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第4章5 出会い

久しぶりです!

 フゲンが、町長となったことにより、以前から世話になっている人達に挨拶回りに行っている。俺はフゲンから「気楽に会いに行きたいからボディガードはいいよ」と言われたので町をぶらついていた。

 フゲンを1人で行かせるのに不満はあったが、フゲンは、結構手練れであり、人族のなかでも強い方だ。それにボディガードをつけていれば、向こうに信用されていないと思われるかもしれず、付けないことにした。

 一応フゲンに監視の目をつけており危ない時にはすぐにかけつけるようにしてある。

 なにより、ボディガードよりも、俺がこのファンタジー感満載の王都を見てみたかったからだ。

 今の俺のいる通りは、商人のよくいる通りだ。

 果物屋や服屋、飲食店など、多種多様な店が盛んでいる。

 歩く度に周りから「こっちの串焼きはどうだい?」「土産を買うならこっちで買わないか?」などと、店に呼ぶために必死に呼び込みをする人達に声をかけられる。

 さっきまで俺がいた王宮付近とは雰囲気がまるで違う。まぁここは、王都を囲む壁の近くであり、門の近く、つまり商人のよく行き交う場所だ。さらには物の移動も激しいからこんなに活気になっているんだろう。

 しかし…。


(女王の政策は武力中心で、治安が悪いとの話だったのだが…)


「こっちは兵士だぞ?!だったら、この飯くらいただでいいだろ!」


 とそんな怒声が聞こえてきた。

 そちらの方へ目を向けるとある兵士が屋台の人に向かって文句を言っているところだった。

 周りの人々は目を向けても関わらないように目線も向けずに足早に去っていった。


(兵士か。)


 この国の兵達はランク分けがされている。一般兵、兵士、兵傑、兵豪、兵将、副将、将軍、そして、剣聖という感じで分けられている。

 四天王は将軍の位置にある。つまり、その上がいるということだ。今それはどうでもいいが。

 その中での兵士はあまり階級が高くは無いが、一般兵と兵士では厚い壁がある。

 この国では武力がものをいうような政策だったはずだから…


「あの、あんまり迷惑をかけ続けるようなら衛兵を呼びますよ?」


「あ?商人風情が何言ってるんだ。叩き切るぞ!」


 口論になって今にも襲いかかりそうな雰囲気だ。

 しかし、商人は兵士にも恐れずに注意をしていた。……考えても分からないので、とりあえず止めに入ろうと近づく。


《動かなくても大丈夫だと思います。》


 と、世界認識さんから言われ、思わず歩みを止めてしまった。しかし、後から俺も止めることはなくても大丈夫だと悟った。


「おい、お前。規約違反だ。逮捕する。」


 兵士の腕を掴んだのは衛兵だ。きっと通行人の誰かが衛兵を呼んだのだろう。

 兵士が衛兵を睨んでいる。


「あぁ?誰に向かって口聞いてんだ!俺は兵士だぞ!」


「お前……。田舎から来たのか?田舎はまだ呼びかけが行き届いてないのか。または法の整備が完璧じゃない?」


「何ブツブツ言ってんだ!切るぞ!」


 そう言って、我慢の限界が来たようで衛兵に向けて斬りかかっていた。

 体感時間を遅くして様子を見てみる。

 兵士が取り出した剣が衛兵の首のすぐ近くまで迫っていた。兵士とだけあって、その剣筋はなかなか鍛えられているものだった。

 種族Lvは15程度。

 衛兵はびっくりしているだけで避けられそうにない。


(はぁ……。あんまり目立ちたくは無いが、今は通行人もこっちに興味を引かれていない。なら、大丈夫か。)


 俺は兵士のすぐ近くまで行き、そこから手首をつかみさらに気絶させた。

 もちろん、衛兵に見える速度でだ。

 強いと悟られたら厄介ごとに巻き込まれそうだし。

 衛兵は唖然として俺を見ている。俺はすぐさま演技モードに入る。


「危なかったですね。商人さんも。これからは相手を刺激しないように、対処しましょう。」


 にこにこの笑顔の仮面をかぶり、当たり障りのないことを言って、そこから立ち去ろうとした。


「は、はぁ。あ!ありがとうございます!これからあなたへ礼の品を贈らなければなりませんので、身分を教えてもらっていいですか?」


(げ!身分を明かせって、デリカシー無さすぎないか?ここは断ってさっさと逃げよう。)


