勇者 2話
魔王がいた事実に驚いている各国の代表者達。
時間が経ち、各々その現実を認識し、状況を把握する。
(なぜスピアが…。ここには特殊な結界を施しておったはず。対スピアの結界をじゃ。アベルも魔法やそういうスキルを持ってなかったはず。ということは……。)
(こいつが魔王だと?何も感じない…。そこら辺の少女と見間違えるくらいだ。たがそれが逆に恐ろしい。勇者や、我が帝国最強の個でさえ、わずかに力が漏れるというのに…。)
(魔王…。これからは何も感じません。これが本当に強いのでしょうか?不気味ですね…。だが、これより圧倒的な魔気を感じるやつと戦ってきたのです。臆することは無いでしょう。)
(やはり姫様の言うとおりじゃったか…。)
四者の反応な様々で、そして。
「スピア。何しに来たのじゃ。それに、どうやって我の結界を壊したのじゃ?」
エレンが静寂を破り皆の注目の的である魔王に問いかける。
それに勇者は疑問を持つ。
(なぜ名前で?母上とどんな関係なんだ?)
そんな疑問は誰も答えられず。
「ちょっと…ーー、まだーー、はやーーて。まー、急ーー。」
しかし、魔王は一人でぶつぶつと言っていてこちらの声が聞こえてないようだ。
それに対してエレンは眉をひそめる。
(話を聞けと言いたいところじゃが、あやつが機嫌を損ねたらちとめんどくさい事になる。この国、あるいは人類が滅ぼされかねん。)
またもや、誰もが身動きが取れない状態となった。皆がエレンと同じ思考をしていたからだ。
しかし、まだ生まれて15年程の勇者達。
エレンとスピアの戦いなど、人づてにしか聞いたことしかなく、ましてや、勇者という正義感が見逃す訳にはいかなかった。
そうなると、次の行動は必然だった。
「そこのあなた。勇者である僕を前に魔王などと口にした自分を後悔するんだ!」
そうカエサルが言うと、後ろに控えてた勇者の仲間達も一斉に身構えた。
「馬鹿者!スピアを刺激するでは無いわ!もし興味が湧いたら…。」
「へぇ〜?」
エレンの懸念は奇しくも当たってしまう。
「ちっ。どうにかしないとな。」
そう考えたエレンはスピアに顔を向け、
「スピア!そやつの言うことは嘘じゃ!勇者でもー」
「エレン?そんなに必死に隠さなくてもいいのに。私の能力ですぐ分かるのよ。エレンも知ってたでしょ?」
(ちっ。忘れてたがそうであったな。焦りすぎたか。)
「そうじゃったな。じゃがどうする?貴様の能力でもわかる通り、こやつは勇者じゃ。しかしその後ろの者も目を向けてみ。」
「うーん??」
エレンの言葉にスピアは言われたとおり、そちらに目を向ける。
「聖騎士、に賢者、暗殺者、格闘家、侍、上級魔法使い、戦士、盾戦士、狙撃者、上級回復術師、精霊使い。わーお。様々な職業のオンパレードやね。しかも全員、その職業の希少能力。そして、勇者という超越能力。なるほど、これは少々手こずりそうね。」
「少々?あまり僕達を舐めてもらっては困るな。」
そうカエサルが言うと、後ろに控えてたものたちが前へ出る。
「カエサル様の出番はないぜ。俺らが相手だ。」
「皆…。気持ちは嬉しいけど、呼び名を…。」
「まぁまぁ、この場だしこれでいいじゃないカエサル様?」
「リーン…。」
勇者が仲間達の友情を再確認していると、スピアの冷ややかな声が聞こえてきた。
「すいません〜?友情ごっこは後にしてもらってもいい?やるなら全員でも構わないわよ。」
「俺らを甘く見るなよ!」
そう言い、勇者一行は魔王に襲いかかった。




