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第2章8 VS悪魔

「ふむ。少々動きにくいが、体があるだけマシか。」


 そいつはドルンの面影を感じさせず、全くの別人となってしまっていた。

 黒い髪、黒い瞳、黒い翼、黒い尾。

 体のほとんどが黒いそいつは人間の青年のような格好をしている。

 なぜ、人間の体なのか疑問に思ったが、肉体を受肉した元の生物の姿になるらしい。

 だから悪魔と言えど、虎だったり、猫だったりしたりもするらしい。

 基本、悪魔は現世に出ないらしいけど。

 服は、さっきまでドルンがきていたのとは別に、黒いコートを羽織っている。

 おい!俺の服装と被ってんぞ!

 翼と、尾以外は人間と何ら変わりがない見た目だが、その魔気量と、魔気の質は圧倒的。

 この間戦った火竜よりも強い。

 そう感じられるものを持っていた。

 この間から、ポンポンインフレしすぎだろ!

 ステータスを確認してみる。


・個体名 :鑑定不能

・種族  :上級悪魔

・種族Lv鑑定不能

・ステータス鑑定不能

・取得能力鑑定不能


 うん!種族しか分からなかったね!

 てか、こいつ上級悪魔なんだけど?

 悪魔ですら珍しいのに上級?

 はは。

 笑えねー。

 気を紛らわす為に、隣を見る。

 フゲンと、その部下二人はその気迫に押されながらも意識ははっきりと悪魔に向けられていた。

 流石といったところか。


「完全に適合した訳では無いが、この久しぶりの感覚。実に気分がいい。」


 と自分に酔いだした。

 悪魔が手を上げようとする。

 俺達の間に緊張が走り、咄嗟に構えをとったがそれは無意味だった。

 そいつは、ポーズを取り始めた。

 は?

 何を言ってるか分からないだろうが、本当なんだ。

 これは所謂(いわゆる)ナルシストなのかな?

 いや!何かの魔法の儀式なのk……


《いえ。あれはナルシストで間違えないと思います。》


 もしれないと言おうと思ったら世界認識さんが否定しちゃった。

 うん。

 なんだろう、さっきまでの緊張が嘘みたいだ。

 ただ、油断は出来ない。

 こいつの力は本物だからな。


「おい。アイツをどこにやった?」


 静寂を破ったのはフゲン。

 おい!こっそり帰ろうと思ったのにこっちに気がつかれたじゃないか!


「ん?まだいたのか。こいつはもう死んでいるぞ?正確に言えば、精神が死んだと言うべきだな。」


「なっ!」


 フゲン達が驚いている。

 俺は世界認識さんから聞いていたから驚きは少ないが、アイツらにとっては驚くべきことなのだろう。


「貴様は驚かないのだな。ふむ。貴様……。なるほど、どうりで俺に協力を要請してきたわけだ。」


 なんかこっちを見て興味持たれたんだけど。

 意味深なこと言ってるし、嫌だわ〜。

 ほっといてくれよー。


「久しぶりの体に、私の相手も出来る魔族。俺は恵まれているようだ。」


 その言葉に対し、フゲンが俺をチラリと見てくる。

 あーあー。

 俺が魔族ってフゲンにバレちゃったよ。

 何余計なことしてんだ!


「魔族?」


 独り言か俺に言ったのか、あいつに言ったのか分からないが、言葉がこぼれた。


「あぁ。そこの奴は貴様らと違って人間ではなく魔族だ。それも上級のな。なぜツノなしか分からないし、魔族領にいないのか分からないが、俺の相手にぴったりだ。」


 そんな事を言ったらフゲンが驚くだろ!

 案の定俺をじっと見つめてくる。

 余計なこと言いやがって!

 まぁ、我慢しとこう。

 相手もまだ攻撃態勢じゃないしな。


「そうか。だが、こいつよりも今はお前だ。お前はこいつとは比べ物にならないほど危険と俺の感が言っているがここで見逃す訳には行かない。」


「ふっ。お前では俺の相手にはならないだろうが、準備運動にでもするか。」


 そう言うと、フゲンと部下二人、それに悪魔が戦闘態勢に入る。

 俺は参戦はせずに状況を俯瞰(ふかん)することにした。

 悪魔が手を広げるとそこに黒いモヤが出る。

 それが何かの形をとっていき、黒いオーラを纏った槍になった。


「さぁ。来い。」


 悪魔との戦闘が始まる。

 フゲンが何かしらの能力を使い一気に距離を詰めた。

 まぁ、遠距離があるかも分からないし、槍の有利な間合いで戦いたくないだろうからな。

 しかし依然として悪魔は動かない。

 フゲンに遅れて部下二人がサイドから魔法を飛ばす。

 あれは光魔法の聖光槍。

 中級のLv7か。

 悪魔にはやっぱり光属性が強いのか?

 そしてフゲンは刀に何かしらの力を付与した。

 ありゃなんだ?


