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激戦地の死霊魔術~戦場を見たある令嬢の物語~

作者: 一般兵A

 教暦815年、グレンデール王国と近隣の小国家連合間での争いは激化の一途を辿っていた。          



『祖国に誇り高き勝利を』



 そんなスローガンを掲げ、王国は多数の兵員を動員し泥沼の戦いを展開していた。愛国心を植え付けられた男たちは皆戦地へ送られ、有力な魔術を行使できる者も老若男女を問わず徴兵され戦いに赴いた。さながら総力戦といった体制であり、王国史においても過去例に見ない規模の大きな戦争が始まっていたのだ。



 そんな戦地の真っ只中、最も多くの死人の出る最前線の陣地跡に佇む一人の少女がいた。土埃と血の香りが立ち込める場には不釣り合いなその美しい立ち振る舞いからは、彼女が高貴な家柄の出身であることが容易に感じ取れる。



 彼女こそは王国内における有力貴族、メッサリナ公爵家の令嬢ヴァルヴァラである。来年には王位継承権第一位の王太子、エドワードとの婚姻も決定しており、気品と慈愛に満ちた内面も相まって今や彼女は誰もが敬意を表する存在へと至っていた。



 では何故そのような天上人たる貴族の令嬢がこの戦場にいるのか、その答えは彼女の生まれ持った魔術の才によるところが多い。先程述べた通り王国は能力のある者は誰彼構わず軍役に就け、世界でも極僅か、一部の者だけに宿る魔術という力で戦況の優位を生み出そうと画策している。未来の王妃であろうと例外はなく、彼女もまた国の威信の元にこの激戦区での戦いを強いられているのだ。



 

―――――




 両勢力の衝突は未だ一進一退の膠着状態が続いており、国の境での転戦がひたすらに繰り返されていた。極度の張りつめた緊張に疲労が蓄積する軍隊、その中でも特に人員の多い区間へヴァルヴァラは配属されていた。騎士階級からなる騎兵隊、徴兵された平民からなる歩兵隊、その他にも工兵や砲兵など細分化された兵科が集う大所帯の軍勢であり、当然それには本国からの多くの期待が浴びせられることにも繋がる。



 そんな集団の中で彼女に宛がわれた役割、それは戦死者の遺体の後処理である。



 一人、また一人と積み重ねられてゆく夥しい屍の山を前に彼女は跪き、哀悼の言葉を紡ぐ。それは彼らの冥福への祈りであり、またこれから行われることへの懺悔でもある。詠唱を終え、辺りが再び静寂に包まれたとき、哀れな戦死者の亡骸たちは地に足をつけ起き上がって見せた。



 これこそがヴァルヴァラの戦地召集の所以、屍を己の手駒として操る死霊魔術ネクロマンシーの力である。



 メッサリナ公爵家は勿論、大陸全土の歴史においてもほんの一握りの者にしか発現しなかった超希少種とも言えるその力はヴァルヴァラを幼き日から苦しめてきた。初めは埋葬した愛犬の屍を、次には病に倒れた祖父の冷たくなった身体を、といった具合に成長と共に使役する亡者の規模、精度を上昇させてゆくその少女に周囲は恐怖し、嫌悪した。死を穢れと認識し、極度に避けたがる高位貴族には疎まれ、近づくことさえ憚れた。家族や屋敷に仕える者たちは常に味方でいてくれたのだが、やがては彼女自身が己を軽蔑するようになってしまった。いたずらに死者の身体を弄び、自身の傀儡に作り替えるその能力を彼女がどれほど憎み、恥じ入っていたか、その苦悩は想像に耐えない。

 


 やがて家柄から第一王子との政略結婚が成立し、将来の王妃になるに相応しい教育を受け、必死に己を律してきた。それでもエドワードからは冷遇され、彼女を取り巻く環境の蔑んだ視線が変わることはなかった。この生涯に栄光などありはしない、そう諦めかけたとき彼女の元に徴兵の指令が舞い込んできたのだ。



