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第4章2 勧誘

遅くなりました〜!

あの人との会合です!

 カレンには行かないと言ったが、フゲンのところに行っているのは、この世界に来てから何かと女王の部下にやられてばかりだし、この国の上層部がくさったのは女王が就任してからと聞いてこの目でどんなやつか確認したかったからだ。

 俺はフゲンが接客しているであろう部屋がある建物に来た。フゲン達はもう会議やら話してそうだし、俺は気配を消して部屋へ行くことにした。

 俺はフゲン部屋の目の前まで来ていた。

 中からの話し声が廊下まで響いていた。


(こんな無防備でいいのか?)


 なんて疑問が湧いたけど、周囲に人もいないし問題ないのかと思った。

 そこで俺は誰かに見られている気配がすることに気が付いた。

 それは扉の奥、部屋の中からしたものだった。


(なるほど…。通りで声がダダ漏れでも大丈夫なわけだ。)


 女王の秘密の話など誰も聞く者もいないし、聞いても女王自らが気配を察知し、粛清つもりなんだろう。


(世界認識さん、こっちを見ていたこと気づいていたか?)


《いえ、私でもあなたよりもほんのちょっとだけ早く察知しましたが、この部屋に近づくまで気づきませんでした。》


 そういう世界認識さんはどこか悔しそうだった。てか、マウントとる意味なくない?

 つまり、女王は世界認識さんよりも上のレベルにいるってことだ。

 そんなやつ、今までいなかった。

 この世界認識チートを持ってしても、戦う前に分からせられた。

 これが、この王国を武力により支配している女王か。


「…。」


 俺は覚悟を決め、扉を開けた。このままウジウジするより堂々おと女王を品定めするほうがいいと思ったからだ。ケント達を派遣してきた女王を。

 もし噂が本当ならば小細工が通じるような相手ではない。

 意を決して扉を開けるとそこには…


「客のようじゃ。フゲンよ。」


 椅子に深く腰掛けている女王がそこにいた。

 その姿からはあふれんばかりの気品が備わっていた。

 俺から見て奥に女王、手前にフゲンというような配置になっている。


「よう、ヘティア。来たのか。」


「ああ。そこにいるのが?」


「この方こそが、この国の女王、フーバ=ラリア=エレン様だ。」


 俺はそう紹介されたエレンのほうを見る。

 何やら俺を見定めるような目線を送ってくる。正直言っていい気分はしない。

 そこで俺はエレンのステータスを見ることにした。向こうがそんな風に見てくるならこっちだって見させてもらうぜ。


・個体名  :フーバ=ラリア=エレン

・種族   :鑑定不能

・種族Lv108

・以下鑑定不能


 俺はその結果に驚きを隠せなかった。

 種族Lv108という数値。俺の今のLvは39。

 この数値は決して低くはなく、この世界の軍人は大体が10くらい。

 その数値を軽く超える数値を持っているとは。

 流石というべきか。

 それにしても、こいつは本当に人間なのか?人間で108Lvなんて正直考えられない。

 種族が鑑定不能になっている点からも、人間か疑う材料にはなる。


「何やら我のことを調べているようじゃな。」


(…ばれた!?いやこいつも俺を観察してたんだ。女王であればそれもわかるか…)


「まあよい。今日は我も機嫌がいいのでな。ただ、次はないと思え。」


 初対面であれば失礼な言い方だが、その圧倒的な威圧から失礼とも言えることができない。

 しかし俺は知っている。ここで下に出れば舐められる。ここは一か八かだ!


「女王も俺のことを探っていたので。ここは貸し借りなしでいきましょう。」


 その俺の反応を見たフゲンは今にも気絶しそうな勢いで頭を押さえ後ろに倒れたのをフゲンの嫁に支えられている。


(ごめんなフゲン。でも、爆発しろ!)


