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鉱山の暴れん坊

 ロザイアからもらった地図を頼りに、鍛冶屋を目指す。ラモンとは打って変わって、人間が少なくドワーフが多い。背が低いドワーフが多いとは言っても、彼らの平均身長が私と同じくらいだから、人混みに埋もれる事は変わらないのだが。なので、はぐれないようにと私はティアに乗って移動している。

 ティアの体高は124センチ。顔は私よりも少し下くらいの高さで、かなり大きい子だ。だから乗って移動する方が、人の波から頭が出て、クロ曰く見つけやすいのだとか。乗り心地はそこそこいい。


「地図だとここだが…。ずいぶん古い建物だな。」

「長寿な種族が建てたから、丈夫で長持ちなんだろ。」


 そんな適当なことを話しながら扉を押し開く。鍛冶屋独特の匂いと熱気が襲ってくる。中ではドワーフが酒を片手に武器の出来を見ていたり、溶かした金属を叩いていたりと忙しそうにしている。


「何だお前ら、ここは一見さんはお断りだぞ。」


 「作り直し」と若いドワーフに武器を突き返した後、ドワーフの中では大柄な髭を蓄えた男がこちらにそう言葉を投げてくる。ただ、話は聞いてくれるようでこちらに近づきながら「どうした」と声をかけ直してくれた。


「ウルティの街で、ロザイアさんからここを紹介してもらったんです。義足を使ってもらったのですが、設備が足りなくてロマンが詰められなかったからって。」

「ほう、あいつの紹介か。どれ、見せてみろ。」


 近くから椅子を引っ張り出し、座らせてくれる。私は右足のズボンをたくし上げ、義足を見せる。

 しばらく眺めた後男は私の前にしゃがみ、義足を動かし始めた。何か小さくぶつぶつ呟いているが、専門用語だらけだからか耳に入ってもそのまま通り過ぎて行ってしまう。


「設備が少なかったからって、ここまでロマンがねぇとはな。嬢ちゃん、これを作り直せって依頼だろ?」


 しばらく時間がかかりそうだったから、クロとティアと言葉遊びをしながら待っていたら、下から声が上がってきた。反射的に「はい」と答えると、男はスッと立ち上がり小さな黒い塊を持ってきた。


「だろうな。そんなガラクタ、足に着けていたかねぇだろう。ただ、条件がある。鉱山の一番下、最下層にいるタングルっつー魔物が前まで大人しかったんだが、最近急に凶暴になってな。ギルドに依頼を出したんだが、群れで襲いかかってくるからBランクの冒険者じゃ手がつけられねぇんだと。緊急性を上げてくれって言っても聞きやしねぇ。」

「そいつらを倒して来い、と?」


 若干愚痴気味になっていた話をクロが遮る。その言葉を待ってましたとばかりに、男は口を三日月に歪める。


「いや、ただ倒すだけじゃダメだ。あいつらから取れる素材、つまりこの鉱石を持ってきてほしいわけよ。」


 男は弄んでいた黒い塊を掌に置き直し、見せてくれる。こっそり鑑定をしてみたら「タングル鉱石」という名前だった。安直すぎる名前な気がする。レア度はAとそこそこ高い。それを持ってる魔物、しかも群れで襲ってくるならBランクの冒険者じゃ歯が立たないだろう。


(あん)ちゃんは竜人だろう?それも竜神の血が入ってる。そんなやつと本契約を交わした嬢ちゃんの足に、ただの炎耐性がついただけの鉱石を使うんじゃダメだ。溶けちまう。『炎無効』のこの鉱石をメインに作られねぇと耐えれねぇだろう。凶暴になる前だったら、近づいても体に生えた鉱石を削っても攻撃してくる事はなかったんだが、今はダメだ。削るどころか近づけやしねぇ。だから、お前らに取ってきてほしいわけよ。」


 簡単に言えば、「最高のものを作ってやるから材料は自分で取って来い」って事だ。この男がどうしてクロの血筋まで見抜いたのか聞いてみたら「年の功」と流された。答える気はないようだ。


