第3章1 ダークエルフ
新章です!
あれから3年が経った。
この町は3年前に比べて、多少発展した。
建物など増えた訳では無いが、民が裕福になった。
人々の顔が、3年前はどんよりとしていたのに変わって、皆明るく、先を見れる顔になった。
ドルンがいた頃とは比べ物にならない。
ドルンの部下達は、フゲンが領主となった翌日にはいなくなっており、町人達からは夜逃げしたのではないかと言われている。
町人達の怒りはあったが、フゲンが民衆を説得しその騒動は鎮静した。
これの事件からも分かる通り、フゲンは領主としてしっかりとこの町を良くしようと奮闘していた。
俺は統治とかよく分からないからあまりアドバイスなど出来なかったが、フゲンの他にも民代表の人たちと考えながら頑張っていた。
フゲンを支えようと町の皆も精一杯頑張った。
おかげで、この町の人達はだいぶ心の傷を癒すことが出来ただろうし、町の復旧も出来ただろう。
俺は何をしていたのかと言うと、冒険者の仕事をこなしていた。
冒険者と言っても、ダンジョンなどに向かって行って宝を見つけてくる、のようなものではなく、お使いみたいな感じだ。
近くで発生している魔物の討伐や、ほんとにお使いをすることもあった。
この町の特産物はゴループと言う、ぶどうみたいなというか、ぶどうが特産物だ。
なぜかすっているのか分からないが、それのワインなどが有名らしい。
で、それを輸送しているのだが、この魔物の巣窟の森はそれを狙い襲ってくるのでなかなか他国との交易が進まなかった。
距離もかかるしな。
そこで俺が防衛したりなんかしたら、供給を増やすことが出来たので、需要を満たせるようになり、この町の利益が大きく黒字になった。
ま、俺のおかげって訳だな!
それと、なんとフゲンが結婚をした!
しかも、子供ももう授かっている。
…俺なんか彼女もいなかったのに…。
まぁ今の俺は、出来ないんだけどね…。
こほん!
俺の話はいいが、フゲンが結婚した。
めでたいったらありゃしない。
奥さんは町の代表として勤めていた人だ。
馴れ初めは俺からじゃない方がいいだろう。
んで、俺の妹、ユウキが3歳になった。
魔族は歳のとるスピードが人族より早いので、人間で言う6歳と一緒だ。
あれから、あまり亜空間に入れることをしてなかったので、順調に成長しただろう。…いや、あれを順調と言っていいのか。
順調と言うべきだろう。
今頃俺がいないことに駄々をこねているだろうが。
それはノース達に任せるが。
ノースというのはフゲンの部下でノース、イース、ウースの3人だ。
俺を監視していた3人だ。
今は、俺がフゲンに頼み、俺がいない時の面倒を見てくれている。
多少、ブラコン?シスコン?気味になっているが可愛い妹なので俺は全然気にならない。
今は討伐依頼で、出かけているが、帰ったらお土産を買ってやるか。
そんなこんなで3年が経った。
前世の俺からしたら3年は長かったけど、今の俺からしたら短かった。
数百年を生きる魔族だからか?
そんなのは分からないが、俺はこんな暮らしを数百年続けよう。
その暮らしのためにも今はこの依頼を完遂させよう。
今回の依頼は、魔猿の討伐だ。
一体一体は弱いが、群れやすい。
群れとなった魔猿はその連携で格上でも追い込む。
との『世界認識』さんの情報だ。
あ、ちなみに俺のステータスは変わっていない。
これ以上上げるのは強い相手と戦わないと難しい。
種族Lvもなかなか上がらないので、能力もLvが上がらない。
それほど平和ということで俺にはどうでもいいが。
そんな考え事をしているうちに目の前に群がっている魔猿達がいた。
こちらに気づくことはなく、魔猿達は一点に集中している。
ん?何かを囲んでいる?
あれは…。
人?
今にも腕を引きちぎられそうな人がいた。
俺はすぐさま近づき、『土魔法』で、土の槍を飛ばし、魔猿達を排除した。
俺からしたらこいつらは弱いので苦戦することは無い。
この3年で、簡単な『土魔法』ならできるようになった。
なので、世界認識さんと合わせて同時魔法を使えるようになった。
そんなことはいいが、魔猿達に囲まれていた人を見る。
体はボロボロで、服も布一枚だ。
年齢は6歳くらいで、女の子だ。
よく見ると、耳がちょっととんがっており、肌の色は小麦色で金色の髪が半分くらいまで伸びている。
これは…。
《種族、ダークエルフと思われます。》
やっぱりか。
この状態で、ダークエルフ。
どうにも嫌な予感がするがほっとくことも出来ない。
俺はこの後面倒な事になるだろうと思いつつもダークエルフの子を連れて帰ることにした。
町に帰る前に能力『創造』で、お風呂場を出し、周りにバリアをはる。
服も体も汚れているからな。
多分女の子だろうから綺麗にした方がいいだろう。
しかし、仮にも性別が無いとはいえ、無抵抗の女の子の服を脱がすのは…。
いや、ここは仕方が無いと割り切ろう。
布一枚だが、まずはこれを脱がす。
おぉ…。
子供だからまだ発育していないあんなところや、こんなところが見えてしまい、思わず目を背けてしまう。
前世でも今でも、妹と一緒に風呂に入ったりしているが、慣れるものでは無い。
前世は、流石に小学生までだったが。
子供の体に欲情する特殊な性癖はないが、それでもなぜか気まずかった。
まずは、全体的洗い、シャンプーとボディソープを『創造』で作り、隅々まで綺麗にする。
しばらくして、洗い終わり、体を吹き、髪を乾かす。
体についていた泥を落とし終わった。
服だが…。
この布一枚はどうかと思うから、『創造』で、服を作る。
服は…よく分からないから、俺が子供時代に着ていた服を模して作った。
ジーンズのズボンに白色の薄いパーカーだ。
ちゃんと下着を作って着せてから、それを着せる。
ちなみに俺はブラジャーを着けている。
急に何を言ってるんだと思うだろうが、それが本当だから仕方ない。
一応、性別が無いにしても体の作りは女性なので、ブラは着けてないと胸の形が崩れる。…と思う。
そこは全然知識がないが、しておいた方がいいだろう。
ブラの上からタンクトップの薄いシャツをきて、その上からコートを着ている。
っと、俺の服の話はいいが、この子に服を着せた。
そして、俺はゴループ町へと向かった。
風呂場は、きちんと治し、EPに変えて俺のEPに取り込んだ。
ん〜?
