第3章14 つかの間の平和
遅くなりすみません!
最近鬱気味で、なかなか執筆が出来ませんでした。
今日からは頑張っていきたいと思います!
「遅い!心配してたんだから!」
ゴループ町につき、いつもいる部屋に着いた途端ユウキからの一言はそれだった。いかにも怒ってるよと、腰に手をつけ、叱るような態度で(実際叱っているのだが。)出迎えていた。
「いやー、まだ2日くらいしか経ってないよ?」
実際、今回は時間がかかっていない。なんならいつもより早い帰宅だ。なのに何故こんなにも怒っているのか俺には分からなかった。
「そうですよ。ヘティア様が困ってらっしゃるじゃありませんか。」
そう言ってユウキを落ち着かせようとするノエルだが、なんだか俺と距離が近い。
「あのー、フォローしてもらえるのは嬉しいんだけど、なんか距離近くない?」
「そうですか?」
俺がその疑問を口にしたが、軽くいなされてしまった。
そんな様子を見ていたユウキがなにか言いたそうに口をワナワナさせたあと、
「もう知らない!」
そう言って、部屋に戻っていってしまった。
「あぁ。何があんなに嫌なんだか。」
ため息とともに俺は壁へともたれかかる。
とは言うが、実は俺は何がユウキがいやがっているのか大体検討がついていた。
俺をノエルに取られたのが嫌だったのだろう。
結構なブラコンに育った(シスコン?)ユウキならばそれで頷ける。
ちょっとめんどくさいが、放っておく方が面倒だ。
ここはフォローをしておく方がいいだろう。
「悪いがノエルここで待っててくれ。」
「了解しました。」
微笑みながらノエルは了承した。
ユウキとは7歳しか変わらないはずなんだが、こんなにも差があるのか。
7歳もかもしれないが、俺にとってはどちらも子供だ。
だがまぁ、3歳と10歳は違うか。でも、魔族の3歳は人間で言う6歳くらいはあるはずなんだけどなぁ。
そんなことを考えて俺はユウキの元へと向かった。
「ユウキ〜。何をそんなに怒ってんだよー。」
「知らない。おこってない。何もしゃべらない。」
頑なに俺と話そうとしないユウキ。
何故こんなにも話さないのか。
ここは俺が思いきって、話を切り出すしかないか。
「ユウキ。俺のことが好きなのは分かるが、喋らずにそのままずっとそうしてても何もならないぞ?」
自分で言うのは恥ずかしいが、ユウキが何も言わないとなると、俺から話を切り出すしかダメだろう。
「…!何を言ってるの!そんなこと微塵も思ってないから!ただ...。」
うんうん。これはきっと強がりだよな?俺のこと好きで構ってもらえないから拗ねてるだけだよな?
いや、それより...。
「ただなんだ?何かあるなら喋った方がいい。喋らずに気持ちが伝わっていると思うのは、それは怠惰だ。」
そこで、ユウキは沈黙した。
言うのを躊躇って。
「分かって欲しいなら話すのも大事だ。話しても無駄だと、話すことを怖がってちゃ何も進展しないぞ?」
「...!...なの。」
「なんだ?」
「初めての友達なの!ユウキを恐れもせず、一緒に笑いあったのは、ノエルだけなの。」
照れくさくて言いずらそうだったが、その殻を破り、ユウキは自分の思いを伝えた。
自分の思いを打ち明けるのは想像以上に難しいことだ。大人でも出来る人はあまりいないだろう。
誰が育てたんだか。...俺!
まぁ、俺のことが好きで拗ねた訳ではなかったようだ。...知ってたけどね!わざと言って、本心語らせようとしただけだから!
