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空色魔力の転生者 ─泡沫の命と魔法の世界─  作者: ゆずあめ
第2章 エデリア王立学園
30/123

第30話 ロリババアへの恨み

☆プチ色情報2☆

歴代勇者の手記は世界に3つある。

その内ガイアが殺した勇者の手記は最新版、つまりは3番目。でも、レガリア王国にはこの1つしか手記が遺されていない。



「ミリア、起きてるか?」


「えぇ。ところでこの制服、似合ってるかしら?」



 宿に戻ると、白い髪と紺の制服が魅せる、この世の美を凝縮したような美少女が目の前に居た。



「──あ、あぁ。ごめん、綺麗すぎて絶句した」



 素直な気持ちだ。俺が今までに見てきたミリアの中で、ダントツに可愛いと感じた。

 もう俺はダメかもしれない。ミリアが可愛すぎて、俺の方がダメになっちゃう。今すぐ抱きしめたい。


 ハッ! 危ない危ない。急に抱きついたらビンタされるかもしれないし、自制心を効かせないと。



「ふふっ!......嬉しいわ。ガイアも制服を着てみて」


「分かった」



 目を合わせるのが恥ずかしくなる。それぐらい可愛いミリアに頼まれては、俺も着替えない訳にはいかない。


 というかこれから入学式だから、絶対に着るんだけどさ。



「よし、どう──」



 着替え終わってミリアの方へ振り向くと、俺の視界が真っ白に染った。もしかして死んだ?