何かを忘れているような気がする…。
なんだっか。
モヤモヤする……。
ま、いっか。
ーーーーーーーーーーーーー
ゴループ町の手前に来ていた俺は、何故か正座をしている。
ダークエルフの子は、俺の膝の上にいる。
何故こうなった!
全ては俺の目の前にいるユウキのせいだ。
「お兄ちゃん!どうして、なにもいわずにでていくの!」
ユウキは、ぷんぷんで激おこだ。
死語すぎるか。
この2年で、ユウキは舌足らずだが、流暢に喋れるようになっている。
ユウキは、凄いなー。
ぐすんっ。
って感動している場合じゃない。
お兄ちゃんと言っているのは、俺がずっとお兄ちゃんと呼べとノース達や、フゲンに言っていたからだ。
自然と、俺をお兄ちゃんと呼ぶようになったわけだ。
心は、前世のままだからね。
よし、早くお兄ちゃんとしてしっかり説得させないと。
「お、おい。仕方ないだろ?討伐依頼がすぐに達成してくれって書いてあったんだからさ?」
はい。
もうこの時点で俺とユウキの上下関係が分かりますね。
もう将来が心配だよ。
いや、成長したら俺離れもしてくれるだろう。
「なら、すぐにたっせいしてよ!たっせい!」
言葉の意味をわかっているのか分からないが、すごい勢いだ。
ユウキの話している言語は、この世界特有のものだ。
俺は日本語を話しているつもりだが、声にはこの世界の言語に聞こえているらしい。
「わ、悪いな。でも…。」
「というか、この人はだれ!なんでお兄ちゃんといっしょにいるの!」
「この子はな、魔物に襲われていたんだ。だから…」
「そんなことしらないもん!お兄ちゃんのばか!」
「あっ…。」
そんなことを言い、足早にどっかへ行ってしまった。
これは拗ねてるな。
はぁー。
説得するのが大変だ。
それより、俺はノース達に頼んでいたんだけどな。
何故ここにいたのか。
はぁ、まさか…。
「英雄様も妹にはたじたじか。」
そんなことを言い、俺の前に笑いながら現れるやつがいる。
「お前かよ。」
そこに現れたのはフゲン。
2年で俺はフゲンとだいぶ仲良くなった。
俺がロールプレイなしで喋れるくらいには仲良くなれた。
だが、仲良くなった弊害で俺をよく茶化すようになったのはうざい。
「はは。ユウキちゃんが、会いたがってたからな。教えてあげたんだ。」
「はぁ、そうかよ。」
こいつのイタズラは精神的にきつい。
俺がユウキに嫌われたらどうするんだよ!
そんなことされたら、死んぢゃう。
ユウキ守ると決めたから死ぬわけないけど。
「それよりも、その子。ダークエルフだろ?」
さっきまでの空気とは違い、緊張した空気が流れる。
「あぁ。ダークエルフってのはこの世界で極普通のものなのか?」
「いや、ダークエルフは、ティストス森林にしか生息していない。それ以外ではいないな。ダークエルフは人との関わりを拒んでいるからな。だが…」
そこで言葉が詰まる。
様子がおかしい。
「どうした?」
「…あぁ。ダークエルフを奴隷にする目的としたダークエルフ狩りがある事がある。ダークエルフは、見た目の容姿や、戦闘能力が良いこともあり高値で売られる。」
言いづらかったのはそんなことがあったからか。
どの世界も奴隷というものは癪に障る。
だが、戦闘能力が高いのならば、簡単に捕まるようじゃないだろうが…。
「お前の思っている通り、普通は簡単じゃない。しかし、いつも気を張るやつなんて居ない。その隙をつき、一人だけさらったりするんだ。」
なるほどな。
そういうことか。
という事は、この子もさらわれたが、さらったやつが、魔物に襲われ置いて逃げたって訳か。
どっちもクソだな。
「とりあえずこの子は俺が預かる。」
「あぁ、そうだな。お前なら色々と大丈夫だろう。」
やはり、嫌な予感があるのは間違えではなく、これから色々面倒な事に身構えることにした。
しかし、俺はそれを考えている暇はないかもしれない。
ユウキを説得しなきゃ!
これの件よりも、そっちの方が苦難する気しかしない…。