おっと、考え込みすぎたか。
「そうか。なら、それをノエルにそのまま伝えたらどうだ?ノエルも俺も、ユウキより年上だが、気持ちを読めるほどユウキのことをわかるわけではない。ユウキの友達はユウキから喋ってくれるのを待っているぞ。」
中からドアへ近づく気配がした。
そして、そのドアがゆっくり開いた。
「お兄ちゃ...」
ユウキはドアを開けた先に見えたのは顔を真っ赤にさせたノエルだった。
「ユウキちゃんがそんなこと思ってたなんて...」
ノエルは照れて体をもじもじさせていた。
「ち、ちが!」
それは違うと言おうとしたユウキをノエルは抱きしめた。
「ふふ。でもね。嬉しい。私たちは種族が違うのにそれでもこんなに真剣に考えてくれるなんて。」
ユウキは恥ずかしいのか真っ赤になっている。
「年下なのにこんなに考えさせてごめんね。それとありがとう。」
「べ、別に。そんなんじゃ。」
「いいのよ。これから仲良くなりましょ。」
俺はそれをただ見ることしか出来なかった。
そこに俺が挟まることが出来なかった。俺は何故か知らないがいたたまれなくなったので部屋から出ようとしたがノエルにとめられた。
「ヘティア様も、仲良くなりましょうね。」
「ふっ。そうだな。」
精神年齢は俺の方が高いはずなのに、何故か俺よりも余裕がある。
戦いに身を置くからか?それに伴って精神年齢も高いとか。
ま、どうでもいい。
今はこの二人の姿を平和に見れればそれでいい。
俺達に降りかかるものはこんな程度じゃないんだろうが、それでも俺はこの光景を壊したくない。
そう思い、俺はその日、3人で過ごした。
◇◇◇◇◇◇
くそ!この俺がクビだと?!あのクソ女!
俺はまだやれるはずなんだ!あの余裕ぶった顔を泣きっ面にしてやる!
「力が欲しいか?」
ああ。欲しいさ。そのためなら、俺はこの身を捨てても構わない。
◇◇◇◇◇◇
「ヘティア様にはこちらの服がお似合いですよ?その変な格好ではなくて。」
「いーや!お兄ちゃんは、こっちのがあってる!」
「ふふ。ユウキちゃんはまだ子供だから分かんないのですよ。それと、そのお兄ちゃんというのは間違ってますよ。」
「うるさい!お兄ちゃんはお兄ちゃん!ユウキの方がお兄ちゃんのこと知ってるんだから、ノエルは黙ってて!」
「このままじゃ埒が明かないですね。ヘティア様?どちらが良いでしょうか?もちろん、私ですよね?」
「ちがうよね!お兄ちゃんには私が選んだやつの方がいいよね?」
「ヘティア様?」「お兄ちゃん?」
「「どっち」ですか!?」なの?!」
何だこの状況。ここは地獄か。
ノエルはドレスっぽい服を選んで、ユウキはパーカーとズボン。
どっちを選んでも地獄しか見えねぇ。
どうしてこうなったんだ。
◇◇◇◇◇◇
数時間前。
俺とユウキとノエルで3人、俺の部屋に集まってあることを話していた。
俺達はみんな同室で過ごしているんだが…。
言っておくが俺はロリでも、ないし、まず今の俺は性別すらない。それならば一緒に寝ることも大丈夫であろう。
あることとは、これからこの町をノエルに紹介しようと話していた訳だが。
「いやです。私はヘティア様とでは無いと、絶対に行きたくありません。」
「そこをどうかなー?俺もあまり暇じゃないし、かと言ってユウキを外に出すのも気が引けるんだよ。」
俺かユウキと一緒じゃないと出かけないと言う。
俺は、この町のたった一人の用心棒で忙しいし、ユウキは狙われてるはずだから、この、俺の結界を張っている部屋が安全だからあまり外に出したくはない。
なので、ノース達に頼んでノエルを案内しようと思ったのだが…。
「私はヘティア様とがいいのです!男の人といるのはまだちょっと抵抗があって…」
その顔を見ると苦笑いしていて、しかしその奥には確かに傷ついている顔が見えた。そんな顔を見てしまったら無理にでも行かせる訳には行かない。
しかし、俺も厳密に言えば心は男なわけで、騙している訳では無いがなぜか心にモヤがかかっていた。
俺はどう返事しようか迷っていた。
「お兄ちゃん。いいんじゃない?ノエルといってこれば?」
見かねたのかユウキがそう提案してきた。
しかし、ユウキがこんな提案をするなんて…。
(ユウキにすら呆れられてるってことか?いや、流石にそんなことはないよな?)
