俺と親友の栄光
夏祭りが終わり帰宅する。
ふとスマホを見ると悟から一通のメッセージが届いていた。
『勝ったぜ! 次は地区大会決勝。甲子園連れてってやる!』
そんなメッセージだった。
とても地区大会決勝まで駒を進められるほどの戦力じゃないし何かの冗談だろうと思って試合結果を確認するとしっかりと勝っていた。
5-4というギリギリなスコアだ。
本当は今日準決勝を見に行こうと思っていたのだが悟に「俺は必ず勝ち進む。甲子園に行くまで待っててくれ」と謎の自信を持ちながら言っていた。
だから、俺は素直に従って行くのをやめた。
まぁ、それで実際に勝ち星持って帰ってきちゃうんだから凄いよな。
インターネットで悟の名前を調べてみるとポツポツと記事に始めていた。
そりゃまあ公立高校の弱小野球部を地区大会決勝まで連れていったエースだから注目を浴び始めるのも当然と言えば当然かもしれない。
実際問題、悟は既に今年の目玉ドラフト生の居るチームを倒したりしている。
『弱小の星芝山』だの『流星の如く現れた芝山』だのとドラフト予想サイトには書かれている。
きっとこのまま駒を進め甲子園に行ったらプロ野球という道も夢じゃなくなるのだろう。
ロマンだらけだ。
だが、人生そう上手くいかない。
野球ってのは何があるか分からないのは知っているからどんでん返しがあったって驚きはするが疑いはしない。
でも、運ってのは常に味方してくれない。
あと一歩、あと少しということころまでは運が味方してくれるがそれ以降は運は味方してくれなくなる。自分の力がどれだけあるか、自分の力をどれだけ信じることが出来るか。
それに限る。
そして、今の悟達は明らかに運が味方をしている。
じゃあ、それがいつまで続くのか。
決勝まで駒を進め甲子園という夢を現実にしかけている今運が離れていく。こう思うのが普通だろう。
申し訳ないが次の試合勝てるとは到底思えない。
勝って欲しいとは思うし甲子園に連れて行って欲しいとも思う。
だが、現実はそう甘くない。
現実って挫折大好きだからすぐに夢をぶっ壊し本来の現実を突きつけてくる。
途中まで夢を見せておいてそんなことをしてくるのだから性質が悪い。
『次の試合観に行くから。よろしく』
だから、俺はそう送信した。
別に俺たちはまだ2年生なのでまだ来年もある。
だが、来年も同じようにこうやって決勝に来れるとは限らない。
決勝という注目の場面で投げる悟が見たい。
なので半強制的に見に行くことを決定した。
せっかくだからあの4人も誘っておこう……
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