 こちらとしても、しっかりとした義足を作ってもらえるならそれに越した事はない。


「分かりました、鉱石を持ってきましょう。期限はありませんよね?」

「いいねぇ、さすが肝の座った嬢ちゃんだ。いや、期限はある。そのガラクタが壊れる前に持って来い。」


 義足に向けて指を差しながら男は言う。かなり真剣な表情から冗談ではなく、この義足は壊れそうなのかもしれない。


「もし持ってくるより先に壊れたら?」

「そんときゃお前らの武器も作り直させろ。上客が鎌を使ってたんだが、そいつが死んじまったらしくてな。ここしばらく作れていねぇんだ。」


 てっきり金額倍増とかそんなものだと思っていたら、斜め上の事を言われて拍子抜けする。壊す前に持って来いと言っていたが、後に言われた事を考えると壊して来いと言っているように感じる。義足だけでなく武器も作り直してくれると言うのなら、願ったり叶ったりだ。


「わかりました。クロ、ティア、先にギルドに行こう。」

(近イカラソノママ行ケバイイジャン。)


 私の声に首を捻って返すティア。不思議に思いながらも私が背に乗れるよう体勢を低くしてくれている。気が効く子だ。


「ティア、さっきの話思い出してみろ。あのおっちゃんは『ギルドに依頼を出したんだが、群れで襲いかかってくるからBランクの冒険者じゃ手がつけられねぇ』って言ってた。つまり、ギルドで依頼を受けて達成すれば、報酬も貰えるし、義足も武器も新しくしてもらえる。良い事尽くめだろ?」

(オ肉沢山!)

「あぁ、いっぱい買えるよ!」

(オ肉ー!)


 4足で器用にスキップしながら、クロとギルドに向かった。かなり揺れたがティアが楽しそうなので放っておく。


 向かっている最中、自分のステータスを見返していたら耐性スキルの欄に見慣れないスキルが追加されていた。「瘴気耐性」だ。追加された理由は多分、というより絶対ティアだ。

 私のスキルで綺麗なハウンドに見えているのだが、それだけなのだ。スキルを解けばアンデッドだ。体から発生する瘴気は抑えられない。ティアと出会ってからずっと側にいたのだ。瘴気を浴び続ければ耐性もつく。

 感傷に浸っても過ぎたことは仕方ない。


 ギルドで依頼を受け、鉱山の入る。タングルがいるのは最下層だ。周りで採掘をしているドワーフに挨拶をしながら下へ降りる。

 ギルドと周りのドワーフからの情報だと、縄張りに入った瞬間襲いかかってくるようになったそうだ。その縄張りは最下層全体。つまり着いた瞬間襲われる事になる。知らずに縄張りに侵入し命を落とした人もいるらしく、最下層の前には頑丈な扉で塞がれていた。

 戦闘準備を万全にし、扉を開く。他の人が襲われないよう、私たちが縄張りに入った瞬間、扉は閉められた。


「確か、炎は無効なんだろう?」


 聞いていた話と違い、しばらく経っても襲ってこないのでこちらから探す事にした。索敵できるからと先行するクロについていく。


「あぁ、鉱石の部分はな。全身に生えているんだったら、完全無効だろう。」

「雷はどうなんだろうな。俺達2人は水系使えないし。」

(ティア、使エルヨ!)

「本当か!?」


 今まで文字通り火力で押し切ってきたところがあるから、その炎が無効な相手をどう倒すか話していると、今回はティアがメインに戦えるような情報を出してきた。

 どんなのが使えるのか聞いてみたら、擬音が多く説明下手なことがわかったが、色んな種類のスキルが使えるらしい。水を扱うスキル、水の上位とされる氷系のスキル、毒や麻痺に瘴気まで。どちらかと言うとサポート寄りのスキルが多かったが、充分攻撃として使えるものが多かった。


「ならティアが存分に暴れられるように、私とクロでサポートしよう。」

「あぁ、任せておけ。」

(ウン!)

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