「うん〜。しかしな〜…」
「行ってやればいいんじゃないか?」
部屋に入りながらそう提案してきたのはフゲンだ。
ノエルは咄嗟に俺の後ろへと隠れた。
「あはは〜。嫌われてんな〜。ま、仕方ねぇか。まぁ、ヘティア。お前には結構世話になったから、一日くらい大丈夫だ。ノース達もいるし、ここの町はいつまでもお前に頼ってるほどずっと弱いままじゃない。」
ここまで真剣に提案してもらったのだから、ここで断るのは向こうにも失礼だな。
実際、ノース達で充分だしな。
「そうか。…なら、ノエル。一緒に行くか。」
「はい!それと…」
元気よく返事をしたあと、なぜか言葉に詰まっていた。俺はそれを催促せず、言葉が出るのを待っていた。
「ユウキちゃんも連れて行っていいですか?」
「なんだ、そんなことか。いいよ。ユウキもいいだろ?」
「な、なんでユウキがわざわざ案内しないといけないのよ!」
ユウキは顔を赤くしながら、拒絶した。
でも、言葉ではそうでも、本心では行きたいと思ってるように見える。
「そーなんだ。なら私はヘティア様と一緒にデートしてこよかなー?」
「は、はー?!そんなのダメ決ってるじゃん!ユウキも行く!」
ノエルが見え見えの挑発をユウキにかけると、それに案の定かかって、行くと発言した。
(ノエルはユウキの扱い方をもう分かってるな。ははは…)
ノエルは口で俺とデートなんて言ったが、ユウキと一緒に行きたいという気持ちが本音だろう。
挑発するためだけに俺のことを言ったに過ぎないはずだ。
勘違いしてはいけない。
「ま、久しぶりに休憩がてらこの町を歩くのも悪くないな。」
◇◇◇◇◇◇
とまぁ、こんな経緯で町を歩くことになったんだが…
「こっちがにあう!」
「いえ、こっちです!」
両者1歩も引かない攻防に俺は、ため息をつく。
今は服屋さんに向かったところだった。ノエルとユウキの服を買うために、服屋に来たのだが、なぜか、俺の服を決めることとなり、二人ともどっちがいいかを争っている。
「二人とも、なんでそのくらいで喧嘩してんだよ。」
「喧嘩じゃない!」
「喧嘩じゃありません!」
はいはい。そんな仲良いって感じ出されてもねー。
「そうかそうか。」
「それで!どっちがいいのですか!」
「そうよ!お兄ちゃん!どっちなの!」
わ〜。どっちか言ったとしても地獄しか見えねぇ。ここはこれしかない!
「どっちも良いかな!」
これくらいしか選択が出来なかった。
これ以外に選択はないわな。
「どっちもなんてダメだよ!」
「そうですよ!それはなしです!」
(えぇ!絶対片方選んだら地獄になるじゃん!そんなこと分かってるのに選ぶわけないじゃねぇか!えっとー!えっとー!)
やべぇ。二人の視線が痛い。
何か無いのか。…
「俺は二人のどちらかなんて選べない。なぜなら二人とも俺の大事な家族だからだ!」
「「…」」
(あれ?反応が薄い?滑っちゃったかー。おい誰かこの地獄の空気どうにかしてくれよー。)
「家族。」
ぽつんとノエルの方から声が聞こえてきた。
それからして涙が出てきた。
(え、何?何かした?)
「私を家族と呼ぶまで大事にしているのですね!」
と涙流しながら感極まっているようだ。
それをなだめるユウキ。
(あれ〜?この二人こんなに残念だったけ?)
俺はそんな感想を抱いていた。
「…それより、なぜユウキちゃんはヘティア様をお兄ちゃんと呼んでいるのですか?」
とうとうこの質問が来たか。
ここで誤魔化すことは出来るが、それでもこれ以上嘘をつくのは忍びない。
「それはな、こんな見た目してるが俺は男だからだ。」
「?そんなの嘘ですよね?」
はー。やっぱり無理だったか。そんな簡単に信じれるわけないよな。
「あーすまん。やっぱりそれはなしだ。まぁ何だ。俺がお兄ちゃんと呼ばれたい特殊性癖だったわけだ。」
「…なるほど。分かりました!」
(そこはすんなり理解するんかい!はぁ。変な人認定されただろうが仕方ないか。)
こんな平和な日常も長くは続かないだろうな。
でも、それでも、俺はこの平和を守る。
「ヘティア様は変な人なんですねー!」
「お兄ちゃんの悪口いわないの!…でも、ちょっとだけ分かる。」
「おいこらー!俺の悪口を言いながら仲を深めるんじゃない!」
この二人の笑顔を守るため。




