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099 シャルルと美香のレベル上げ⑦

三人は次の魔物を求めて森の中を歩いていく。さっき、ハイオークにあったことからここはハイオークのテリトリーだと思われた。美香は優斗に貰った剣を試しに振り回しながら歩いている。美香は弓を亜空間倉庫(インベントリ)にしまってあるのでシャルルと一緒に前衛として二人並んでいる。


「優斗、さっきの戦いで思ったんだけど多数と戦うときは後ろが気になるの。完全感知で後ろに敵がいることは把握できるけど、後ろの敵がどう動くか確認が出来ないから後ろの敵が気になって仕方がないの。後ろの敵の動きが分かるようなスキルはないの?」


シャルルは多数と戦うときの困難さに気が付いたようだ。前方は目で確認できるが後ろは未来視で見てから予測して避けると言うような方法を取っていた。


しかし未来視のスキルは使い勝手が悪い。高速思考と多重思考も使いながらではないと思考が追いつかないのだ。


それに、後ろから攻撃を身に受けた未来を見ることで攻撃に気づくので実際に攻撃を受けた感覚になることがシャルルは嫌だった。出来ることなら攻撃を受ける前に後ろの敵の動きを把握するようなスキルが欲しいと思った。


優斗もシャルルの言う事を聞いてそんなスキルがあると便利だなと思った。いくら強くなっても目の前の攻撃にしか対応できないのなら後ろから不意打ちされたら攻撃を受けてしまう。


優斗自身も後ろからの攻撃を何度か受けたことがあるのでシャルルの言っていることが理解できた。特に多数と戦闘をするときには、何度か攻撃を後ろや死角から受けたことある。そのことを優斗は思い出した。


その時は、自動防御が働いて攻撃を受けて怪我をすることは無かったが、攻撃を受けること自体が面白くないと優斗は思っていた。優斗は強くなったことで攻撃を受けることが嫌になっていた。


(これでは強くなったと言えないんじゃないのか?)と優斗はそう思った。


そして暫く考え込む。過去に読んだラノベやネット小説で良いスキルが無かったか思い出す。


「うーん、それなら良いスキルがあるよ」


優斗はシャルルの要望に応えられるスキルを思い出した。優斗の知識はラノベやネット小説から得たものが殆どだ。今回もラノベやネット小説で得た知識をもとに新しいスキルを創造しようと考えていた。


「そういうスキルがあるなら、美香も欲しい」


「分かった、ちょっと待っていてくれ」


優斗は過去にラノベかネット小説で読んだことがある空間把握というスキルを創造した。空間把握は25m以内の360度の空間にいる者の動きを把握するスキルだ。スキルを創造した後にシャルルと美香に与えていく。


「空間把握と言うスキルを二人に与えたよ。スキルを確認してみてくれ」


シャルルと美香は早速、スキルを使ってみる。すると後ろにいるはずの優斗の動きが手に取る様に分かった。


「これは良いスキルだわ。ありがとう優斗」


美香もこのスキルを凄いと思った。目で見えない範囲のものの動きやなにが近くに潜んでいるのか直ぐに分かる。これなら目を瞑っても周りのことが把握できると美香は思った。これは凄いスキルを貰ったと思った。


「ありがとう、お兄ちゃん」


美香は、早くスキルを使いたくてマップを確認する。700m先に8匹の魔物の反応を見つけた。そして過ぎにでも走り出しそうな勢いでいる。


「魔物がいたよ。早く行こうよ」


「美香、そんなに慌てないでよ。探せばいくらでも魔物はいるわ」


美香の慌て様に、シャルルと優斗はあきれ顔になる。でも、美香がはしゃいでいることは理解できる。早く新しく得た空間把握のスキルを使ってみたいのだろう。それにさっき剣で戦っていたシャルルのように美香も剣で敵の攻撃を躱しながら戦ってみたいのだろうと二人は思った。


魔物は人から逃げない。魔物の本能で人を襲う。どんなに自分より強い相手が敵でも魔物は人に向かって攻撃をしてくる。優斗はそのことを叡智から教えて貰っているので美香に魔物は逃げないことを教えた。


「そんなに慌てなくても魔物は逃げないよ。魔物は本能で人を襲う生き物なんだからな」


「え? そうなの。確かに今まで襲ってきた魔物は逃げなかったよね。美香たちが弱く見えるから逃げないものだと思っていたよ」


美香は昨日まで魔物と戦ったことがない。戦いに関してはずぶの素人だ。だから魔物は美香を恐れずに追いかけてくるものだと思っていた。


「魔物は人を襲うように出来ているんだ。特にダンジョン生まれの魔物にはその傾向が強い。だから慌てなくても良いんだよ」


「分かったよ。でも、早く戦いたいから急ごうよ」


シャルルと優斗は美香の気持ちが理解しているので彼女に合わせることにした。


「分かったわ。早く行きましょう」


「美香、行くぞ」


優斗に言われて我先にと美香が先頭を切って歩き出す。シャルルがその後ろに続く。優斗は隠密で気配を消して二人の後についていく。


魔物は予想通りハイオークだった。魔物まで50mを斬った時に美香は我慢できなくてハイオークに向かって走っていく。シャルルは美香を追う。優斗はなにも心配せずに二人を見守る。


「美香、半分は私の獲物だから殺さないでよ!」


「シャルル姉、分かっているよ」


ハイオークは20mくらいに美香が近づいてきたところで彼女に気が付いた。そして6匹のハイオークが美香に向かって走ってくる。直ぐに美香とハイオークの距離が縮まった。


美香は直ぐに攻撃を仕掛けない。さっきシャルルが戦ったようにハイオークの攻撃をスレスレで躱していく。ハイオークは攻撃が当たらないことに怒りをあらわにする。


「「「「「ブモー」」」」


雄叫びを上げて美香を威嚇する。そこにシャルルが美香に追いついた。ハイオークの三匹がシャルルの方に向かう。シャルルも直ぐに獲物に斬り掛からない。自分のスペックを確かめるようにハイオークの攻撃を躱していく。


今回シャルルは進んでハイオークに囲まれるようにハイオークたちの中心に立つ。背後から攻撃をしてくるハイオークの動きが手に取る様にシャルルには分かった。見てもいないのに背後からの攻撃を避けることが出来た。


美香もシャルルの戦い方を空間把握で把握していた。あえて美香もハイオークに囲まれてみる。そして後ろのハイオークの動きを空間把握で確認する。すると後ろに目がある様にハイオークの動きが分かった。


スキルの検証が終わったところで、シャルルはハイオークに攻撃を加え始める。あっという間に三匹のハイオークの首が飛んだ。


美香もスキルの把握がすんで満足したのだろう。ハイオークに攻撃を加える。スキル神剣術の技である三段突きをハイオークの首に放つ。首をつかれてハイオークは後方に倒れる。残り二匹のハイオークの首もあっという間に刎ね飛ばした。


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