俺と金魚すくいと
「それでどこに行くんだ?」
「うーん。夏祭りと言えばあれでしょ」
「あれってなんだよ」
「あれはあれ。アンタそんなのも分からないの? そんなんだから女子力低いんだよ」
夏海に文句を言われ一瞬クリティカルヒットを喰らったように思ったが良く考えたら俺男子だし女子力低いって文句言われるの筋違いだよね?
「分からん」
「金魚すくいしかないでしょ」
「お、おう」
ギラギラした目で当然だと言いたげに言い切った。
確かに夏海の家は金魚居るイメージはある。
なんなら、昔一緒にやった時に取った金魚をずっと飼っておりお前金魚かよって言いたくなるぐらいの大きさまで成長させている。
その金魚を見たのは美咲と付き合う前の話なので今も生きているのかどうかは分からない。
ってか、金魚の平均寿命って幾つだよ。流石に10年も生きないだろ。
ウキウキな夏海を隣に連れて歩く。
手を繋いだりはしないが手を繋がないとどこかへ行ってしまいそうだなと思うぐらいには自由にあっちこっちへ動き回る。
金魚すくいをしに向かっているのに気付いたらチョコバナナを手に持っているんだぜ。自由奔放も良いところだろ。
こんなだから楓と別行動になっちまうんだろ。
でも、きっと手を繋いだら繋いだで叫ばれるんだろうなと思うと手は出せない。
年頃の娘を持ったお父さんが娘を見守る時の気持ちが少しわかる気がする。
「おい。あんまりうろちょろすんなよ」
「は? 迷子になんなきゃそれで良いでしょ」
妙な自信を持ちながら夏海は射的の景品が気になったようで射的屋の近くに引き寄せられながら景品を眺める。
現に楓とはぐれてた人間がなぜここまで迷子になるような行動をとるのか謎すぎる。
「そうですか……」
反論する気も失せるので適当に流す。
色々な屋台に目移りしつつ歩くと金魚すくいの屋台に到着する。
クリスマスを迎えた子供のように夏海は晴れた笑顔を見せる。
そんなに楽しみだったなら道草食わずにさっさと来れば良かったのにとか思っていると知らないうちにお金を払ったようでポイと皿を店の人から受け取っていた。
「夏海って……金魚すくい得意だったか?」
夏海の家に金魚は居るが金魚すくいが得意だったイメージはない。
むしろ、1匹も取れずにむしゃくしゃしながら「次こそ! 次そこ!」とどこぞのギャンブラーみたいになっていた記憶がある。
夏海本人はキランと任せろみたいな顔をした。
もしかしたら金魚すくいの技術も知らないうちに成長しているのかもしれない。
そう思った矢先に夏海はポイを破った。
なんでドヤ顔したんだコイツ……
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