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俺と食いしん坊な幼馴染

 祭りの屋台は様々だ。

 さっきみたいなりんご飴があれば射的やクジのようなもの、完全に匂いで客を釣ろうとしているケバブ屋など見ているだけで楽しめる。


 「あそこに焼きそばあるよ」


 桜花は指をさすが魅力的に思えないのでスルーする。

 焼きそばといっても結構屋台によって違う。


 色んなタイプの焼きそばの中から俺の本能がこれだと叫ぶ焼きそばの屋台を選び買う。

 手当り次第購入し食べ比べるというのもいつかしてみたいとは思うが今はまだ良い。

 お金もそうだが単純問題そんな量食えない気がする。


 しばらく練り歩きこれだという屋台を見つける。


 「桜花も食うか?」


 こくりと頷くので一緒に並ぶことにした。

 そんなにパクパク食べて本当に大丈夫なの? 太ってお嫁さんに行けないとか言われても責任取れないからね。

 そんなことを思っていると会計の時間となる。

 桜花はお金を出そうとしていたがいちいち別会計にするのは俺も相手方も桜花も全員面倒なので俺がパッと払ってしまう。

 もう、諭吉さんすら消失させる覚悟で来ているので今更奢ったところで痛くも痒くもない。


 焼きそばを受け取り適当に歩いて座れそうな場所を探す。

 隙間という隙間に屋台やゴミ箱、お囃子の場所だったりと確保されているのでゆっくりと座って食べるとなると路地裏まで行かなければならない。

 普段であればしんみりてして人気のないであろう路地裏も今日だけは顔を変え、都心の裏路地レベルまでには人がうろちょろしている。


 お世辞にも綺麗とは言えない道端で腰を下ろす。


 「はい」


 焼きそばを渡し、ビニールに入っていた割り箸も渡す。

 香ばしいソースの香りが鼻を刺激してくる。

 焦げ目がバラバラできっと家で食ったらあまり美味しくないのだろう。

 だが、この雰囲気の中で食べるこの焼きそばは格別だ。

 温かさや焼き加減が疎らだからこそ演出される手作り感。周りのガヤガヤとマッチングしてジャンクフード感を増し美味しく感じる。


 ペロッと食い終えると桜花も満足そうにビニールへゴミをぶち込んだ。

 俺の食べるスピードが遅いのかはたまた桜花の食べるスピードが早いのかは分からない。


 「美味しかったね」


 「あぁ。そうだな。祭りの焼きそばは格別だからな」


 そう返答し意味もなく目の前を見つめる。

 しばらく沈黙が続く。焼きそばを食べるという目的を達成してしまったせいで俺の祭り熱は完全燃焼してしまう。

 もう帰ろうかなと思ってしまうぐらいにはやりきった感がある。


 「これからどうする?」


 やりたいことがある訳でもなく後は時間になるまでだらだらと歩くだけだったのでそれなら桜花のやりたいことをしようと思い訊ねると桜花は桜花で悩んでしまう。

 まぁ、そりゃ突然祭りに誘われたら困るよな。


 「その……あたし、これからもっと色んなところ行きたいから……別行動にしない?」


 「別に着いてくぞ。暇だしさ」


 俺がそう答えると桜花は両手をぶんぶん振って違うことを主張する。


 「そうじゃないし。その……あまり知り合いの男の子にパクパク食べるところ見られたくないから……」


 桜花は浴衣の袖をギュッと掴み赤く火照った頬を隠すかのように俯く。

 異性に食い意地の張った女だと思われたくないということなのだろう。何を今更と思ったがここで「そんなこと気にするなよ」と言って良いのはモテるイケメンだけだとどこかで聞いた。なんならここで食い下がらないとセクハラ扱いを受けるともどこかで聞いた。


 「あぁ。そうか。じゃあ、集合場所でまた会おう」


 俺はその場で立ち上がり片手を上げてその場を去った。

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