 ......あ、違うなコレ。ミリアが物凄い勢いで抱きついてきたんだ。ちくしょう可愛いすぎるぜこの生き物。俺まで抱きしめ返してやる。



「......暖かい」


「似合ってたか?」


「最高よ。このままずっと抱きしめ続けたいくらい、魅力的だわ」


「ありがとう。ミリアも可愛いよ」



 俺がミリアの目を見て伝えると、ぽっと顔を赤くしながら、ミリアも小さく感謝の言葉を漏らした。


 さて、抱き合ってばかりじゃいられない。そろそろ出ないと、入学式に遅刻してしまう。



「行こう。これからは、今の生活を楽しむことに尽力しよう」


「そうね。出来れば、ガイアとダラダラしながら過ごす生活を送りたいわね」


「はははっ、それもこれも、学園を卒業するまでは無理だな。取り敢えず、お互いに頑張ろう」


「えぇ。よろしく、ガイア」



 俺の頬に柔らかい感触を与えたミリアは、手を引いて俺を部屋から連れ出した。



 そして宿の1階で朝食を済ませた俺達は、学園から伸びる大きな道を歩いて行くと、沢山の馬車が学園へと入って行った。


 どうやら貴族の坊っちゃん嬢ちゃんらしい。



「馬車かぁ......荷物の運搬くらいにしか役立たんだろうに」


「仕方ないわ。貴族だもの。品位を見せなければならないの。でも、ガイアも貴族なのよね?」


「正確には貴族の孫。爺ちゃんが父さんに爵位を継承して、そこで初めて貴族の息子として確立すると思う」


「中々特殊な出自だから、その辺りの認識は難しいのね」



 そんな会話をしながら歩いていると、遂に学園の敷地内に足を踏み入れた。



「お〜い、ガイア〜!」


「ん? あぁ、ぜルキアか。おはよう」


「うん! おはよう!」



 欠伸をしながら歩いていると、誰かと話し終わったぜルキアが、こちらに手を振りながら走って来た。



「2人とも似合ってるね〜! イチャイチャしてそうなカップルって感じだ!」


「「イチャイチャしてない」」


「そう? さり気なく手を繋いでるし、入学早々2人だけの世界を作ってるのかと......」



 仕方ないだろ? ミリアの方から手を繋がれたら、俺から離すのは難しいんだよ。



「それじゃあ行こうか! っと思ったけど、僕はちょっと友達作ってくる! 2人は先に行ってて!」


「えぇ? あ、行っちまった」



 俺達に伝えるや否や、全力で走って行ったぜルキア。

 遠くの方で真っ黒な球体を作っているのは、きっと認識阻害の魔法を使っているのだろう。


 ってか、アレ凄く目立つんだな。この前のレストランでの1件、変な尾ひれと共に周囲に伝わってそうだ。



「相変わらず忙しい人ね。疲れないのかしら?」


「アイツはああいう奴さ。元気過ぎるぐらいがちょうどいい」


「ふふっ、それもそうね」



 ぜルキアはこうでないと。アイツの暗い姿なんて、もう見たくない。



 そうして入学式場へ入ると、中は沢山の生徒で溢れていた。


 俺は永遠に走っていたから誰が誰か分からないが、有名らしい貴族の男子や、明るい髪色の女子がキャッキャキャッキャと騒いでる。


 入学試験の時から何も学んでいないように見える。



 そして20分ほど待っていると、理事長がマイクを手に持って壇上へとやって来た。



『静まれ』



 やはりというかなんと言うか、優しい殺気と共に声を響かせてくれた。



『これより、エデリア王立学園の入学式を執り行う』



 日本でも、レガリアでも散々やった式を見ていると、朝にツバキさんと色々あったせいか、眠気が襲ってきた。



「ガイア、寝ちゃダメよ」


「分かってる分かってる。目を閉じるだけだ」


「もう。終わったら起こすわ」


「ありがとう」



 そして欠伸をひとつ、噛み殺していると──



『新入生代表、ガイア・アルスト』



 ん?



『おい、ガイア・アルストは居らぬか?』


「代表だったの?」


「いや知らん。取り敢えず行った方がいいか」



 なんだろうか。普通、代表って事前に話を通しておくものじゃないのだろうか。このまま壇上で何かを話せと言われても、何も考えていないのだが......



「おぉ、来たか。ほれ、代表として抱負を語るのじゃ」



 雛壇の傍に行くと、予想していた言葉が理事長の口から飛び出た。



「なんで俺が代表なんですか?」


「それは勿論、試験の結果を見てに決まっておる。ぜルキア・アーレンツ、及びガイア・アルストが首席じゃからな」


「え〜......事前説明くらい欲しかったです」


「咄嗟の対応も出来ずして、人の上に立てんぞ。ほれ」


「そもそも人の上に立つ気が無いですけど」



 もうヤダこの学園。嫌いになりそう。


 仕方ない。マイクを渡された以上、俺の出来る最大限のスピーチをするしかない。



『あ、あ〜。何故か代表と言われたガイア・アルストです。先程の理事長の話は全く聞いてませんでした。皆さんはどうでしょうか? 聞いてましたか? え? 聞いてた? 凄いですねぇ。私は皆さんが話を聞いてる中、眠気と戦ってましたよ』



 頭が回らんのだ。何かを考えるにしても、戦闘かサティス、ミリアの事しか思い浮かばない。



『さて、冗談はここまでにして本題を。私達新入生は、学園に入った以上、学園のルールで過ごすことになります。皆さんも知っての通り、学園内では貴族や平民など、身分の差は一時的に無くなり、平等となります』


『俺は貴族だ、道を開けろ。などと馬鹿げた思考を持つ愚か者は、皆仲良く土を舐めると思ってください。例えそれは、王族だろうと同様です。ここはある種、別の国だと思いましょう』



 懐かしいな。日本の学校でも、俺の記憶の中では言語の通じる別世界だった。しんどい思いも沢山したが、それ以上に楽しかった。



『学園に来た目的は十人十色、千差万別でしょう。人も違えば考え方も違う。お互いに深く理解しようとしなくていいです。でも、相手の考えを蔑ろにしないようにしましょう。そうすれば、お互いに高め合うことが出来るのでね』


『では、特に喋ることが思い付かなくなったので、以上とします。最後に......理事長、覚えてろよ』



 こんなもんだろ。抱負というか、過ごしやすい学園生活のヒントをあげた感じか? これで1人くらい、問題を起こす生徒が減ればいいな。


 ......うん、俺が問題児だったわ。本末転倒ッ!



「お主、やってくれおったな」



 スピーチを終えて席に帰ろうとすると、すれ違った理事長に声をかけられた。


 何故だか知らんが体が震えている。まるで産まれたてのユニコーンだ。



「あらあら、そんなに震えて......感動しました?」


「あぁ、感動したとも。ここまで滅茶苦茶なスピーチをしたのはお主が初めて故、妾の心は揺れ動いたぞ」


「それは良かったです。では」



 ムスッとした顔で見送られながら、俺は席に戻った。


 隣に座るミリアがニコニコとしているのを見るに、あのスピーチは良しとしよう。貴族になる身でありつつも、貴族に注意する人物は少ないだろうからな。


 同じような思考の人間に響くのだろう。知らんけど。



「壇上に立つガイア、格好良かったわ」


「......やっちまったな」



 ミリアさんは、ただ俺の姿を見て満足しただけのようだ。スピーチなど知らないといった様子だな。




「あのロリババア、マジで許さん」




 こうして、俺の明るい学園生活がスタートした。

理事長、ひどいわよ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ゆずあめさん節が出てき始めましたね!すごくマイペースなスピーチでした!軽い気分で挑む、だけど嘘は言わない、そして結局は大事なことを語る。いい主人公ですね。見ていてすごい面白いです! (ちょ…
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