「大丈夫です。それにもう時間が無いので、失礼します。」


「あ、待ってください!」


 衛兵が俺を呼びかけていたが無視して、路地裏に行った。


「ありがとうございました!」


 商人のお礼を言う声が後ろから聞こえてきた。

 路地裏に行って、しばらくした後。


「えっと、ここってどこ?」


 路地裏に入って、そこから先へ行こうとしたのだが、全然道が分からず迷ってしまった。


「うーん。まぁ、屋上へ登ればいいか。」


 そう思って屋上へ上がろうとしたが、数人の足音が聞こえてきた。

 そちらへを目を向けると、明らかに悪そうな見た目の男達がいた。


「こいつは上物だ。こいつを売れば一生遊べる金が入るぜ。」


 俺の体をじっくりと舐めるように見られた。

 あまりいい気分ではない。

 幸いここは路地裏で誰にも見られていない。


(なら、殺しても構わないよな。)


 と、殺そうとしたがその必要はなかった。その前に男達数人が倒れたからだ。

 一瞬のことで俺にも見えなかった。

 そこには、可憐な少女がいた。

 赤い髪、赤い瞳、白い肌。その人ならざる者がもてる絶世の美女と呼べる美貌を持っていた。

 俺は目を奪われ動けなかった。


「あなた、もしかして私と同じ?」


 そんな予想外な一言を言われたのだった。

 突如現れた美少女に戸惑う。

 その美少女はこちらを凝視している。

 俺は、絶世の美女とも呼べるその顔を見るのに照れてしまい顔を背けてしまう。


(やべー。めっちゃ可愛いんだけど。これが現実にいるのか。前世でこんなに可愛い人はいなかった。というか、「私と同じ」って?もしかして転生者なのか?)


 俺が疑問を心に浮かべている時も美少女は依然としてこっちを見ている。

 その無言の雰囲気に耐えられず、思わず喋りかけた。 


「あのー、助けてくださってありがとうございます。お名前はなんとおっしゃるのでしょうか?」


 すぐ演技をしたが動転してしまい声が裏返ってしまった。それでも、敬語を使い何とかコミュニケーションを取ろうとする。

 それから少し考えるような素振りを見せた。


「名前は、レイクル=アルバーン。礼はいらない。それよりも。」


 そう言うと俺の横の目の前に顔を近づけた。

 その間近で見る美少女に気圧されてしまう。


「…違う?いや、同じだけど同じじゃない…?」


 と意味深なことを呟くレイクル。俺にはさっぱり何を言っているのか分からなかった。


(ま、こんな時は世界認識さんに聞いてみよう。)


《…該当情報がありません。》


 と、聞いてみたが世界認識さんからの返事は、分からない。


(これまで幾度となくこの世界について教えてくれた世界認識さんでも分からないのか。)


 これまでずっと教えてくれていたが、ここでは教えることは無かった。というか、知らない様子だった。


(ということは、この世界からの逸脱者ということか?しかし、ブローメが、この情報をシャットダウンしている可能性もあるのか。)


 あの何を考えているのか女神の顔を思い浮かべる。


(俺に何でも情報を与えないようにしているのかもしれない。あの女神のことだから何でも分かったらつまらないでしょ?って感じで情報を与えすぎないようにしてそうだな。)


 俺は、世界認識さんに聞くのは諦め、ダメ元でレイクルに聞くことにした。


「それで、レイクルさんはどういった立場の人で?」


「それは…今はまだダメ。教えられない。」


 一瞬口を閉じ考え事をしていたが、やはりダメだった。


(やはりそう簡単には教えてくれないか。まぁ、知らなくても俺の平和には関係無さそうだし、知らなくていいや。)


「そうですか。それでは私は用があるので失礼します。」


「そう。私も長居はしない予定だから。じゃ。」


 そう言って、去ろうとするレイクルを俺は慌てて止める。


「あ、あのーあれは…?」


 俺は、路上にのびているチンピラ達を指さした。

 指の先にいるチンピラ達を見たレイクルはしかめつらをした。


「えー、あなたが衛兵に渡しといて。じゃ。」


 そう言うと、あっという間に姿が消えていた。


(うーん。困ったな。とりあえずこいつらを衛兵に突き出しとくか。)


