真実を知る
高校生になった私は進路志望調査に「秋田大学」と書いて提出した。
1年、2年の時はそれで通したが、3年生になると担任教師に「お前の成績ならもっといい大学に行けるだろう」と指導を受けた。
これを聞いた秋田大学OBの父は「一理ある」と納得した。
母からも「家から通えるところに行ってほしいな」と言われた。「国公立で」という言葉を添えて。
結局私は志望を変更し、人並みに受験勉強をして、地元の、「もっといい」国立大学に合格した。
合格発表を見たその日に彼女にメールで報告すると「やっぱり頭がいいんだね、すごいや」と返信があった。
大学入学後、1年目の前期をぼちぼちの成績で終えて突入した夏休みを使って自動車教習所に通い、気に入らない指導員にイライラしながら卒業し、運転免許を取得した。
父の車を時々運転させてもらったりして、私は車に興味を持つようになった。私はそれまで知っている車種など父の乗る車一種くらいに疎かった。
テレビの車のCMを意識して見るようになったり、インターネットの自動車関連の記事を眺めたりするうちに、街を走る自動車の名前を言えるようになっていった。
また映画007シリーズでジェームズボンドがたびたび破壊するアストンマーティンを自分が運転する姿を妄想するのが楽しかった。
そんな中、私はとある車を知ることになる。それがフォルクスワーゲン社のビートルだ。その丸っこいフォルムが気に入った。
それと同時期にスティーブンキングのシャイニングを読んでいると、作家のジャックの車が随所で「かぶとむし」と表現されていたのが印象に残った。
ふと何か引っかかるものがあった私は、「白いビートル」というワードでインターネットで検索してみた。
すると上から何番目かに、ビートル占いについてまとめてみたとかいうタイトルを見つけた。クリックしてみるとまずは昭和五十年代に見かけたビートルの色で運勢を判断するという占いが流行ったと知るされていた。
次に占いの項目が列挙されており、その中には「白いビートルを見ると好きな人と結ばれる」というものもあった。
私は全てを悟った。あの日あの時小学校の教室で耳にした噂はビートル占いがいびつに伝わったものであること。
両親は敢えてそれに合わせて私をからかっていたこと。
そして木を見るとまじまじと眺める私はとんだ間抜けであったこと。
19歳にして真実を知った私は一日寝込んだ。