俺と家
帰宅。
お母さんが料理をしながら「おかえり」という声だけ上げてくれる。
「うぃー」
適当な返事をして迷うことなく自分の部屋へ直行した。
部屋で何をするのかと言われると特にすることもないので困る。
ゲームは飽きたからしないし、漫画やラノベは消化しきったので読みたいものも特にない。
アニメも消費しきっているので見るものもないし、勉強は単純にしたくない。
基本的にベッドでぐーたらして時間が過ぎるのを淡々と待つ。
そして適当にスマホでネットサーフィンをして面白そうな雑学だけを身につけていく。
こうして手に入れた雑学は明日になれば忘れているのでこの時間はマジで人生の無駄遣いである。
そして今日も例外ではない。
だらだらとスマホを弄っている。
すると、インターホンが鳴り響いた。
「……俺は荷物何も頼んでなかったよな」
軽く頭を回転させ何もネットで注文していないことを確認しまたダラーっとスマホを弄る。
外が騒がしい。
母の喋り声と謎の女性の喋り声が聞こえてくるが何を喋っているのかは分からない。
気にならないはずもなく俺はスマホを置いてそっちの方に意識を向ける。
それでも何を話しているのか分からない。
喋り声と共に足音が1つまた1つと大きくなっていく。
途中で喋り声は消えてなくなったが足音は消えるどころかどんどんと近寄ってきている。
階段を登る音。目の前の廊下を歩く音。
そして、あるタイミングを境にピタリと音はなり止む。
心臓の鼓動が早くなるのが分かる。
頭の中で何かやらかしたか。とかありもしないことを考え込んでしまう。
それでも心当たりは無いので答えに辿り着けない。
だから、尚更モヤモヤしてきてしまう。
答えを見つける前に俺の部屋の扉がゆっくりと開かれる。
開くのは理解しててもやはりビクッとしてしまうものだ。
タイムリミットが迫っている事の証だからだろうか。
もし出来るのなら今すぐ逃げだしたいそんな気持ちでいっぱいいっぱいなのだが扉の前にはお母さんがドカンと仁王立ちしているので逃げられない。
異世界転生した主人公でもないので2階から飛び降りて逃げたりも出来ない。つまり詰みなのだ。
諦め、覚悟を決め、母の口から出てくるであろう言葉を待つしかない。
いや、それしか今の俺には出来ないが正解かもしれない。
母の顔をジーッと見つめながら母が口を開くのを待つ。
「裕貴……アンタにお客さんだよ」
「は? 俺の家なんか誰も知らねぇーだろ。騙されてんじゃねぇーの?」
「騙されてないから」
ついにボケたか……親父に報告せねばなんてことを思いながら母をジッと見つめる。
もはや睨みつけるという表現が正しいのかもしれないと思うぐらいの眼力で……
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