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悪魔の本当の種族

鎌闘士(れんとうし)?」


 聞いたことも無い職業だ。

 ギルド内で依頼を選んでいる時、酒場で飲んでいる冒険者から職業についてはちょくちょく耳にしたことがあるが、鎌闘士というのは初めて聞いた。


「そう!鎌を主な武器として戦う職業で、炎や闇、状態異常系の魔法を得意とするって書いてある。でも、この職業、100年くらい前からもう適性のある人は出てないみたい。」

「そんな凄い職業に適性があったの!?やっぱり薬草取りちゃんはすごい人だったね!!」


 エテルは本の文をわかりやすく読み上げてくれた。顔が本に近すぎて、ちゃんと読めているのか不安になるが。

 ユフィアは私の職が希少なものだと分かり、嬉しかったのか、その場でぴょんぴょん飛び跳ねている。


「ちょっとギルドマスター呼んでくるわね。そうだ、薬草取りちゃん。書類に名前を書いてもらう所があるんだけど、薬草取りは名前としてちょっと使えないから、自分の名前考えておいてもらえる?後から変えられるように仮の名前ってことで登録しとくから。」


 エテルはそう言うと本を小脇に抱え、部屋から出ていった。さっき使った魔法は使わないのだろうか。


 それより、自分の名前だ。今まであだ名で呼んでもらっていたが、書類にあだ名はダメだということだろう。

 母からはフィリスという名前を貰った。これも大切な名前ではあるが、母がいなくなり父からの暴力を浴びるうち、この名前で呼ばれるのが嫌で仕方なくなってしまった。出来ればこの名前が連想されることの無い名前を考えたい。


「薬草取りちゃんの新しい仮の名前か。んー……。」


 ユフィアも私の名前を考えてくれるようだ。顎に手を当て必死に考えてくれている。しかしすぐに思いついたようで、顔をぱっと上げた。


「あ、『リヤ』なんてどう?『薬草取り』の『り』と最初の『や』を入れ替えたの!簡単だし、覚えやすいよ!」


 確かに簡単で覚えやすい。これからそう呼ばれることを考えればとてもいい名前だろう。少し安直である気もするが。しかし、せっかく考えてもらったのだ。ありがたく貰うことにする。


「ユフィアさん、ありがとうございます。仮ですが、リヤと名乗らせていただきますね。」

「やったぁ、私が名付け親第一号だね!そういえば、リヤちゃんはどうしてそんなに言葉遣いが丁寧なの?」


 私の名付け親になれたということで、とても嬉しかったのだろうユフィアが、私に勢いよく抱きついてきた。この子は少し人との距離感が近い子なのかもしれない。

 名前が無いと言った私の言葉遣いが、やけに丁寧なのが気になったのだろう。ユフィアが質問してきた。

 この言葉遣いは、そんなに深い意味は無い。母が出て行って父の態度が急変した頃、父が私の言葉遣いを改めるよう言ってきた。俺を敬えと。しかし、当時5歳の私には何をどうすればいいのかよくわからず、父に話しかける度に、言葉遣いがなっていないと殴られた。薬草が多く取れた日や、希少な薬草が手に入り高く売れた日の翌日、必ず父は外に出る。そういう日にテレビをつけてニュースをひたすら見て言葉遣いを学んだのだ。その時に色々な言葉も学んだ。

 この言葉で話せば、父から殴られないとわかった私は、初めて会う人や大人には必ず丁寧な口調で話すようにしている。


「前にこの口調で話せば、厄介事が起きても穏便に済ませられる事が分かりまして。私は器用な人間では無いので、咄嗟に口調を変えなくて済むよう、この喋り方をしています。」