 その興奮たるや、一言に言い表せるものではない。今まで不幸のみを引き寄せてきた無用の長物以下の死霊魔術に役割が求められた初めての瞬間なのだから。家族は引き留めようと躍起になったがそもそも王命に背くことなど不可能であり、彼女はその勢いのまま喜び勇んで出兵していった。




―――――




 それから数年、彼女はこの戦地で戦い続けている。かつては美しく光沢を帯びていたブロンドの髪は薄汚れた土埃を被り、全身は連日疲労困憊といった有様だ。



 何よりかつて自身が禁忌とした屍の使役を繰り返す日々に彼女は辟易していた。



 どれだけ兵士が死のうともその骸はアンデットとして再度戦線へ還り、死をも恐れぬ無感動の不死者として猛威を振るう。あろうことか討ち取った敵兵すら新たな戦列への参戦者として加わえさせられる始末である。つまりは戦争が続くほどにこちらの総兵力だけは増加するということだ。敵側からすればこれほど絶望的で、かつ屈辱的な戦略もないだろう。



 それが分かっているからこそヴァルヴァラの精神はひどく追い込まれていく。



 己の力が役に立てば立つほどより多くの人が殺される、その事実に気付かない程彼女は愚かでない。実際に戦地に赴いたからこそ多くを知った。祖国で飛び交う戦意高揚の言葉の虚飾を、戦いの誇りある姿への賛歌を、勝利の為に命すら投げ打つ行為の美徳を、それら全てが偽りに彩られた都合の良い方便であると理解するのに時間はかからなかった。誰もが祖国の為の死を望んでなどいない。本当は誰だって死が恐ろしいのだ。敵も味方も関係ない、いつだって人間はその心に脆さを飼っているのだから。



 今まで箱庭とでも例えられる限られた環境に大事に囲われてきた少女には、それはあまりに衝撃が強すぎる事実ばかりだった。



 それでも彼女の歩みは止まらない。否、悲しみを知ってしまったからこそ止まれないのだ。戦死者の拡大を防ぐ唯一残された、そして最も端的な方法、それはいち早く決着をつけ戦争を終結に導くことであるからだ。

 



―――――




 日々繰り返される戦いは様々な形で兵士の精神を、肉体を蝕んでいく。



 ぬかるみに埋もれ、雨に叩きつけられた日には凍える身体を気力だけで奮い立たせた。一たび戦闘があればそこら中屍であふれかえり、死臭でむせ返るのは日常茶飯事であった。生傷は絶え間なく身体に刻まれ、蛆虫の這いまわる感覚は耐え難き嫌悪感を残していく。手足が吹き飛び、あたり一面血しぶきに染まる光景など永遠に忘れることは出来ないであろう。己の腕の中で臓物をまき散らし息絶えた新兵の表情は何度も脳裏をよぎっていき、目の前で砲撃によって四散した戦友の絶叫は夢に幾度も現れる。発狂の末に己さえも見失った兵士の無残な姿には心を痛め、苦しみに漏れでるうめき声の合奏には気の遠くなるものを感じた。



 生き地獄を体現した隔絶された世界に放り込まれ、我武者羅な足掻きを強要される彼らの姿はヴァルヴァラの記憶にフィルムのように焼き付いて保存される。それは必死に生きんとする願いを無慈悲に砕く戦争の理不尽さの証明に他ならない。



 しかし、勝てども勝てども終わりの見えない戦争に王都の宮廷は業を煮やし、あまりに現実と隔離した要求を命じては戦地を困惑させていた。

 


 そんな内憂外患の連続する日々とはいえ、少しばかりは余裕もある。兵士とて野営地では休むし、会敵もなければ腰を据えて情報の収集に当たるしかない。そんなとき、ヴァルヴァラは決まって一般の兵の元を訪れる。上位階級も下層の平民も、果ては夜盗上がりの傭兵にさえも彼女は恐れず向かっていく。それは深窓の令嬢故の好奇心と、そして自分が傀儡としてしまう人々の生きた記憶だけでも抱えておきたい、という考えから始まった行動だ。