 威圧感に押しつぶされそうになるがこちとら本物の神の重圧に耐えたんだ。あれ以上の威圧感があってたまるか。

 女王はそんなことを思っている俺を無言で見続けていた。

 どのくらい経ったのだろうか。

 女王が顔をほころばせた。


「ふっ。我の前でそのような態度をとれるとはの。益々気にいたぞ!」


 ふー。どうやらお気に召したようだな。

 ん?益々?


「ヘティアよ。我の部下になれ。」


 いきなり女王から提案された内容に俺は混乱する。

 部下。

 しかし俺はその内容にあまり魅力を感じなかった。

 この国の内情をフゲンから聞いてるし、俺も散々理不尽な目にあってきた。

 なので俺は断ろうと口を開こうとしたが女王に止められた。


「まあ待て。まだ結論をだすのは早い。そうじゃな…。お前が部下になるのならば我の直属の部下にしよう。」


 直属?!直属と聞いたらエリートがなるようなもんじゃないのか。そんな簡単におれをそんな重役に任命してもいいのか。


「直属ですか!?…いえ、すいません。しかしエレン様がヘティア様と会ってまだ間もないのに、そんな重要なとこに配属してもよろしいのしょうか?」


 俺が言いたいことはすべてフゲンが言ってくれた。

 俺も一応ロールプレイモードに移行してるので、初対面、ましてやこの国の王ともしゃべれるのだが。

 といううよりも、もう3年ほどたくさんの人と喋ってきたので知り合いの人なら自然に喋れるようになった。


「なに。我が力を持っている者を勧誘するのは自然じゃろ。それに、我と初対面にも関わらず物怖じせずに我に意見したのだ。その胆力を気に入ったのじゃ。」


「なるほど。」


 その意見に俺は納得がいった。

 納得がいったがまだ部下になるメリットは感じない。


「それと、お前の家族を我の名義で保護することを約束しよう。」


(なっ!)


 その提案は俺にとって最も魅力的な提案だった。

 俺がこの世界で行動する目的は第一に俺の家族の命だ。

 前はユウキだけだったが、ノエルも俺の家族になった。

 俺の力はこの世界で強い部類だとは思うが、目の前にいる女王を始め、守れないこともある。

 そんな中でこの世界でもトップレベルに強い保護を受けれるのはありだ。


「すまない。ヘティアがどう思っているか知らないが、俺はお前に残ってほしい。」


 悩んでいる俺にフゲンがそう言ってきた。

 その言葉に女王が反応する。


「我の前でそれを言うか。フゲンよ、この者の一番欲しいモノはわかっておるのか。」


「ええ。わかってますよ。それは家族だ。」


「わかっておるなら、再度問おう。我の前でそれを言うのか。我以上にこやつの家族を守れるのか。」


 緊迫した空気がこの部屋を包む。

 そこで出したフゲンの決断は、


「それは無理です。だけど、一緒に生きていくことはできる。たとえヘティアが魔族だとしても。」


「おぬしそれを知ってもなお共にいるというのか。」


 その覚悟に女王ですら驚いていた。

 俺はそのフゲンの覚悟に嬉しいと思いながらも、なぜ女王は俺が魔族と知っていたのか。それを何故見逃していたのか。

 俺の女王に対する不信感が募っていた。


「なるほど。ヘティアよ。フゲンはこう言って居るがどうするのかの?」


 俺の答えは決まっている。


「お誘いありがたいですが、私はこの町に残りたいと思います。」


「ヘティア。」


「そうかの。それは残念じゃ。我じきじきに勧誘したがそれでもだめじゃったか。じゃが、ただで帰るわけにはいかん。ヘティアよ。おぬしを王都へ招待する。元々、フゲンも王都へ来る予定じゃ。ボディーガードとして、来るがよい。」


 最後に女王がそういいこの町を出て行った。

 初めて会ったが、どうも何も考えなしに行動するような人物には見えなかった。

 この国のシステムを変えたのは何か裏がありそうだ。


(考え事はこの辺にして休もう。あの威圧感と対面して疲れた。)


 俺はフゲンに部屋に戻ると言ってこの建物を後にした。

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