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第4章6 フォーティス=アルバーン

いつもより長くなりました。

 探索して、ある程度時間が経った。

 レイクルのことが未だに頭の片隅に残っていた。名前を検索してみても世界認識さんの情報には無かった。強者であるならある程度この世界でも有名だと思ったのだが。


(人物は検索しても意味ないと思ったのだが、あの女王とかは役職程度はあったのでそれはないはず。)


 無意味なことに頭を使っていることに気づき、その考えを後に回す。


(現状、あまり俺に関係ないからこの話は後にして、フゲンの用事はもう終わっているはずだ。)


 そう思いながら、フゲンが教えてくれていた建物に向かう。


(フゲンが言うには人の形をした像が目印ってことだったけど…。)


 フゲンの言葉を思い出しながら王都を探索する。

 フゲンの言っていた大体の場所はさっきまでいた商店街より王宮に近い場所で、貴族の家など民衆にはあまり縁の無いような場所だ。民衆が入らないように、壁によって区切られていた。

 商店街から、家族の家や、高級な店などがあるエリアへ向かうための門の前に来ていた。

 そこは、荷物検査をするためであろう兵士達がたくさんおり、そこには行商人などによってつくられた行列ができていた。


(げっ!あんなに長い行列待ちたくねー。王宮から商店街に行く時は、直通のルートで行ったんだが、あれは特別なルートだったんだな。)


 仕方ないとは思いつつもやはり、何十分も待つのはだるい。そこで何か良い案は無いかと考える。

 透明になってあの門をくぐり抜けようとも思ったが、あの門には魔法が込められており、透明になってもバレるようになっている。瞬間移動も後々バレたら面倒くさくなる。

 なので、残りの案しか無かった。


(うーん。不安だけどこれしかないしな…。)


 意を決してヘティアは門兵に話しかけた。


「すいませーん。フゲンの護衛をしているヘティアなんですけど、ここを通してもらってもいいですか?」


 顔パス。

 この兵士が知らなくても、女王のお墨付きがあれば大丈夫だろう。

 そして、今日女王から情報が来ているなら、ヘティアが言っていることが正しいか判断するため身分を証明するものを要求するはずだ。


「あぁ。なるほど。では、何かそれを証明するものを出して貰ってもいいですか?」


 心の中で予想が当たったことに笑みを浮かべる。


「分かった。」


 俺はそう言うと、あらかじめ用意していた女王の招待状を出した。


「ッ!これは…。確かにヘティアとここに書いてありますね。それに、この紙の質感からして上級貴族の間で使われているものですね。…分かりました。どうぞここをお通りになってください。」


 そして、すんなりと門をくぐれた。

 この体は『創造』で創った体だ。その体が魔法に引っかかると思ったがそんなことはなかった。

 それだけが不安だったが、その不安も解消され、安心しながらフゲンの元へ足を運ぶ。

 その足取りはどこか軽く、スキップでもしているかのようだった。


(いやー、なんか俺が行動の予想立てて、それが実際その通りになると良い気分になるな。しかもスキルに頼らずに出来たし。)


 そんなことを考えながらヘティアは進む。

 道中、左右の建物を見てみる。


(この一本道凄い広いな。でも、人が歩く方向は特に決まってないようだ。歩行者は右とか。……おっと。)


 ヘティアのすぐそばを馬車が通った。


(ちょっと、真ん中に寄りすぎたか。)


 馬車は道路の真ん中で左を行くというのが決まっている。ヘティアの住んでいた前の世界の車と同じルールだ。

 横断歩道もないのに向こう側に渡る人を見て、あれは危ないのではないかと思う。しかし、誰と気にしてないので、それがこの世界では普通なのだろう。

 馬車も、現在はそんなに通ってないし、普段もこのくらいらしいし大丈夫なのだろう。

 そんなどうでもいいことを考えながら歩いていると、遠くからでも大きく見える像があった。きっとあれだろうと目星をつけ、そこに向かう。遠くからでも大きいそれは、大きさ5mほどの像だ。

 人族がこんな大きさをしているわけないので、大きめに作っているのだろう。


(自画像はその人の自己顕示欲?そういったものを満たすとかなんとか。そんな感じだった気がする。)


 その像は全て金で作られており、大変な財力を使っているであろうと分かる。そして、剣を地面に突き刺し仁王立ちしている姿だ。

 その姿は、ヘティアの記憶の隅にあるものを刺激する。


(えーっと。確か最近見たような…。…あ!これは、フォーティス=アルバーンの木彫りの像にそっくりなんだ!)