 「毎度忙しい中、感謝の極みでございます。ヴァルヴァラお嬢様もまだお若いのに大変でしょうに。」



 農村から出兵してきた老兵たちが気まぐれに彼女へ声を掛ける。



 「私の行いなど褒められたものではありません。これは『せめて顔だけでも』と、そうやって自分の死霊魔術に対する罪悪感を減らそうとしてるだけの単なる自己満足とエゴでしかありませんから。結局、散っていった本人にも、残された遺族にも無礼でしかない最低な能力であることに変わりはありません。」



 「そうご自分を卑下なさるな。儂らからしたら天上のお人ともいえる高貴なお方からこうして労いを頂けるだけでも光栄なことなのです。」

 「儂らが若い頃なんぞ貴族様ってのは皆偉そうにふんぞり返って見下してくるだけじゃった。だからこそ今では将来国を背負って立つお若い方々から、親身になって接していただけることが何よりも嬉しいのです。」


   

 彼らの述べる感謝は紛れもない本音なのだろう。無茶な指令ばかり投げつける王とその佞臣、この構図は王権の強い支配が敷かれたときから変わらない。この抑圧への不満が募るほどに人心は離れ、憎悪は燻ぶりながら形を帯びてゆく。あまりにも無益な争いへの強制的な徴兵によってそれは今まさに表面化しようとしていた。それでも彼らが祖国を棄てず、心を一つに戦い続けるのは同じように戦地へ送られ、同じ環境のもとに辛酸を味わう若者たちの存在が大きかった。



 個人で出来ることは限られていれども、地位に関係なく行動は示せる。前線を駆け巡り激励と共に兵士たちの勇気を奮起させて回る者、その慈愛の精神をもって傷ついた人々の心に寄り添う者と十人十色の様相を表していた。



 その言葉に兵士たちは思い出した。自分たちの背後、戦線の後ろに控える懐かしき祖国には守るべき家族が、友が、恋人がいることに。ならばそれを守る自分たちとて泣き言は言ってられない。あのふんぞり返った貴族や王族とは心構えの異なる少年少女は必死に戦っているのだ、負けてはいられない、そういった気運が高まっていくのにさして時間はかからなかった。



 互いを知り、歩み寄る。つまりは相互理解の積み重ねこそがこの進撃の要なのだ。



 たかが会話、されど会話、上で統率する者とその他大勢の雑兵の関係の深さはそれだけ軍隊の引き出せる実力に直結する。ヴァルヴァラたちが身分の垣根を踏み越えて彼らと共に汗水流して共闘するからこそ兵士は好感を感じ、やがてそれは敬愛と忠誠に転じる。だからこそ彼らは常に死地にありながらも高い士気を維持し、全力をもって戦い抜かんとするのだ。



 奇しくもこの交流は、高位貴族の子息令嬢には世の現実の厳しさを知る機会を、平民の者たちには心から尊敬すべき相手を見出す機会を与えることとなり、両者共に得るものはとても大きかった。


 


―――――




 華やかな内装、豪華絢爛な食材の数々、とても戦地とはかけ離れた状況にヴァルヴァラは困惑した。今日この日は宮廷主催の大規模な夜会が催されていたのだ。なぜこの場に彼女が招待されたかと言えばそれは戦況の変化が大きな要因となっていた。



 戦線は徐々に、だが確実に王国側優位に傾いている。王都では戦勝間近の祝杯の気運が高まり、従軍した功労者を招いての夜会が企画されていた。



 有体に言えば戦闘をいち早く終結させ、これ以上の犠牲の拡大を阻止したい兵士たちからすればそれは迷惑なものでしかないのだが、王命に背くわけにもいかずヴァルヴァラたち貴族諸子は渋々一時帰還することとなったのだ。



