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第3章2 守るということ。

ペースが遅れて申し訳ない!

 ユウキが泊まってる宿へと向かう。

 手にはあのダークエルフの子がいる。

 まずは、宿屋の大家にもう一部屋借りれるか聞いてみる。


「すみません、一部屋借りれますか?」


「ヘティアさん!いいですよー!」


 元気よくおばちゃんが返事をする。

 このおばちゃんはユウキのことをノース達と一緒に面倒をよくみてくれている。

 俺が仕事で帰れない時にはご飯を作ってくれたりよくしてくれた人だ。


「ヘティアさん。またユウキちゃんが怒って帰ってきましたよ?お兄ちゃんなんだから、ユウキちゃんをーーーーー」

『お兄さんなんだから、ーーーーー』


 うっ。

 なんだ、今の声。

 どこかで聞き覚えが…。


「いいですね!約束ですよ!」


「は、はい。頑張ります。」


 苦笑いで誤魔化しながら部屋へと進む。

 今の声はなんだ。

 前世の記憶?

 覚えている記憶にはなかった記憶だ。

 どうしても覚え出せない。

 ダメだ。

 今は後回しにしてユウキの元へ向かわないと。

 俺は元々ユウキと借りていた隣の部屋にダークエルフの子を寝かせる。

 ないとは思うが寝ているところに刃向かってきたら危ないからな。

 寝かせたら隣の部屋に向かう。

 ドアの前に立つ。

 なぜか知らないが緊張するな。

 ドアを叩いてちょっと中を見る。


「ユウキ?入るぞ?」


「ふん。」


 ユウキは俺を見るやいなや顔を反対方向へ向けた。

 あちゃー。こりゃ完全に拗ねてるな。


「入るからなー。」


 俺は一応ユウキに一言入れて部屋に入った。


「ユウキ。もう元気出してくれないか?お兄ちゃんが悪かったからさ。ただ、あのダークエルフって子が倒れてたんだ。それを見て無視出来るわけないだろ?」


 俺はちょっと早口で言い訳をする。

 浮気をした彼氏みたいなことしてんな。

 浮気は一番してはいけないことだと俺は思っている。


「お兄ちゃんは何もわかってない。」


「え?」


 何も分かってない?

 何が分かってないんだ?

 ユウキは、ダークエルフの子を連れて帰ったのを嫉妬してるんじゃないのか?

 俺はその言葉に何も言えず呆然としていた。


「はぁ。ほんとうにわかってないんだね。」


「何が分かってないんだ?」


「お兄ちゃんはユウキになんて言ったかおぼえてる?」


 俺がここを出てくる時に言ったこと…。

 なんだ…。


「俺が出てくる時はユウキ寝てただろ?」


 俺がそう言うと、ユウキは目を見開き、それから顔を真っ赤にした。


「そういうことじゃない!今日のことじゃない!あれだけやくそくだっていったのに!」


 怒涛の如く怒りをぶつけてくる。

 ど、どうしたんだ。

 急に怒って。

 今日じゃない?

 約束…?


「ユウキがまだちいさいとき、お兄ちゃんの声が聞こえたの。ユウキをぜったいにまもるって。だからユウキはあんしんしてねれたのに。」


 あぁ。たしかに1年ほど前かそれよりも前にそんなことを言った気がする。

 しかし、その時はまだユウキは言葉を理解出来るまでではなかったと思うんだが…。


「そういうことか。でも、約束は守っているだろ?ほら、元気に帰ってきてるし。」


「うん、まもってる。だけど、そうじゃない、そうじゃないの。」


「そうじゃない?」


 俺がそういうと、ユウキは少し考え込む様子で黙り込んだ。


「なんていえばいいのかユウキにはわかんないけど。それでもなんでユウキにいわないででてったの!」


「それはユウキに言うと駄々こねちゃうし、心配しちゃうだろ?早く処理もしておきたかったし。」


「お兄ちゃんのばか!」


 そう言うと、いきなり俺を罵倒してきた。

 どうしたんだ。


「たしかにユウキはだだこねちゃうのかもしれないけど、それはお兄ちゃんのことをおもってのこと!たしかにユウキがお兄ちゃんといっしょにいたいって気持ちもあるけど…。」


 ユウキはバサッとこちらに顔を動かし俺の目をじっと見つめてきた。

 ユウキの左右違う色の目が俺の目に焼き付いた。

 その目は今にも泣き出しそうにキラキラしていた。


「ユウキがほんとにそれでしんぱいしないとおもってるの?しんぱいするよ!だって、だって…。」


「ユウキのたったひとりのお兄ちゃんなんだもん!ユウキにはお兄ちゃんしかいないの!ほかのひとみたいにおかあさんとか、おとうさんはいない!たよれるひとは、ユウキをまもってくれるひとはお兄ちゃんだけなの!」


 ユウキは涙を流し、精神年齢が6歳とは思えないほど真剣な眼差しをして俺に訴えかけていた。


「いつもユウキのためだけじゃなくて、ここのひとたちのために働いてるお兄ちゃんはすき!ううん、だいすき!でも、もししんぢゃうかもしれないっておもったらユウキは…。」


 俺は勘違いをしていた。

 ユウキがいつも俺が依頼をこなす時、散々駄々をこねていたのは、俺を心配してくれての事だったのか。


「それなのに、だまってでていくし、なんか女の子連れてくるし、私の気持ちをかんがえてよ!」


「お兄ちゃんは、ユウキのお兄ちゃんなんだから!」

『君は、ーーーのお兄さんなのでしょう?』


 ッ!

 また、なにか…。

 ダメだ、思い出せない。


「ユウキをまもるっていうなら、ユウキのきもちもかんがえて!お兄ちゃんがいなくなっちゃったらユウキ…。」


 それどころじゃない。

 俺はユウキがわんわん泣いているところを抱きしめる。

 俺は勘違いをしていた。

 ユウキを守ると誓っていたのに。

 どこかで俺は強いから何が起こっても対処できると慢心していた。

 ユウキを守ることを強く考えすぎてユウキを考えていなかった。

 ユウキの気持ちなんて考えていなかった。

 そんなんで何が守るだ。何がお兄ちゃんだ。

 妹の気持ちを傷つけて守るなんてな。

 俺はユウキのお兄ちゃんなんだ。

 俺が心配されてどうする。

 心配させず、楽しく生きることが大事だろ。

 今日のことを胸に俺は変わろう。

 用心棒でも親でもない。

 俺はお兄ちゃんだ。

 精神面も守らなきゃダメだろ。

 誓おう。

 俺はもうユウキを悲しませたりしない。

 守るということは肉体的にだけでは無いのだから。

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