 その記憶を思い出したヘティアは苦い顔をする。


(はぁ。面倒事に巻き込まれそうだから嫌なんだよなぁ。どっか別の場所にでも行こうか…。)


 面倒事を予感したヘティアは今後の方針を決める。ヘティアの感が、重要な事だと言っているような気がした。

 長考の末、考えをまとめた。


(まぁ、フゲンを迎えに行かないとだし、行くかぁ…。)


 そう決心し、そのまま豪邸の玄関に進んだ。


「何者だ!」


 左右から兵士が俺の目の前に槍を出して止めた。


(気配が感じとれなかった?いや、それは考え込まとに夢中で気付かなかっただけか。…一応ステータスも見るか。)


 左右にいた門兵のステータスを見る。Lv15ほど。

 能力値は1500ほど。門兵にするには能力が高いと思う。スキルに見慣れない『クリティカル率UPLv7』というものがある。

 効果は文字通りクリティカル率が上がるというもの。クリティカルはどんな相手でもダメージを与えることが出来るというもの。

 運さえ良ければ100レベでも1レベがダメージを与えることが出来る。


(まぁ、レベル差によるクリティカル率低下もあるから絶対に無理だろうけど。)


 どうやって能力スキルを磨いたのか分からないが厄介そうなものだ。

 今までにヘティアですら取れていないのだ。普通能力(ノーマルスキル)でもかなりレアそうだ。


(なら…。頂こうか。)


 ヘティアはそのスキルを『模倣』する。

 しかし、得られたのは『クリティカル率UPLv2』。

 この便利な『模倣』でも完璧にコピー出来るわけではないらしい。


「おい!聞いてるのか!」


 そう怒鳴る門兵。


(おっと。ちょっと考え込みすぎたか。)


「失礼。私はフゲン殿の護衛をしているヘティアと申します。フゲン殿を迎えに、こちらに参りました。」


 すぐに演技をする。それと同時に女王の招待状も見せておく。


(どうせ要求されるだろうしな。)


「……。うむ。これは確かに本物の招待状だ。承知した。フゲン殿は入ってすぐ右の部屋に居られる。寄り道や騒ぎは起こさないように。」


 そう兵士が言うと槍を退けてくれた。

 俺は礼をしながらその先へと進む。


(俺って結構な美少女なはずなのにあの兵士達、全然動揺してなかったな。…まぁ俺の予想が当たっていればあのレイクルって人がこの家の人っぽいし見慣れてるのかな?)


 そうして家の中へと入っていく。

 兵士が言ったであろうドアの前に立っていた。

 中からは小さな話し声が聞こえてくる。邪魔をしてもいいかと迷ったがここで突っ立ってるのもなんだし思い切って中に入ってみた。


「なるほど…。それでは…。って、ヘティア?!」


 ドアを開けたらフゲンと目が合った。

 フゲンはビックリして体が固まっていた。


「よっ。もう終わったかなと思って来ちゃった。」


「来ちゃったじゃないぞ!今大事な話中なんだから…。」


 フゲンは先程まで話していた相手に目をチラチラと泳がせていた。

 フゲンのここまでの態度にその相手が只者でないことを悟る。


(いや、大事な会議中なら相手の様子を見るのも普通か?)


「私は大丈夫だ。貴殿がフゲン殿の言っていたヘティア殿かな?」


 そう言い、フゲンの方を見ていた相手がこちらを向いた。


「ッ!」


 そこから発せられる強者の雰囲気により俺は圧倒された。

 その纏っているオーラは、あの四天王達よりも強いと確信できるほどだった。


「自己紹介が遅れたな。私がフォーティス=アルバーンだ。これでも一応剣聖という肩書きを背負っている。」


 その顔をどこをとっても凛々しく、レイクルがいることからも40代そこらだと思うが一切その片鱗も見えない。しかし、その顔には覇気があった。

 フォーティスに圧倒され、自己紹介を済ませてないことに気づきヘティアは慌てて自己紹介をした。


「フゲンの護衛のヘティアです。よろしくお願いします…。」


 少し声が小さくなったが自己紹介は出来た。


「では、そこで立っているのもなんだからフゲン殿の後ろに立っては?」


 そう流され、フゲンの後ろに立った。


「大丈夫ですか?ヘティアがいても。」


 フゲンがようやく冷静になりフォーティスに話しかける。


「あぁ。もとよりもう仕事関係の話は終わっていただろ?」


「それもそうですね。」


 そう言うと二人の小さな笑い声が響いた。


「それにしても、フゲン殿はもう二人目も産まれてくるのですか。」


「いやー、そうなんですよ。」


 フゲンの顔がにやけている。


(俺に報告した時もにやけてたな。…俺はこの体だから子ども授かれないんだけど!)


「子どもって、本当可愛いですよ。そういえばフォーティス殿は妻を持たないのであられましたか。」


「…えぇ。」


 ヘティアはフォーティスの僅かな感情の揺れを見逃さなかった。


「それでは子供はいらっしゃらないので?」


「えぇ、そうですね。」


 確定だ。やはりなんらかの事情があるとみた。

 その事情が何か分からないが聞いてもいいことは無いだろう。しかし、ヘティアの好奇心はその理性に勝ってしまった。


「レイクル=アルバーン。という娘は関係ないので?」


 そう言った瞬間、俺の首元に剣が届いていた。

 フォーティスが座っている状態から剣を振り抜いたのだ。


「貴殿。それをどこで?」

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