閑話 フゲン
急にこいつが……ヘティアと言ったか。
ヘティアの様子が変わったと思ったらその様子も戻り急に寝た。
ヘティアに何が起こっているのか分からないが、俺に何かができるわけでもないからな。
それにこいつが魔族…。
今は人族と魔族は休戦中だ。
もし魔族だとして、何故こっちの領にいるのか。
「隊長、お疲れ様です。」
そう声をかけてきたのは結界を張ってくれていた部下3人。
「お前達こそな。」
「いえ。それより……ドルンが消えましたが、これからフゲン様が領主になるということですか?」
あぁ。
そうだった。
悪魔に邪魔されたが、元々ドルンを領主の座から降ろすことが目的だったんだ。
そのドルンは死んでしまったが。
ドルンを領主から降ろすには力づくでもとおもっていたが、実際奴が死んだと聞くと、なんとも言えない気持ちになる。
腐っても俺の唯一の肉親だったしな。
それに…。
領主になる前までは普通の父親だった。
母が死ぬまでは。
それから狂ってしまったような気がする。
前領主が死ぬまで、優秀な参謀として活躍していたのだが…
いや、それを考えるのはやめだ。
今は今の事を考えないと。
「そのつもりだ。」
「了解しました。それと…。そこの者は排除した方がいいのでは?」
「貴様。それを本気で言っているのか?」
俺は部下の提案を咎める。
だが、何故このような提案をしたか分かっている。
「お気に障ったならすみません。ですが、あの悪魔が言うには魔族。その力が私達に向く前に今殺しておくべきでは?」
他の部下たちは何も言わない。
この意見に同意なのだろう。
俺もその意見については理解出来る。
こちらに向けば被害は尋常ではない。
恐らく人族の脅威となるだろう。
しかも、この地には女帝が人族の領に張ってある結界で魔族は力が弱体化される。
それであの強さなのだ。
それに、雰囲気が変わったあの時、あれは完全な魔族の目つきだった。
あれが気まぐれだったらいいのだが、正常であればなおさら人族の脅威だ。
だが、俺の感情がこいつを死なせたくないと思っている。
会った時から、喋った時までこいつは人間の様な感情が見えた。
「あぁ。だが、お前らも分かると思うがこいつは友好的だった。それ以外は何も無い。死なせたくないのは俺の感情だ。個人的な感情だがそれしか俺には言えることがない。」
「隊長がそう言うならそうしましょう。以前からも、そしてこれからも私達は貴方について行きます。」
ふっ。
もう何も言うことないな。
信じてついてきてくれる。
それだけで俺の心を支えてくれる。
さっ。
方針も決まったことだし、宿屋に連れていくか。