《あれは能力(スキル)属性付与です。》


 なるほどね。

 属性付与とかいうのもあるんだ。

 付与したのは光属性。

 サイドから魔法で攻撃して、前からはフゲンが攻撃をする。

 だが…。


「いい攻撃だが、俺の後ろががら空きだぞ?」


 そのまま悪魔は後ろへと下がる。

 俺はそうなるだろうと思っていた。

 が、俺よりも戦闘経験があるであろうフゲンがそれを分からないはずがなかった。

 後ろから聖光槍が飛んでくる。

 悪魔は気づかなかったのか、それをもろに食らう。

 そこで気づく。

 俺を監視していたのは3人であったと。

 俺の記憶からも存在を消す能力!

 こんなの強すぎんだろ!


《ただし、代償として、ステータスの伸びが低くなり、他に能力を持つことが難しくなります。》


 ただ、力があるわけでなく代償もあるということか。

 しかし、3人目の魔攻は1000ちょい。

 普通だったら強いが、これであの悪魔が致命傷を負うとは思わない。

 俺はカレンとユウキを亜空間にやった。

 俺の勘がこの戦闘が激しくなると思ったからだ。

 俺が考え事をしているうちにフゲンが悪魔へと突っ込む。

 刀で切り刻んだ後、光属性の魔法を打ち込んだ。

 すげぇ。

 だけど。


「今のはいい攻撃だったぞ?が、所詮はその程度か。」


 バラバラになった体がまた元の体になった。

 なんだ今のは?

 治癒魔法でも、回復魔法でもない。

 元から体がなかったようだ。


《悪魔は実際は肉体がないモノです。ですから、肉体が無くなったとしても、肉体の核が破壊されなければ肉体が元通りになります。》


 げ。

 厄介だな。

 だが核を破壊したらいいのだろ?

 さっきみたいに木っ端微塵にしたけど格が破壊されてないのか?


《核とは原子並みの小ささです。それに、あの悪魔であれば核を動かせることが出来るでしょう。》


 ふーん。

 というか、あいつって何者?

 そんな強い悪魔がゴロゴロいる訳でもないだろうし。


「お前は何者だ?上級悪魔であることは分かっているが、それの倍以上は力があるとみた。そんなやつが名前無しの悪魔なわけが無い。誰だ?」


 フゲンも俺と同じ疑問にたどり着いたらしい。

 悪魔がいきなり笑いだした。

 うわっ!

 びっくりしたー。


「どうやら、俺の力は隠せていなかったようだな。俺の名前か?俺の名前は、傲慢の悪魔。ルシファーだ。」


 ルシファー?!

 前世でも有名な悪魔?!

 しかも七つの大罪のひとつってことはその強さは計り知れない。

 能力でも七つの大罪シリーズは強いって聞いてるし、それのつ悪魔ってことは強いだろ。

 絶対。

 悪魔の名前が日本と同じなのは偶然なのか?

 偶然とは言い難いが。


《それは、悪魔がどの世界も行き来出来るからでしょう。七つの大罪の悪魔ともなればどの世界でも有数の力を持っているのでしょう。》


 まさか、前世が関係してくる敵が現れるとはね。


「ルシファー?……まさか、伝承に伝わる悪魔の頂点!」


 フゲンが驚いている。

 どうやらこっちでも有名なやつらしい。


「ふふ。まぁ、そんなのはどうでもいいだろう。早く続きをやろうではないか。」


 静観はここまでにしとかないとな。

 え?

 出るの早いって?

 いや、フゲンを見殺しにする気は無いからね。

 しかも、まだルシファーが温まってない内に倒した方がいいだろう。


「お?てめぇもやるのか?意外と早かったな。」


「今のうちに倒した方が良さそうだったからな。」


 ふー。

 集中しろ。

 相手は格上だ。


「俺も手伝う。3人は、被害が出ないように結界を貼ってくれ。」


「了解!」


「はは。俺をどのくらい楽しませてくれるのかな?」

「ふっ。そんなものか?お前の実力は!」


 あれから俺とフゲンは攻撃を続けているが全くルシファーに効いている様子はない。

 ことごとく相手に邪魔される。

 どうするか。


《私に考えがあります。もし、次ルシファーに隙が出来たら体の所有権を私に譲ってください。》


 と、世界認識さんが話しかけてきた。

 世界認識さんが話しかけてくれるのは初めてだった。

 世界認識さん!

 とうとう話しかけてくれたんですね!

 ぐすっ。


《……》


 あ、すいません。

 わかりました。

 もし隙が出来たら渡します。


「お前らの力なんて紛い物なんだよ。なんて言ったって神が渡したものだからよ。俺は違う。この力は俺自身の力だ。譲ってもらった力で本物の力に勝てると思ってんのか?」


 ん?

