂きにして落ち着いたわ。勝手な行動をしてごめんなさい」


「それなら良いんだ。俺にシャルルさんを止める権限はないよ。ただ、何かするときは俺に相談してほしいな」


優斗はシャルルが無鉄砲に敵に突っ込んでいったことだけが心配だった。自動防御で体は守られているがシャルルの心までは守ることが出来ない。優斗はそのことが歯がゆかった。


「次からは優斗と美香に相談するわ」


「さあ、次の魔物を探しに行こう。次もオーガだと思うけどシャルルさんは冷静に行動してね」


「分かったわ」


それから優斗は地面に転がっているオーガに止めを刺していく。全て死んだのを確認して亜空間倉庫(インベントリ)に仕舞う。


それから陽が傾くまでオーガの群れと戦ったがシャルルが勝手な真似をすることはなかった。日が暮れる前にダンジョンの城に戻りいつものように食事をして三人は就寝した。その日の夜は美香はシャルルに抱き着いて眠った。


シャルルは美香の体の温かさに触れて嬉しさを感じて気持ちよく眠ることが出来た。

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