 緩やかなメロディーに乗せられた宮廷楽団の音楽に耳を傾け、彼女は戦地から出立した朝を回想する。




―――――




 「どうかお気をつけて下さい。宮廷の貴族は現実を直視できない無能揃いですから。」



 見送りに出向いた総指揮権を与えられている元帥が少し俯きながら重々しげに口を開く。



 「多くの命の為に我が身を粉にし戦ってきた貴方様が王都で蔑ろにされるのでは、と思うと私は不安でならないのです。どんなに戦場で兵士たちが惨たらしく倒れても彼らは意に介さない。このバカげた戦争を政治の道具としか思わぬ者ばかり、まったくこの国にはあきれ果てるばかりですよ。」

 


 「大丈夫、きっとエドワード殿下は分かってくれます。あの方ならばこの戦いの悲惨さも理解してくれるでしょう。その為にも私は一度王都へ戻り、いち早い和平の締結の必要性を訴えてきます。それでもダメなときは…まぁ仕方ないでしょう。」



 「是非ともよろしくお願い申し上げます。前線の兵たちも早く国許へ帰りたがっていますから。」



 重苦しく、切実な懇願は決して場を明るくは出来ない。しかし、彼女たちの瞳には確かな希望への道筋が捉えられていた。




―――――




 不意に会場からは大きなざわめきが広がり、ヴァルヴァラの意識もそちらへ向けられる。



 皆の視線のその先には王太子、エドワードの姿があった。しかし異様なことに彼は己が婚約者に鋭い剣幕を向けていた。彼女の方を真っすぐに見据え、彼は高らかに宣言する。



 「メッサリナ公爵家が令嬢ヴァルヴァラ、今ここに貴様との婚約破棄を告げる!」



 周囲のどよめきは最高潮へと達する中、第一声をあげたのは他ならぬヴァルヴァ自身であった。



 「殿下、私に至らぬ点があったことは素直に認めます。されどこのままでは些か道理に外れるもの、どうか理由をお聞かせ下さい。」

 「フン、よりによって貴様ごときが道理を語るとは、片腹痛いぞ。理由など聞かずとも分かるであろう。貴様の用いる死霊魔術、あんなものを用いる女などと結ばれてたまるものか。」



 しん、と静まり返る場内の中、ヴァルヴァラは己の鼓動が速まるのを確実に感じていた。ただ、自分の触れられてはならぬ一線が瓦解し始める実感だけがその確信だった。



 「屍を物言わぬ奴隷のように操るなど悪趣味を通して悪辣だ。その力を率先して戦地でひけらかしているさまなど真に浅ましい。分かるか、貴様という存在そのものがそもそも婚約にふさわしくないのだ。さらに聞いた話では日夜死体漁りに精を出し、下賤の民にさえ軽々しく触れて回っているそうだな。上位貴族としての最低限の尊厳すらないなどあきれ果てるばかりだ。」



 「殿下、兵士たちは毎日辛い思いを堪えながら戦っているのです。それを下賤の民などと見下すのは聞き捨てなりません。」

 「何を言う。祖国の為に戦うのは当然の義務、そこに辛いだの苦しいだのといった甘えは不要であろう。やつらなど我々国家の支配者に愚民らしくかしずいていればそれでいいのだ。」



 愚かな失言を咎めるかつての婚約者を一瞥もせず、彼はさらに傍若無人な持論をまくし立ててゆく。 



 「その手で何人の死を看取った。その手でどれだけの骸に細工をした。穢れに触れた貴様の血が、我が王家の子孫へ混じっていくことなど想像するに耐えない。分かるか、死という高貴と対極にあるモノは王家の姻戚には相応しく無いのだ。そもそも、貴様は昔から…」