 そうか。

 前世では、能力なんてものはなかった。

 俺の力だと思っていたが、この世界の神が、何かしらの目的で能力というていで力を与えたのだろう。

 だが、悪魔は違う。

 前世でも有名なほど、力を持っているのだ。

 自身で作り上げた力なのだ。

 確かに、それでは対抗できないか。

 だが。

 世界認識さんに考えがあるなら大丈夫だろう。


「そこの人間は予想通りだとして、そこのお前。」


 俺?

 急に止まって俺に指をさしてきた。

 なにか狙っているのかもしれない。

 俺は止まって様子を見ることにした。


「あぁ。ガッカリだよ。上級魔族なんて、滅多にいないのに産まれたばかりか。そんなんじゃ、俺には勝てねぇよ。」


 なんか勝手に期待されて失望されてるんだけど?

 それってなんかイラつく。

 前世でもそういうのあったけどその時も俺はイラついた。

 自分で自己完結してんじゃねぇよ。

 勝手に失望するくらいなら、最初から期待すんな。

 そう言いたいけど言えなかった。

 前から俺は言いたいことを言わず溜め込むタイプだったからな。

 だが、前世は終わり、今ある命は前のまんまじゃいられない。


「何勝手に期待して勝手に失望してんだよ。お前がそういうタイプだったなんて。なに、お前が張合いのない奴だっから本気が出せなかっただけだ。」


「ふっ。はははははは!いいねぇ!俺は好きだぜ?勝気なやつはよ!」


 ついつい言ってしまった。

 ルシファーに火をつけてしまったことは否めないが、仕方ない。

 世界認識さん!

 一緒にがんばりましょう!


「俺は蚊帳の外か?」


 その声がした瞬間、ルシファーの腕が切り落とされた。

 俺ですら認識が遅くなるそのスピードの剣技をルシファーは難なくと避けたのだ。

 しかし、それでも腕は持っていかれた訳だが。


「ちっ。俺としたことが。」


 ルシファーが腕を治そうとするのが見える。

 瞬間、俺はルシファーへ『高速移動』を使い一気に間合いを詰めた。

 これは俺も再生を使えるから分かるのだが、再生を使う瞬間意識が腕にいく。

 その時間は刹那しかないのだが、それでもその刹那は無防備になる。

 俺はそれを見逃さずに一気に間合いを詰めた。

 そして繰り出すのは居合切り。

 俺は世界認識さんに体の所有権を渡し、攻撃を頼んだ。

 そこで世界認識さんが選んだのは居合切り。

 抜刀をしながら放つ居合切りは、瞬間火力は抜群。

 流れるように放つその技は極限の集中を必要とする。

 『土魔法』であの波動砲を撃った世界認識さんならばその居合切りは誰にも止められない。


「『属性付与・光』」


 んん?

 まさかの、フゲンの属性付与を模倣(コピー)していた。

 そして繰り出される居合切り。


「がっ、はっ。」


 ルシファーの体が真っ二つになる。

 しかし、それでは倒しきれないが…?

 世界認識さんは、俺の視覚に捉えきれないスピードで切り刻んだ。

 まるで、切った物が花吹雪のように粉々になったみたいに。


「『剣技・花吹雪』」


 そして、ルシファーの体は跡形もなく消えていった。


『ちっ。せっかく肉体を貰ったのによ。ただの剣技なら再生出来たが、属性付与までされたらたまんねぇぜ。それより、剣技は、そいつの力だが、お前の能力。それは紛い物じゃねぇ。本物だ。どうして本物かは分からないが、楽しみが出来たな。』


 と言い、ルシファーの気配は消えた。

 意味深なことを言い残したが、これで脅威は去った。

 Lvは、ルシファー本体を倒した訳では無いので上がらないが、問題ない。

 フゲンが何かを言いたげな顔をしている。

 ま、親が死んだことには変わりないからな。


「……。これは仕方の無いことだ。そうだ。」


 どう見ても大丈夫じゃないな。

 触れても意味ないから触れないけど。


「それより、お前の力は何だ?魔族と言っていたし。」


 あー。

 どうしよ。

 説明しろって言われても、死んで気がついたらこの世界にいましたって言ってもな。

 んー。


「ふっ。戦闘以外は喋らないんだな。」


 え?

 戦闘以外も喋れるけど!

 喋ろうと思わないけど!


「まぁいい。これからどうするんだ?」


 と聞いてきた。

 んー。

 その前に。

 俺は塔の根元に近づく。

 それに手を当てる。


《経験値を吸収しています。更に、この経験値収集システムを解除しました。》


 おぉ。

 ここ数年の経験値が俺に…。


《種族Lv34になりました。》


 うわぉ。

 これえぐいな。

 って、え?


「どうしたんだ?一気にお前の気配が…。」


 ふふふ。

 あはははは!

 最高だ。

 気分がいいなぁ。

 まずは……、は?


《仕方ないですね。》


 意識が戻ったと思ったら急な眠気が。

 あーあ。

 これからどうしようかな。

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