「そうなんだ…。でも、私はリヤちゃんともっと気軽にお話したいなぁ。」

「ありがとうございます。」


 微笑んでそう返すと、ユフィアは照れたらしく、私の体を離し顔を背けてしまった。


「じゃれて遊んでたとこ、すまねぇな。」


 そう言いながら扉を開けたのは、大柄な髭の男性だった。

 後ろにエテルと、もう1人女性がいる。

 その女性も緑色の瞳に、金色の髪をポニーテールにしている。髪の色と目の色がエテル、ユフィアと同じだからもしかしたら3人は姉妹なのかもしれない。

 男はバングルを机の上に置き、私の向かいのソファにどっかりと座った。


「俺はここのギルドマスターのダンカンだ。気軽にダンと呼んでくれ。さっそく登録をと行きたいところだが、先に娘達を紹介させてくれ。話をしてはいたが、きちんとした紹介がまだだったからな。」


 ダンがそう言うと部屋の中にエテルともう1人の女性が入って、ダンの後ろに並んだ。ユフィアもそこに加わり、キリッとした顔を一生懸命作っていた。


「改めましてリヤちゃん。ギルドマスターの娘、エテルです。これから精一杯サポートするからよろしくね!」

「マスターの娘、エテルの妹のジェシカだ。ウルティの街のことなら私に聞きな。案内してやる。」

「マスターの娘で、2人の妹のユフィアだよ!怪我しちゃったらいつでも呼んで、すぐに治すからね!」


 扉越しにユフィアとの会話を聞いていたのだろう。さっき決まったばかりの私の名前を呼んでくれた。新しい名前はまだ慣れないが、呼ばれると少し嬉しい。

 やはり姉妹だった。年齢順に自己紹介をしてくれたらしい。

 確かにエテルとは何度か会話をしていたが、ギルドマスターの娘ということもジェシカとユフィアの姉ということも、知らなかった。ダンに感謝しなければ。


「こっちの世界で暮らしていくことになったリヤです。よろしくお願いします。」


 私も立ち上がり軽く自己紹介をし、会釈をした。

 ダンと後ろに並んでいた3人は微笑んだ後、私の方に移動してきた。エテルは私の左に座り、ユフィアは私の右に、ジェシカは後ろに立った。私は行動の意図が読めず、ぽかんとしてしまう。


「本当にお前らはリヤが大好きだな。んじゃ、冒険者登録を始めるか。このバングルをさっき水晶を触ったみたいな感じで触れてくれ。これはギルド専用の魔道具でな、登録したい人が魔力を流すことで、パパっと登録できちまうのよ。」


 ダンの説明を聞きながら、私はバングルを手に取り力を込めた。何となくだが、手に込めた力がバングルに移動していくのを感じる。これが魔力を流し込むという感覚だろう。練習していけば無意識に出来るようになるのだろうか。


 そんなことを考えていたら、バングルが淡く黒色に光り、目の前に画面のようなものが映し出された。


「ふむ、お前の魔力は闇魔法系が得意みたいだな。光る色によって、何の魔法が得意かが分かるんだ。んで、そこの画面に映し出されてるのが、お前のステータスだ。」

「ステータス?」


 酒場で飲んでいる冒険者から聞いたことはあったが、中身についてはあまり知らない単語だ。確か、高い方が強いだったか…。


「そうだ。自分のレベル、HP(ヒットポイント)MP(マジックポイント)、力や素早さが数値化されているのがステータスってもんだ。レベルが上がるとステータスも上昇していく。強化魔法でステータスに補正をかけることもできる。戦って強かった魔物でも、レベルを上げれば倒せるようになるかもな。今の自分のステータスを確認してみろ。」


 ダンにそう促され、私ら画面を確認する。


---------------


リヤ(仮) 17歳 鎌闘士

種族:アーレウス族

Lv:1

状態:普通

HP:10/10

MP:6/6

攻撃力:8

防御力:9

素早さ:8

器用さ:5

魔力 :3

魔防 :3

SP :0


《固有スキル》

影遊(かげあそび)


《スキル》

無し



 私の種族、人間じゃなかったんですか…?

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