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勇者6

勇者パート!

 僕は王国で寝泊まりしている宿屋に来ていた。

 僕の頭の中は一つ二つと悩み事でいっぱいだった。

 一つ目はやっぱり魔族軍の宣戦布告。

 かつて旧魔王と母上が結んだ不可侵条約。

 その約束を現魔王は取り消すといった。確かに魔族軍は人族の領地に侵入してきていたが、ちゃんと公式に侵入するというのは話が違う。

 そうなれば決まっているのは一つ。

 戦争だ。

 前世では戦争を経験したことがないが、授業で何度もダメなことを聞いた。

 だから僕は戦争なんてしたくない。

 いや理由はそれだけじゃないか。

 もう一つの悩みが、あの魔王のことだ。

 僕は今魅了の状態にあるらしい。なんと情けないことだ。

 幸い、皆は茶化してくれたり、心配してくれたりしているが、ほんとはそういうことをされる資格はない。あの時、魔王を初めて見たとき、心が躍った。

 そう、一目惚れしたんだ。

 今まで恋なんてしたことなんてなかったが、あの時の胸の高まりはきっと恋だ。

 それもあり、魔族軍との戦争もしたくないんだ。

 しかし、ここにいるみんなを死なせたくない。

 どうにか話し合いで解決できないのか。


「よう、今いいか。」


 そう許可を取りに来たのは健だった。

 俺はベットからおり部屋のドアを開けた。


「どうかしたのか?」


「ああ。今日の出来事で頭の整理ができなくてな。少し話せるか?」


 俺はもちろんいいと答え、外に出た。

 今は午前1時くらいで、酒場などの店から明るい話声が聞こえてくる。

 人に見つかっては騒ぎになるので変装をした。

 そして俺たちは人があまりいない方へと向かった。


◇◇◇◇◇◇


 結局城壁の上に行った。ここならば一般の民衆は来ないからだ。

 見張りをしている人に挨拶をして城壁の上まで来た。


「それで?話って?」


「ああ。今日の昼間のことだ。最初魔王が来たときは、俺たちの力ならば勝てると思ってた。だが、対峙してみてわかったよ。地力の差がこんなにも違うのかって。」


 そういう健はどこか顔に影が見えた。


(まずい。今日ので自信がおられてしまっている。ここはなんとかしないと。)


「なんてな。俺も別に簡単に勝てると思ってねーよ。それにいざとなれば切り札もあるしな。」


 空元気というやつかとも思ったが、目を見ても嘘を言ってるようには見えなかった。

 しかし。


「まあそうだな。でも、切り札はあんまり使いたくないかな。」


 ある出来事を思い出し安芸は声色を少し落とす。


「そうだな。あれは本当に危険になった時だけだな。」


 重い空気が流れる。

 耐えかねた健が話題を変えるように喋り始めた。


「あ、あのノエルとかいうやつは何なんだろうな。」


「そうだね。しかもあれは魔王と遜色ない力を持っていた。」


 それを聞き健は眉を顰める。


「それは本当か。だとしたら、かなりまずくねーか。」


「うん。これは一筋縄ではいかなそうだ。」


 またしても重い空気が流れる。


「あ、魔王といえば、お前魅了かかったってまじかよ。ありゃ危うく笑うところだったぜ。」


 健が明るい空気にするため話題を変えたが安芸にとって触れられたくない話題だった。


「うるさいなー。もう過ぎたことだろ?」

 

「だから言ってんじゃんねーか。もう治ったんだろう?」


 そう。魅了は治った。だが未だに顔を思い出すのは恋をしているからだろう。


「まあね。母上が治してくださった。」


「はー。それはよかったな。でもお前いいよなー。」


 安芸は何を言ってるのかわからずクエスチョンマークを浮かべる。


「エレン様だよ。あんな美人なかーちゃんいねーぞ。」


「健!ほかに人がいたらどうすんの。」


「大丈夫大丈夫。人がいないようここにきてるだろ?」


「それもそうだけど。」


「ならここなら口調を崩しても大丈夫だ。」


「そうかな」

「そうだよ」


 健とはなしていると大分気分が軽くなった。


(もしかしてこれが目的で?)


 そう思い健の方を見ると、笑っていた。


「あんまり辛気臭い顔してたからよ。」


 その笑顔はとてもまぶしかった。

 そして、自分がどれだけバカだったのかを知った。


(恋をしたから戦争をやめたい?何を馬鹿な事を考えているんだ。愉快が目的で戦争を仕掛けるような奴らだぞ?何を甘いことを考えてたんだ。そんな気持ちじゃどっちも失うだろ。)


「ありがとう。おかげで大分気が軽くなった。」


「おうそれならいいんだ!」


 安芸と健は思う存分に笑いあった。


「もう話しは終わった?」


「「うおっ!」」


 突如声を掛けられびっくりする安芸達。


「てめぇどこから現れやがった!」


「そうだよ、花。」


 名前を呼ぶと頭を掻きながら物陰から花が出てきた。


「いやいやー、二人が出ていくのが見えたから面白そうーって思ってついてきたんだけど、随分話してたからいつ話かければいいかわかんなくて。」


「そうか。全くきずかなかったぜ。で、なんかようか?」


「そうそう。エレン様が緊急で話したいから会議室に来てだって。」


「なるほど。おそらく昼間のことだろう。安芸行くぞ。…安芸?」


「あ、ああ。今行くよ。」


 そして、安芸達は会議室へと向かった。


(なんか引っかかることがあるんだが、何だろう。…今考えても分からないなら後ででいいか。)

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