俺と花火と
姉貴が戻っきてたタイミングでどかんと外から鳴り響く。
近くの老舗が大爆発したわけでも、交通事故があった訳でもない。
それには大きくて色鮮やかな炎がパッと光すぐに消えていく。
その花火を皮切りに次々と絶え間なく上がっていく。
打ち上がったと思ったらすぐに消え、また違うものが打ち上がりそれもすぐに消えていく。
「鎌ヶ谷くん含めてこうやって花火を見るのは久しぶりね」
花火の爆発音以外静かだった中雪はそう言葉を漏らす。
「そうだな」
「これもいつか思い出としてふと思い出すのよね。この花火も今日の祭りも。全てを」
「あたしもそうなのかな」
「そうね。桜花も楓も夏海も鎌ヶ谷くんも皆そうよ」
雪がそう口にするとまた静かな空気が流れる。
花火に見蕩れ、みんながみんな口を開かない。
俺はここよりも外の空気を浴びながら花火が見たいと思いベランダに出て花火を見る。
外で見ているカップルや家族たちの声だったり、屋台で食べ物を買ったりしている人たちの声も聞こえてくる。
そして花火の音がその音を掻き消す。
なんの感情も得ずただただ1つの風景として花火を見ていると誰かがベランダにやってくる。
俺と一緒に花火を見たい物好きが居るんだなとそちらを見ると美浜さんだった。
来るとしても幼馴染の誰かだろうなと思っていたので思わず驚いてしまう。
「そんな驚かれると少し寂しいんだけど」
美浜さんは言葉とは裏腹にニコニコとした笑みを見せながら手に持っているキャンプ用の椅子を組み立ててベランダに設置しそこに座った。
俺が見つめていると「座る?」と膝をポンポンと叩いてきた。
美浜さんの膝の上に座れるとかそこそこご褒美な気もするが中からそんな様子見られたら肉体的にも精神的にもボコボコにされるのが目に見えるので黙って首を横に振る。
苦渋の決断だ。
「美浜さんも外で花火見たくなったんですか」
「うーん。そうだね。外で花火を見たくなったのもあるけれど。裕貴くんと少しお話したかったのもあるかな」
「はぁ……僕とお話……ですか」
「そうだね。これでも旭さんの上司をしているからね。メイド喫茶の先輩だよ?」
座りながら威厳を見せようとしているのか腕を組む。
完全に部員に恐がられている運動部の顧問だ。
「それで話ってなんです?」
俺は美浜さんの隣まで移動ししゃがんで話を続ける。
別に美浜さんに近寄りたかったとかじゃない。
単純に花火を見たかったので花火も見れて話もできるポジションに移動しただけだ。本当だよ?
「うーん。まぁ、勿体ぶってもしょうがないから話すね」
「はぁ……」
いつもありがとうございます。
ブックマークや評価もありがとうございます。
察している方もいるかとは思いますがストックが完全に消滅しました。
書いて投稿書いて投稿をしています。
今はまだペース保ってますがこれも時間の問題かと……
厳しくなりそうだったら3000文字ぐらいで1日1話投稿に切り替えます。
その時はその時でご報告します!