 「いい加減にしてください!」



 今まで冷静に取り繕っていたヴァルヴァラだったが、遂にその怒りは頂点に達し、王太子の言葉は遮られた。



 「確かに私は殿下の仰る通り、屍を弄び、夥しい血液の海に浸ってきた穢れた女でございます。それでも、それでも私は彼らの死を貴方のように軽蔑などはしておりません。本当の地獄、この世の苦痛の底に居てなお、彼ら兵士は必死に希望に縋って戦い続けていました。一寸先に死が迫り、命の価値すら勝利のために下落していく中でも勇気をもって、己の後ろの守るべき人々のために彼らは恐怖を押し殺して困難に挑んでいたのです。だからこそ私はその生きざまの最後に泥を塗らぬよう、最大の敬意を表しながら死霊魔術を用いているのです。」



 鬼気迫るその呼びかけは場にいる者たちの空気を呑み、強気に振舞っていた王太子をも圧倒する勢いであった。

   


 「そんな彼らの戦いも知らず、宮殿にふんぞり返っては労いもせず、その死すら否定する様には失望を隠せません。私自身への侮辱ならまだしも、彼ら戦う者たちへのその言い草、到底容認出来るものではありません。ならばこそ決心がつきました。民の流す血にすら向き合えない貴方、そしてそれを咎めもせず野放しにする現国王陛下の座るべき玉座は、この国には存在致しません。」

 


気づけばエドワードの周囲は殺意に満ちた視線に囲まれていた。この夜会の本来の主賓、戦争功労者たちは皆ヴァルヴァラと同じ考えであった。傲慢を絵に描いたようなこの王太子へ向けられた義憤が彼らの内に湧き上がる。



 「国政に難あり、といった状況により当初の予定通り計画は実行させていただきます。さぁ、国盗りを始めましょう。」



 ヴァルヴァラの合図とともに展開される幾つもの魔法陣、そこからは数え切れぬほどの夥しい屍の軍勢が這い出てきた。手に手に持った得物を掲げ、骸の群れはエドワード目指し走り出す。



 今日この日を人々は後に『八一五の政変』と呼んだ。




――――――




 教暦815年、グレンデール王国における最大の反乱、通称『八一五の政変』は文字通りこの国を根本から作り替えた。



 メッサリナ公爵家令嬢ヴァルヴァラと彼女に賛同した多数の従軍経験者によって引き起こされたこのクーデターは、結果として現国王を含む王族及び上位身分を独占していた佞臣たちの一掃という形で完成した。各地で転戦していた軍隊もこの流れに加わり、事実上王権によって支配された国家の形式は完全崩壊したと言える。



 新たに誕生した臨時政府は貴族、平民など上下多様な人種から構成される議会を有する共和制の体制から始まった。



 彼らの着手した第一の事業、それはあまりにも益のないこの戦いの終結である。両勢力になるべく禍根の残らぬよう角の立たない内容で和平締結が行われ、小国家連合との長きにわたる争いも終了した。



 その後もクーデターで混乱した都市部のインフラや法の整備を行い、あらかたの問題が解決した後、この国家は再び王国として正式な再スタートを切った。人々は象徴となり国家を先導する存在として全ての発端、ヴァルヴァラを担ぎ上げたのだ。周囲の強い希望に根負けする形で彼女は新王朝の祖として君臨することとなった。



 議会と王権の両立した立憲君主制を全世界史に先じて成し遂げたグレンデール王国はその後、多くの国際世論を牽引する存在へと発展していく。



 しかし、少なくともヴァルヴァラの在位した期間、この国は一切の武力による軍事行動は起こさなかった。彼女自身も件の死霊魔術を用いることは二度となく、『八一五の政変』以降屍の傀儡を見た者はいなかった。



 ただ、毎日慰霊碑に黙祷を捧げては涙を流すその姿から彼女の心中は推し量れるだろう。



 『万民に誇り高き生涯を』

ここまで読んでくださったことに感謝申し上げます。


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