 そして俺はチンピラを持ち屋上へと飛んだ。

 衛兵に渡すために街を見渡すようにだ。

 屋上から屋上へと飛び移りながら俺は考え事をしていた。それはさっき会ったレイクルのことだ。

 美少女という点でも頭に残るのは当然だがそれよりも気になったのはあの強さ。

 ちょっとしか見えなかったけどあれは相当な強さだ。それも四天王レベルの。


(まだまだ、この世界には色んな強者がいるのか。出来れば俺と関わることがないことを祈るけど、それは難しそうなんだよなー。)


 ブローメの何らかの目的によって俺はこの世界に来た。ブローメは俺にこの世界で何かを果たして欲しくてこの世界に連れてきたのだろう。

 ならば俺の状況は、平和なほのぼの生活とは無縁の生活になる。

 あの神を見て俺は悟った。

 なんの目的も無しに動くような神じゃない。

 しかし、その目的が俺にはまだわからん。


(まぁ、まだ焦るような段階じゃない。それに、速く目的を果たして欲しいはずなら目的を俺に伝えるはずだ。)


 そんな考え事をしていると、衛兵のような人達を見つけた。

 俺はこいつらチンピラを手渡しで渡そうとも思ったが、それだと余計に人と喋ることになる。

 そう思い、瞬間移動して衛兵に気取られる前に、衛兵の前にチンピラを置いた。

 衛兵達は何が起こったか混乱していた。


(すまん。でも人と喋るのは疲れるんだ。)


 そうして俺は少し離れた場所に行き、元々の目的だった出店を堪能することにした。

 前世のりんご飴のようなものがあった。

 前世ではあまり好きではなかったりんご飴だったが、何故か買いたくなった。


(今の俺なら好みも変わってる可能性もあるし。)


 そう思い口に入れると…。


(…ッ!)


 なんだこれっ!

 はっきり言うと好みは変わってなかった。

 俺の今の姿は、前世の世界の舌と変わりはなかったらしい。

 りんご飴を捨てたくなったが、それはこのりんご飴を作った人に申し訳ないし、なによりもったいない。

 俺の手持ちからせっかく買ったのに捨てたらもったいない気がして捨てれなかった。

 我慢しながらりんご飴を買っていると、木彫りの象が売ってあった。


「なんだこれ?なーんか見たことあるような……。」


「いらっしゃい!お客さん!それに目をつけるとはいい目してるねー!」


 静かだったごつい店主がいきなり叫んで俺はびっくりした。


(急に大声を出すんじゃないよ……。)


 俺は気持ちを整え、店主に質問する。


「これは、なんの象なんですか?」


 それを聞くと、店主はにやっと笑った。


(あぁ、なんか長くなりそうだな。)


 そんな予感をしてると、さぞ待ってましたというように店主が喋りはじめた。


「よく聞いた!それは、剣聖様を(かたど)ったものだ!現剣聖様である、フォーティス=アルバーン様だ!俺がこの象を手彫りするのにどれだけの時間がかかったか……。分かるか!この象ひとつを作るのに、どれだけの労力がかかるか。」


 途中で泣きながら語っている店主を流しながら、今の話にあった、フォーティス=アルバーンという名前を考える。


(これはもしかしなくてもあれだよな。)


「店主、そのフォーティスさんには娘さんがいるのか?」


 そういうと、店主は驚いた顔をした。


「なに?!娘?!そんなことは聞いたことがないな。あのフォーティス様に娘がいるのか。奥様は15年ほど前にお亡くなりになり、そこから妾をとらなかったという話だ。その話はどこから聞いた?!」


「いやいや、ただ単にこんなに美形な人なら子がいるのかと思っただけだよ。」


「そうか。あ、おひとつ土産にでもどうぞ!」


 俺は流されるままにその木彫りの象を貰った。

 思ったよりも値段は高かった…。


(それにしても娘はいないか。)


 手に持つ木彫りの象を見ると、精巧に出来ているのだとわかる。

 その美形な顔立ちはレイクルを思い出させる。


(何やら訳アリのようだな。レイクルの存在が民衆に知られていない。面倒くさそうだし、もう関わらないでおこう。)


 そう決意しながらも、どうせ関わることになるんだろうなと思いながら、街中の探索を続けることにした。

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